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バレエ・ザ・シック Ballet the Chic  -バランシン/サープ/ドゥアト 新国立劇場バレエ公演 [バレエ]2009-03-29 [バレエ アーカイブス]

2009年3月29日(日) 14:00開演 新国立劇場中劇場 上演時間2時間30分

<セレナーデ>
寺島ひろみ、厚木三杏、堀口 純

森田健太郎、中村 誠

ほか 新国立劇場バレエ団

<空間の鳥>
真忠久美子

貝川鐵夫、江本 拓、八幡顕光、高木裕次、佐々木淳史、末松大輔、アンダーシュ・ハンマル、泊 陽平、清水裕三郎、野崎哲也、原 健太、三船元維

<ポル・ヴォス・ムエロ>
湯川麻美子、遠藤睦子、西川貴子、本島美和、丸尾孝子、高橋有里

吉本泰久、貝川鐵夫、陳 秀介、冨川祐樹
芳賀 望

<プッシュ・カムズ・トゥ・ショヴ>
デニス・マトヴィエンコ

厚木三杏
本島美和

西山裕子
山本隆之

ほか 新国立劇場バレエ団

 新国立劇場の中劇場でのバレエ公演である。バランシンの「セレナーデ」、井口裕之の新作「空間の鳥」休憩をはさんでナチョ・ドゥアトの「ポル・ヴォス・ムエロ」、また休憩になってサープの「プッシュ・カムズ・トゥ・ショヴ」というバラバラなプログラム。期待はサープの作品だったのだけれど、パリ・オペラ座の来日公演でパトリック・デュポンらが踊ったはずなのに、ド厚かましくも「日本初演」と宣伝していたのが全てを語っていたようにまったくの期待外れ。サープ作品は、驚異的なテクニックとショーマン・シップがないと凡作になってしまうのを見事に証明。かつてLDでバリシニコフが踊った映像やパトリック・デュポンの面白さは何処へ消えたのか?

 何よりも主役のデニス・マトヴィエンコの体型がこの作品に向いていないようで、長い手足を持てあましてみえるのが損なのと、大スターの風格に欠けるのでなんとも締まらない作品になってしまった。客席のノリも悪かったけれど、もっと観客を挑発し驚嘆させてくれないと駄目な作品である。新国立劇場バレエ団というよりも日本人にはもともと無理なジャンルな作品なのだと思う。

 バランシンの「セレナーデ」はチャイコフスキーの「弦楽セレナーデ」にのせて踊る作品。渡辺一正指揮の東フィルが、この作品だけに演奏という贅沢さ。中劇場なので手が届くような近さで踊るので、ちょっとしたミスでも目立ってしまい、案外楽しめずに終わってしまった。それでも女性ダンサーたちが手をかざして立っている幕開きと女性ソリストが捧げられて進む幕切れが印象に残る。バランシンとはいえ、観客に何かを伝えようとしないと、ただただキレイキレイなだけなのと、音楽に合わせた塗り絵で終わってしまいそう。ソリストが地味なのとコールドの盛り上げかたが不足していたように思う。

 有名な振付家の作品と並んで初演された井口裕之の「空間の鳥」。男性ダンサーが赤いスカートを翻して上半身裸で踊るのは、いつかどこかで観たようなアイディアで新鮮さに乏しい。客席の向かってスライディングをくり返すのも度重なると鬱陶しい。照明で変化をみせたり、幕を振り落としたり工夫はこらしているが、これもどこかで試していたようなアイディア。パクリとまではいかないが、もう少しなんとかならなかったのだろうか。

 「鳥は卵のなかからぬけ出ようと戦う。卵は世界だ…」というのにインスパイアされたというが、幕切れの幕を使った演出など説明的過ぎないだろうか。もっと舞踊哲学が必要かも。なんのために踊るのか、その部分からスタートしないと、単なるテクニックとアイディアの発表会になってしまうと思う。

 ナチョ・ドゥアトの「ポル・ヴォス・ムエロ」は裸のダンサーに始まって、古典的な衣裳をつけて、また裸に戻って終わるという判りやすさ。最後の活人画のポーズまで計算し尽くされているとは思うが、意外に観客の想像力を刺激しない作品で退屈。再演らしいが、何度も何度も上演するに値する作品かどうかは疑問。「プッシュ・カムズ・トゥ・ショヴ」で落胆させられたので、すべての作品に点が辛くなってしまったかもしれないが。

2009-03-29 23:11
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お彼岸にはモーリス・ベジャール [バレエ]2009-03-20 [バレエ アーカイブス]

 今日はお彼岸。NHKの芸術劇場では「モーリス・ベジャール」の舞台中継がある。先月の東京バレエ団の追悼公演と彼のバレエ団の公演で日本でも上演された「愛、それはダンス」からの抜粋であるらしい。

 目玉は、自ら封印を解いて踊ったシルヴィ・ギエムの本当に最後の「ボレロ」である。収録日に会場にいたのでその公演をもう一度観られるのはありがたい。普段バレエをご覧にならない方も、ベジャールがお嫌いな方も必見の名舞台だったと思います。100年に一度?といわれた驚異的な身体能力と表現力を兼ね備えたバレエ・ダンサーが、終にたどり着いた究極の領域。若い頃も確かに凄かったけれど、今回は気負いもなく淡々と踊っていたように思えるのに、その深さはかつて経験したことのないような充実ぶり。見逃したら一生悔いを残すなんていうNBSの宣伝文句が浮かんできます。

 今夏の世界バレエ・フェスティバルにも参加する彼女で、最近は別の領域に意欲を示していて、それも素晴らしいのですが、やはりベジャールなくしては彼女は語れないでしょう。久しぶりに「東京バレエ団」舞台に立った首藤康之が出演した「中国の不思議な役人」も楽しみです。

★公演コーナー①
東京バレエ団公演
「ベジャール・ガラ」
<演目>
「中国の不思議な役人」
(振付:モーリス・ベジャール 音楽:バルトーク)
「ボレロ」
(振付:モーリス・ベジャール 音楽:ラヴェル)

<出演> シルヴィ・ギエム
平野玲、宮本祐宜、柄本武尊、西村真由美、
首藤康之、ほか チャイコフスキー記念東京バレエ団

<収録> 2009年2月9日 ゆうぽうとホール

★公演コーナー②
「ベスト・オブ・モーリス・ベジャール 
~愛、それはダンス~ セレクション」
<演目>
「春の祭典」(音楽:ストラヴィンスキー)
「ロメオとジュリエット」(音楽:ベルリオーズ)
「バレエ・フォー・ライフ」(音楽:クイーン) ほか

<出演> モーリス・ベジャール・バレエ団

<振付> モーリス・ベジャール
<収録> 2005年5月31日,6月1日 パレ・デ・スポール(パリ)

追記 テレビ放映を観る。「中国の不思議な役人」の開幕前の客席が少し映るのだけれど、自分の座っていたあたりを探すと自分の姿を発見。豆粒ぐらい大きさだが間違いなく天使。しかも後ろをふりかえって、しっかりカメラ目線である。我ながらお恥ずかしい。

2009-03-20 09:29
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東京バレエ団<ベジャール・ガラ> 「ギリシャの踊り」「中国の不思議な役人」「ボレロ」 [バレエ]2009-02-10 [バレエ アーカイブス]


2009年2月9日(月) 19:00開演 ゆぽうとホール
モーリス・ベジャール追悼公演V / 東京バレエ団創立45周年記念公演II
 
「ギリシャの踊り」「中国の不思議な役人」「ボレロ」

振付:モーリス・ベジャール  振付指導:ジル・ロマン、小林十市

◆主な配役◆

「ギリシャの踊り」 音楽:ミキス・テオドラキス

I.イントロダクション 
II.パ・ド・ドゥ(二人の若者):高橋竜太-小笠原亮
III.娘たちの踊り 
IV.若者の踊り 
V.パ・ド・ドゥ:吉岡美佳-中島周
VI.ハサピコ:井脇幸江-木村和夫
VII.テーマとヴァリエーション 
ソロ:後藤晴雄
パ・ド・セット: 西村真由美、高木綾、佐伯知香、田中結子、福田ゆかり、川島麻実子、阪井麻美
VIII.フィナーレ: 全員

「中国の不思議な役人」 音楽:ベラ・バルトーク

無頼漢の首領:平野玲
第二の無頼漢―娘:宮本祐宜
ジークフリート: 柄本武尊
若い男:西村真由美
中国の役人:首藤康之

「ボレロ」 音楽:モーリス・ラヴェル

シルヴィ・ギエム

平野玲、松下裕次、長瀬直義、横内国弘

◆上演時間◆

「ギリシャの踊り」 19:00 - 19:40
【休憩】 15分
「中国の不思議な役人」 19:55 - 20:30
【休憩】 15分
「ボレロ」 20:45 - 21: 05


ベジャールの申し子たち


 2007年に亡くなったモーリス・ベジャールの一連の追悼公演の最終公演にでかけた。公演は今月末の沖縄公演まで続くのだが、「ボレロ」にジルヴィ・ギエムが特別出演するので、それがお目当である。最後の「ボレロ」と銘打って全国公演もしたのに…。とは思うものの、もう一度彼女の「ボレロ」が観られるのは素直に嬉しい。会場に足を運べなかったファンにも、NHKが収録していたので3月20日教育テレビでの放送を楽しみにしてもらいたい。

 天使が初めてベジャールのバレエを観たのは、完成したばかりの簡易保険ホール、現在のゆぽうとホールでだった。天使も、この舞台に立ったことがあるので、楽屋や舞台裏など知っているが、舞台裏は広くなく使い勝手は、あまり良くはないのだが、1800人収容の大ホールでありながら、どの席からでも観やすいのが何よりであり、オペラカーテンや、今回は使用しないがオーケストラボックスも付帯しているので、バレエにとっては手頃なホールではある。ロビーの飾り気のなさ、休憩時間のトイレの大行列は雰囲気を損ねて残念だが、ここでギエムを観られるのは贅沢でもある。しかも今日は何故かオーケストラボックスの上の席で手を伸ばせばダンサーに届きそうな距離の席。足元があまり見えないので、良い席とは言い難い面もあるのだが、ダンサーの汗の匂いまで感じられて臨場感は満点だった。

 「ギリシャの踊り」は波音で始まる。男性は上半身裸で白のギリシャ風パンツ。女性は黒のレオタードが基本の衣裳でシンプル。ダンサー達がゆっくり身体をうねらせるので観客は海の中にいるようだった。ソロダンサーとコールドが、それぞれの動きに反応しつつ、音楽に乗せて爆発的なダンスを次々に披露していった。健康的であり、陽気であり、ギリシャの神々の前での祝祭のようだった。感心したのは、無表情だとばかり思っていたダンサーが、実は生き生きとしていて個性的だったこと。特に男性ダンサーに活躍の場が多い本作では、目を惹くダンサーが何人もいた。

 ソロを踊った後藤晴雄は、以前はものまねのコロッケが踊っている!といった具合にしか見えなかったのだが、堂々たる主演ぶりで、技術的にも表現力も一流で日本のベジャール・ダンサーといった感じで満足させてくれた。吉岡美佳-中島周、井脇幸江-木村和夫のそれぞれのカップルもベテラン?らしく安定したダンスを見せてベジャールのカンパニーと遜色がないのではと思わせた。一番感心したのは、パ・ド・ドゥ(二人の若者)の高橋竜太と小笠原亮で、若い、美しい、テクニックがある。といったベジュールダンサーの資質を身に着けていて素晴らしかった。何時の間に、東京バレエ団はこんなにも魅力的な男性ダンサーを揃えていたのだろうか。特に高橋竜太には大きな可能性を感じた。

 こうした作品は、日本人には難しい部類だと思っていたが、多分海外のカンパニーと同じレベルに達しているのは間違いがない。ベテランと若手のバランスの良さに、このバレエ団の明るい未来を感じさせたのが嬉しい。東京バレエ団のベジャール作品の初演は、1982年7月第3回世界バレエフェスティバルでのドン主演「ボレロ」かららしいが、四半世紀の歳月をかけてここまで成長したのは喜ばしいことである。

 「中国の不思議な役人」はバルトークの曲にのせて、多分に演劇的であったり、難解に感じさせる部分もあるベジュールお得意の作品で、まったく説明的ではないだけに観る人の想像力を試されているかのようである。それだけに凡庸なバレエ団では上演不可能だと思う。東京バレエ団のベジュール作品では、彼の生前に上演が許可された最後の作品であるらしい。それだけ東京バレエ団の成熟が振付家にも認められた訳で、これを振付家の期待以上に上演できたのではないかと思わせる完成度の高さだった。しかも二組のキャストで上演しているので、その人材の豊富さが頼もしい。

 前半は平野玲の無頼漢が、キレの良いダンスで圧倒する。それに対する第二の無頼漢(娘)を踊った宮本祐宜も健闘していたが、もう少し妖しさが加われば、さらに完成度が高まったと思う。ここでもベジャールダンサーと呼びたい人がいた。中国の役人の役人を演じ踊った特別出演の首藤康之である。その狂気を孕んだような目の輝きは、ジル・ロマンを思い出させた。強靱なテクニックを持ちながら、哀愁の漂う、観ている者に「哀しさ」の本当の意味を感じさせるダンサーであることを再認識させてくれた。かけがえのないダンサーであり、また東京バレエ団の舞台に立って欲しい人である。

 2回目の休憩後は、無粋なアナウンスがないまま場内が暗くなり「ボレロ」が始まった。正真正銘、東京ではシルヴィ・ギエムの「ボレロ」は最後のハズである。そんな観客の気負いを知ってか知らずか、意外なほどギエムは冷静に淡々と踊っていたように思う。観客の過剰な思い入れは無関係とでも言いたげにメロディを踊っていった。かつての空間を切り裂くような鋭さは影を潜め、痛々しいまでの悲壮感も消えていた。そこには謙虚に作品に向かっている一人のダンサーがいただけだった。

 初めて気がついたのは、赤い円形の台の上に乗ったギエムが身体を折り曲げるように床に近づくと上半身の床に面した部分が赤く染まる。黒のタイツは赤くならないので、一瞬だがギエムが血まみれのように、あるいは炎に照らされているように見えたことだ。単純な照明の効果なのだが、実は細かな計算がされていてのに、ようやく今日になって気がついた。音楽が佳境に入れば入るほど、彼女の肉体は紅に染まっていくわけで、観客の興奮は否応なく高まるのである。音楽と振付と照明の効果を計算し尽くしたベジャールは、今さらながら天才であると思った。

 隋所に見せるギエムならではの身体能力の高さが、たとえば「ここまで足が上がるのは私だけ」といった次元の低いこれ見よがしの技術の誇示などはなく、むしろ控え目で、あくまで作品の本質に迫ろうという姿勢のようだった。近年はモダンな作品に意欲をみせる彼女だけに、作品への理解がより深まった証拠なのだと思う。音楽を具体的に表現しようとした作品で、それを誰よりも高度な技術をさりげなく駆使して踊っているのが今日のギエムだった。音楽を身体で感じて踊ること、過剰な思い入れを廃して踊ること。余人の到達できない高みに達した姿を観客は観たのである。

 踊り尽くしたダンサーにしか到達できない境地だと思った。もう一人、「ボレロ」を踊り続けたジョルジュ・ドンは、世界バレエフェスティバルのガラ公演で、痛々しいままで踊り納めたが、もし生き続けていたらどんな「ボレロ」を見せてくれただろうか。無我の境地に至るような情熱あふれる舞踊よりも、さらに先に待っていたのは、こんな「ボレロ」だったのかと知って、嬉しいとも悲しいとも、複雑な気持ちになった。ベジャールは彼女の「ボレロ」をどう観るだろうか?振付家の手を離れ、思わぬ世界が開かれたことを喜ぶだろうか。そして、それが永遠に封印されてしまうことを残念に思うだろうか。何時の日か、さらに深化したギエムの「ボレロ」が観られる日を祈りたい。

 何度か目のカーテンコールで場内はスタンディング・オベーションに。舞台上から笑顔で手を振ってギエムの「ボレロ」とは「さようなら」だった。本来ならば悲しいといった感情が湧いてきそうだが、むしろ彼女のダンサーとしての未来に光明を見出した思いがして、むしろ清々しさを感じた。たぶん世界バレエフェスティバルに参加するだろうが、どんなに成長し変貌した姿を観客に披露するのか楽しみである。確実に彼女には老いが迫っているが、それを軽々と乗り越えてみせる何ものかをギエムは掴んでいるようだ。

2009-02-10 00:56
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眠りの森の美女 レニングラード国立バレエ~ムソルグスキー記念/ミハイロフスキー劇場 [バレエ]2009-01-17 [バレエ アーカイブス]


 サンクトペテルブルグにあるにもかかわらず、日本ではレニングラード国立バレエと堂々と名乗る招聘元の光濫社の神経。しかも毎年、年末から年始にかけて来日することで、まったく有難味を感じないし、会場も東京国際フォーラムAホールなんていう巨大ホールで「白鳥の湖」を上演する感覚。何もかも趣味に合わないバレエ団なのだけれど、イープラスで半額チケットが投げ売りされていたので、東京文化会館ならいいかな?とノコノコとでかけた。開演前に同行した知人と飲んだ日本酒が効いてしまって、良い心持ちで席についた。

 この劇場の二枚看板?ペレンとシェスタコワが、オーロラ姫をそれぞれ踊るうち、初日のペレン&ヤフーニューフ組にでかける。もっとも宝石の精/ダイヤモンドでシェスタコワが出演していたので得?した感じ。原典版に沿って、第2幕の間奏曲もカットなし、しかも第2幕も延々と踊るので、上演時間は約3時間半という長丁場になってしまった。ロイヤルバレエやシュッツガルトなど短縮版に慣れているので、全体的に冗漫に感じられてしまうのは仕方がない。

 それにしても、いくらバレエの伴奏と割りきっているとはいえ、オーケストラの奏でる音楽の酷さに閉口。ロシア的というのか、おおざっぱで緻密さに欠ける演奏に終始した。特に打楽器と金管楽器の暴走ぶりは凄まじかった。音楽全体にメリハリをつけるならともかく、馬鹿の一つ覚えのように強奏するのと、ちょっと複雑な部分は全部演奏しない?演奏できないという下手くそぶりで参った。

 主役はともかく、ソロを踊るクラスでも振付が怪しかったり、他のダンサーとの距離感がいい加減でぶつかりそうになったり、ハラハラドキドキでびっくり。子供たちで助演した高木淑子バレエスクールのお子様達の方が、ずっと安心してみられるというのもなんだかなあ…。装置が古かったり、衣裳の趣味がケバかったりするのは我慢するけれど。

 そんな不満を吹き飛ばす主役コンビが素晴らしいダンスで満足させてくれた。まずペレンは、ローズアダージョのバランスこそ超絶技巧をみせるわけではないが、登場した瞬間から観客の心を掴む存在感、足捌きと腕の美しさに唸らされた。デジレ王子を踊ったヤフニュークも確かなテクニックで観客を魅了した。この二人のダンスを観られただけで、まあチケット代のもとはとった感じ。この二人は第3幕の冒頭、婚礼衣装で登場するという演出だった。

 バレエ団全体がレベルアップの努力を積み重ねれば、高水準の舞台を披露できるはずなのに、長期の日本公演などやっている場合ではないのかも。

2009年1月17日(土)17:00開演 東京文化会館
<キャスト>
オーロラ姫  イリーナ・ペレン
デジレ王子  アンドレイ・ヤフニューク
リラの精  イリーナ・コシェレワ
カラボス  アレクサンドル・オマール

王 マラト・シェミウノフ
王妃 ズヴェズダナ・マルチナ
式典長 ウラジーミル・ツァル
従者 アントン・アパシキン

妖精たち/
優しさの精 ダリア・エリマコワ
元気の精 マリア・ドミトリエンコ
鷹揚の精 タチアナ・ミリツェワ
呑気の精 アンナ・クリギナ
勇気の精 ヴィクトリア・クテポワ

4人の王子
       ニコライ・コリパエフ
       デニス・モロゾフ
       アンドレイ・カシャネンコ
       ミハイル・ヴェンシコフ

宝石の精/
ダイアモンド オクサーナ・シェスタコワ
金、銀、サファイア ダリア・エリマコワ
           オリガ・グローモワ
           ヴァレリア・ジュラヴリョーワ

フロリナ王女 タチアナ・ミリツェワ
青い鳥 マクシム・エレメーエフ
白い猫 アンナ・クリギナ
長靴をはいた猫 アレクセイ・クズネツォフ
赤頭巾ちゃん ユリア・チーカ
狼 ニキータ・クリギン
人食い鬼 ウラジーミル・ツァル
人食い鬼の奥さん アントン・アパシキン

ファランドール ナタリア・クズメンコ
         デニス・トルマチョフ

子供たち:高木淑子バレエスクール

指揮:ミハイル・パブージン
管弦楽:レニングラード国立歌劇場管弦楽団

タイム・スケジュール:第1幕65分 休憩20分 第2幕50分 休憩20分 第3幕50分

2009-01-17 23:30
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ドン・キホーテ ロシア国立ボリショイ・バレエ団2008年日本公演    東京文化会館 [バレエ]2008-12-06 [バレエ アーカイブス]


 「ドン・キホーテ」のバジルでカッ飛び野郎といえば、古くはバリシニコフ、パトリック・デュポン、熊川哲也に、現役ではABTのアンヘル・コレーラといったところだろうか。今回の「ドン・キホーテ」の3組では、迷わず昨年の「ボリショイ&マリインスキー 合同ガラ公演 」の「パリの炎」で目を見張る超絶技巧で感嘆させたナターリヤ・オーシポワ&イワン・ワシーリエフ の出演日を選んだ。

 オーシポワはリーディング・ソリスト、ワシーリエフはソリストなのだが、圧倒的な高さを誇るジャンプ、超高速な回転技など、超絶技巧を次々に決めて大興奮させてくれた。最初のジャンプの登場で度肝をぬき、リフトしながら片足をあげたり…。さらに何度も観た「ドン・キホーテ」のグラン・パ・ド・ドゥであるはずなのに、次は何が飛び出すか予測不能のカップルで、文字通り手に汗握って舞台を観ることになった。

 多少荒削りな部分や、若さゆえの完成度の低さ、スターとしてのオーラ不足など問題がないわけではないが、そうした不満を感じさせないくらい圧倒的な技術で最後まで魅了し興奮させてくれた。後はスターとしての知名度と存在感が身につけば鬼に金棒である。だから興奮はあっても、感動は少ない舞台であった。今はこれでよいが、年齢を重ねて行くと辛くなるかもしれない。

 アレクサンドル・プフィロフが指揮するボリショイ劇場管弦楽団は、恐ろしく早いテンポと音量で驚かせる。聴き慣れているはずの音楽も、テンポが早くなると溌剌として小気味よい音楽にきこえてきた。たぶん人間が踊るスピードの極限までテンポを早め、分厚い奥行きのある演奏で、その大音量の音楽にも圧倒された。それでいて吠えるような音楽ではないのが不思議だった。

 今回の演出の特徴は、スペイン色が色濃くだされたことで、何かというと海老反りをみせる女性ダンサーの見事なダンスに見惚れてしまった。バレエダンサーでもというか、バレエダンサーだからこそ踊れるもので、夢の場も含めると多彩なダンスの宝庫のような舞台になった。層の厚いダンサー達で、脇役でも光るダンサーを何人も発見。

2008年12月4日(木) 18:30~21:10
ドン・キホーテ 全 3 幕

音楽 : ルートヴィヒ・ミンクス
台本 : マリウス・プティパ
振付 : マリウス・プティパ,アレクサンドル・ゴールスキー
振付改訂 : アレクセイ・ファジェーチェフ
ファジェーチェフの助手 : ミハイル・ツィヴィン
美術 : セルゲイ・バルヒン
衣裳復元 : タチヤーナ・アルタモノワ,エレーナ・メルクーロワ
音楽監督 : アレクサンドル・コプィロフ
照明 : ミハイル・ソコロフ
美術助手 : アリョーナ・ピカロワ
指揮 : パーヴェル・クリニチェフ
管弦楽 : ボリショイ劇場管弦楽団

キトリ/ドゥルシネア : ナターリヤ・オーシポワ
バジル (床屋) : イワン・ワシーリエフ
ドン・キホーテ (さすらいの騎士) : アレクセイ・ロパレーヴィチ
サンチョ・パンサ (ドン・キホーテの剣持ち) : アレクサンドル・ペトゥホーフ
ガマーシュ (金持ちの貴族) : デニス・サーヴィン
フアニータ (キトリの友人) : ヴィクトリア・オーシポワ
ピッキリア (キトリの友人) : オリガ・ステブレツォーワ
エスパーダ (闘牛士) : アルテム・シュピレフスキー
ルチア (街の踊り子) : アナスタシア・メシコーワ
メルセデス (踊り子) : マリーヤ・イスプラトフスカヤ
ロレンソ (キトリの父) : イーゴリ・シマチェフ
ロレンソの妻 (キトリの母) : アナスタシア・ヴィノクール
公爵 : アレクサンドル・ファジェーチェフ
公爵夫人 : エカテリーナ・バルィキナ
居酒屋の主人 : イワン・プラーズニコフ
森の精の女王 : エカテリーナ・シプーリナ
3人の森の精 : ユーリヤ・グレベンシチコワ,ネッリ・コバヒーゼ
          オリガ・マルチェンコワ
4人の森の精 : アレーシャ・ボイコ,スヴェトラーナ・パヴロワ
          チナラ・アリザデ,スヴェトラーナ・グネードワ
キューピッド : アナスタシア・スタシケーヴィチ
スペインの踊り : クリスチーナ・カラショーワ
           アンナ・バルコワ,エカテリーナ・バルィキナ
ジプシーの踊り : アンナ・アントロポーワ
ボレロ : アンナ・バルコワ,アントン・サーヴィチェフ
グラン・パの第1ヴァリエーション : エカテリーナ・クリサノワ
グラン・パの第2ヴァリエーション : ネッリ・コバヒーゼ


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【上演時間】 約2時間40分
第1幕 40分 - 休憩 25分 - 第2幕 45分 - 休憩 25分 - 第3幕 25分
【終演予定】 9:10p.m.


2008-12-06 00:51 ドン・キホーテ ロシア国立ボリショイ・バレエ団2008年日本公演    東京文化会館 [バレエ]
 「ドン・キホーテ」のバジルでカッ飛び野郎といえば、古くはバリシニコフ、パトリック・デュポン、熊川哲也に、現役ではABTのアンヘル・コレーラといったところだろうか。今回の「ドン・キホーテ」の3組では、迷わず昨年の「ボリショイ&マリインスキー 合同ガラ公演 」の「パリの炎」で目を見張る超絶技巧で感嘆させたナターリヤ・オーシポワ&イワン・ワシーリエフ の出演日を選んだ。

 オーシポワはリーディング・ソリスト、ワシーリエフはソリストなのだが、圧倒的な高さを誇るジャンプ、超高速な回転技など、超絶技巧を次々に決めて大興奮させてくれた。最初のジャンプの登場で度肝をぬき、リフトしながら片足をあげたり…。さらに何度も観た「ドン・キホーテ」のグラン・パ・ド・ドゥであるはずなのに、次は何が飛び出すか予測不能のカップルで、文字通り手に汗握って舞台を観ることになった。

 多少荒削りな部分や、若さゆえの完成度の低さ、スターとしてのオーラ不足など問題がないわけではないが、そうした不満を感じさせないくらい圧倒的な技術で最後まで魅了し興奮させてくれた。後はスターとしての知名度と存在感が身につけば鬼に金棒である。だから興奮はあっても、感動は少ない舞台であった。今はこれでよいが、年齢を重ねて行くと辛くなるかもしれない。

 アレクサンドル・プフィロフが指揮するボリショイ劇場管弦楽団は、恐ろしく早いテンポと音量で驚かせる。聴き慣れているはずの音楽も、テンポが早くなると溌剌として小気味よい音楽にきこえてきた。たぶん人間が踊るスピードの極限までテンポを早め、分厚い奥行きのある演奏で、その大音量の音楽にも圧倒された。それでいて吠えるような音楽ではないのが不思議だった。

 今回の演出の特徴は、スペイン色が色濃くだされたことで、何かというと海老反りをみせる女性ダンサーの見事なダンスに見惚れてしまった。バレエダンサーでもというか、バレエダンサーだからこそ踊れるもので、夢の場も含めると多彩なダンスの宝庫のような舞台になった。層の厚いダンサー達で、脇役でも光るダンサーを何人も発見。

2008年12月4日(木) 18:30~21:10
ドン・キホーテ 全 3 幕

音楽 : ルートヴィヒ・ミンクス
台本 : マリウス・プティパ
振付 : マリウス・プティパ,アレクサンドル・ゴールスキー
振付改訂 : アレクセイ・ファジェーチェフ
ファジェーチェフの助手 : ミハイル・ツィヴィン
美術 : セルゲイ・バルヒン
衣裳復元 : タチヤーナ・アルタモノワ,エレーナ・メルクーロワ
音楽監督 : アレクサンドル・コプィロフ
照明 : ミハイル・ソコロフ
美術助手 : アリョーナ・ピカロワ
指揮 : パーヴェル・クリニチェフ
管弦楽 : ボリショイ劇場管弦楽団

キトリ/ドゥルシネア : ナターリヤ・オーシポワ
バジル (床屋) : イワン・ワシーリエフ
ドン・キホーテ (さすらいの騎士) : アレクセイ・ロパレーヴィチ
サンチョ・パンサ (ドン・キホーテの剣持ち) : アレクサンドル・ペトゥホーフ
ガマーシュ (金持ちの貴族) : デニス・サーヴィン
フアニータ (キトリの友人) : ヴィクトリア・オーシポワ
ピッキリア (キトリの友人) : オリガ・ステブレツォーワ
エスパーダ (闘牛士) : アルテム・シュピレフスキー
ルチア (街の踊り子) : アナスタシア・メシコーワ
メルセデス (踊り子) : マリーヤ・イスプラトフスカヤ
ロレンソ (キトリの父) : イーゴリ・シマチェフ
ロレンソの妻 (キトリの母) : アナスタシア・ヴィノクール
公爵 : アレクサンドル・ファジェーチェフ
公爵夫人 : エカテリーナ・バルィキナ
居酒屋の主人 : イワン・プラーズニコフ
森の精の女王 : エカテリーナ・シプーリナ
3人の森の精 : ユーリヤ・グレベンシチコワ,ネッリ・コバヒーゼ
          オリガ・マルチェンコワ
4人の森の精 : アレーシャ・ボイコ,スヴェトラーナ・パヴロワ
          チナラ・アリザデ,スヴェトラーナ・グネードワ
キューピッド : アナスタシア・スタシケーヴィチ
スペインの踊り : クリスチーナ・カラショーワ
           アンナ・バルコワ,エカテリーナ・バルィキナ
ジプシーの踊り : アンナ・アントロポーワ
ボレロ : アンナ・バルコワ,アントン・サーヴィチェフ
グラン・パの第1ヴァリエーション : エカテリーナ・クリサノワ
グラン・パの第2ヴァリエーション : ネッリ・コバヒーゼ


--------------------------------------------------------------------------------

【上演時間】 約2時間40分
第1幕 40分 - 休憩 25分 - 第2幕 45分 - 休憩 25分 - 第3幕 25分
【終演予定】 9:10p.m.


2008-12-06 00:51
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眠れる森の美女 シュツットガルト・バレエ団 2008年日本公演 [バレエ]2008-11-24 [バレエ アーカイブス]


NBS主催の公演のせいか、客席の中央通路のすぐ後ろの主催者用の席にエディタ・グルベローヴァを発見!昨日は大阪公演だったはずなのに、11月27日の横浜公演に備えて東京に戻ったらしい。バレエファンでオペラも大ファンの某氏によれば、次回の来日は2011年のバイエルン国立歌劇場の「ナクソス島のアリアドネ」のツルビネッタを歌うらしい。とってもとっても楽しみ。会場にはバレエファンが多いせいか、あまり彼女には関心が無かった模様で、リラックスしてカーテンコールでは、出演者に熱心に拍手を贈っていたのが何より。

 さてシュツットガルト・バレエ団2008年日本公演は「眠れる森の美女」で23日に開幕。25日のダイムラーの貸し切り公演を含めて4回上演されるが、一般公開は今日が東京公演の最後。来月になって岩国と西宮でも上演するらしい。マリシア・ハイデ振付・演出によるシュツットガルト・バレエ団版は20年ほど前に日本でも公開されていて、久しぶりの上演。
一番の特徴は、カラボスを歌舞伎の女方の着想を得て男性ダンサーがダイナミックに踊ること。

 今日のカラボスはフィリップ・バランキエヴィッチで今まで観たどの版のカラボスよりも力強かったと思う。今までのイメージを覆すような存在となった。黒の巨大なマントを翻し、舞台を圧するような迫力で目を見張らせた。舞台の枠をもはみ出すような様々な演出が施されていて面白い。ハイデの単なる日本趣味の演出かと思ったら、なかなかオリジナリティに溢れていて面白かった。

 特にプロローグから第一幕の舞台転換の間に、天井から吊り下げられた黒い幕を巧みに操って、オーロラ姫の成長の様子を見せる場面は秀逸。そのマントが振り落としになるのも歌舞伎演出の応用だが、単なる思いつきではない工夫で感心した。

 舞台は白の床と舞台をコの字型に取り囲むバルコニーが基本となり、ばら垣や背景幕を変化させて舞台を転換していく。おかげで休憩時間が2回あり、上演時間が延びてしまったが、それだけの効果はあったように思える美しい舞台だった・特に衣裳の色合いの美しかったこと、ユルゲン・ローゼの20年前の仕事だが、少しも古さを感じさせないものだった。

 舞踊的にはダンサー出身のマリシア・ハイデらしい心憎いまでの振付と演出が色々試みられていて面白い。特に第3幕のディヴェルティスマンには、「海賊」を思わせるようなアリ・ババが登場して大活躍。案外グラン・パ・ド・ドゥが地味なので、こうした工夫は大歓迎。

 大問題だったのは、主役コンビのオーロラ姫のアンナ・オサチェンコとデジレ王子のマリイン・ラドメイカーに魅力が乏しかったこと。二人とも若いプリンシパル・ダンサーだが、アンナ・オサチェンコの登場時のオーラのなさと不安定な技術水準にガッカリ。あんなにあっけない「ローズ・アダージョ」は久しぶり。デジレ王子のマリイン・ラドメイカーもイケメン風なのだが、なんとか踊ってますというレベルで余裕がなさすぎ。第2幕は、本当に退屈で退屈で、二人が頑張ってくれなければ絶対に盛り上がらない場面なのに、さすがのハイデ演出でも救えなかったようである。

けっきょく、カラボスのフィリップ・バランキエヴィッチがすべてを支配した舞台になったようである。初演のリチャード・クラガンもよかったが、強烈な印象を残したのはフィリップ・バランキエヴィッチだったかも。それと美術・衣裳・照明が傑出していたのも覚えておきたいと思う。しかしなが知名度のせいか、3回以上の客席には空席が目立ったのは残念だった。観ておいても損はなかった舞台だったと思う。もうひとつの演目「オネーギン」にもでかけるはずだったのに、急用でいけなくなり、今月はこれが最後の舞台となった。

2008年11月24日(月・祝)3:00p.m.  東京文化会館
 
シュツットガルト・バレエ団 2008年日本公演
眠れる森の美女
シャルル・ぺロー『眠れる森の美女』に基づく全3幕プロローグ付きバレエ
振付:マリシア・ハイデ(マリウス・プティパの原典に基づく)
演出:マリシア・ハイデ
音楽:ピョートル・I. チャイコフスキー
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ
照明:ディーター・ビリーノ
世界初演:1987年5月10日シュツットガルト・バレエ団

オーロラ姫:アンナ・オサチェンコ
デジレ王子:マリイン・ラドメイカー
カラボス:フィリップ・バランキエヴィッチ
リラの精:ミリアム・サイモン
王:ヘルマー・ポーロカット
王妃:メリンダ・ウィサム
カタラビュット:トーマス・ダンヘル
乳母:ブリギット・デハルデ
<プロローグ>                                <第3幕>
澄んだ泉の精:  オイハネ・ヘレーロ              ~オーロラの結婚式~
黄金のつる草の精: ヒョー=チャン・カン             グレーテル: ナタリー・グス
森の草地の精: ダニエラ・ランゼッティ               ヘンゼル: ウォン・ヤオスン
歌鳥の精: カタジナ・コジィルスカ                 シンデレラ: アンジェリーナ・ズッカリーニ
魔法の庭の精: マグダレーナ・ジギレウスカ              王子: オズカン・アイク
お付きの騎士:  ローランド・ハヴリカ、ウィリアム・ムーア、   青ひげ公: マキシム・キローガ
ペトロ・テルテリャーン、ディミトリー・マギトフ、              王女: アレッサンドラ・トノローニ
ダミアーノ・ペテネッラ、ローラン・ギルボー          シェヘラザード:エリザベス・ヴィセンベルク
宮廷の人々: シュツットガルト・バレエ団             アラジン: ペトロ・テルテリャーン
                                     コロンビーヌ: アナベル・フォーセット
<第1幕>                              アルルカン: ルドヴィコ・パーチェ
~オーロラの誕生日~                      カエルの王子: チャールズ・ペリー
東の王子:  ディミトリー・マギトフ                 王女: ビリャナ・ヤンチェヴァ
北の王子: エヴァン・マッキー             お姫さまとえんどう豆: へザー・チン
南の王子: ダミアーノ・ペテネッラ                 王子: ブレント・パロリン
西の王子: アレクサンダー・ジョーンズ             中国の王女: ジュリア・ムニエ
オーロラ姫の友人: ナタリー・グス、 官吏: デヴィッド・ムーア
マリア・アラーティ、 白雪姫:レネ・ライト
アレッサンドラ・トノローニ、
ダニエラ・ランゼッティ、 ~ディヴェルティスマン~
クリスティーナ・バーネル、 アリ・ババ: アレクサンダー・ザイツェフ
カタジナ・コジィルスカ ルビー: マグダレーナ・ジギレウスカ
宮廷の人々、庭師:シュツットガルト・バレエ団 サファイア:オイハネ・ヘレーロ
エメラルド:ダニエラ・ランゼッティ
<第2幕> アメジスト: ミリアム・カセロヴァ
~狩りの場、幻を見るデジレ王子、オーロラの目覚め~ 長靴を履いた猫:アルマン・ザジャン
伯爵夫人: オイハネ・ヘレーロ 白い猫:カタジナ・コジィルスカ
カラボスの家来:シュツットガルト・バレエ団 青い鳥:ウィリアム・ムーア
宮廷の人々、妖精たち:シュツットガルト・バレエ団 王女:ローラ・オマリー
赤ずきん:クリスティーナ・バーネル
狼:ミハイル・ソロヴィエフ
協力:東京バレエ学校、東京バレエ団
指揮:ウォルフガング・ハインツ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

プロローグ、第1幕
15:00-16:15
休憩25 分
第2幕
16:40-17:10
休憩25 分
第3幕     
17:35-18:15

2008-11-24 21:58
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ジゼル 東京バレエ団 五反田ゆうぽうとホール [バレエ]2008-09-20 [バレエ アーカイブス]

 マラーホフとルグリが交替でアルブレヒトを務めるのが今回の目玉である東京バレエ団の「ジゼル」公演。ルグリと小出領子による東京の最終公演にでかけた。追加公演になったほど人気があったのかどうかはわからないが、そこそこ満員の盛況だった。劇場に行ったら、なるべく早くブログに書き込むのを信条にしているのだが、こう出来が悪いとなかなかPCの前に座る気にならない。

 ルグリが不調だったのか、ジゼルの小出領子に問題があるのか…。いっこうに盛り上がらない舞台に終始イライラしっぱなしであった。天使はヌレエフと森下洋子の「ジゼル」が生まれて初めてのバレエ体験だった。その感動が忘れられなくてバレエ、特に「ジゼル」は大好きなのだが、今まで観た「ジゼル」の中で間違いなく最低の部類である。

 これまで世界的に名声のあるダンサーでしか「ジゼル」を観たことがないので、失礼ながら小出領子に全く魅力を感じなかった。懸命に踊っているのはわかるがそれだけ。それに加えるべき何ものかがなければ感動に至るはずがない。また、その小出領子を支えるべきルグリにも失望。日本で踊るのが最後かもしれないというのに、技術的なことはもとより、何も伝わってこないのはどうしたことだろうか…。相変わらず端正に踊ってはいるのだが、観客を捕らえて離さないオーラが不足していたように思う。最後の最後になって、ようやく本領発揮かと思わせるような見事な踊りを見せたかと思ったら、あっという間に大失速。90年代のバレエ・ファンを大いに楽しませ、感動も贈ってくれたルグリの最後がこれかと思うと悲しくて涙がこぼれた。

2008年9月16日(火) 19時開演  会場/ゆうぽうとホール

―主な配役―
ジゼル: 小出領子
アルブレヒト: マニュエル・ルグリ
ヒラリオン: 木村和夫

―第1幕―
バチルド姫: 井脇幸江
公爵: 後藤晴雄
ウィルフリード: 野辺誠治
ジゼルの母: 橘静子
ベザントの踊り(パ・ド・ユイット): 西村真由美 - 横内国弘、乾友子 - 宮本祐宜
阪井麻美 - 梅澤紘貴、河合眞里 - 小笠原亮
ジゼルの友人(パ・ド・シス): 高木綾、奈良春夏、田中結子、
吉川留衣、矢島まい、渡辺理恵

―第2幕―
ミルタ: 高木綾
ドゥ・ウィリ: 奈良春夏、田中結子

指揮: アレクサンドル・ソトニコフ
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

2008-09-20 00:35
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海賊 アメリカン・バレエ・シアター 2008年日本公演 [バレエ]2008-07-20 [バレエ アーカイブス]

 今どきフェッテで手拍子する馬鹿がまだいたなんて…。しかも音楽とズレズレで。さらに観客の皆をリードしようとする確信に満ちた手拍子で呆れ果てた。歌舞伎の「勧進帳」の飛び六方でも手拍子しよとする観客がいて、誰もついてこなくて消えてしまうと「チェッ」という感じで不満そうに手拍子止めたご婦人。同じ人?とにかく空気を読めなくて本当にいらついた。だからカーテンコールも観ないで帰ってきた。これ以上不愉快になりたくないので。

 さてコレーラのアリが目玉だった今回の公演。残念ながら怪我のため来日せず、代役?にカレーニョがアリを演じた。「海賊」は男性ソリストの見せ場が多くてコンラッド、アリ、ランケデムに豪快なテクニックの持ち主が揃えば盛り上がるものである。前回、ABTが「海賊」を持ってきたときも驚くほど盛り上がり、お祭り野郎のコレーラに期待していたのだがそれを補ってあまりあるほどの強力な布陣で楽しめた公演だった。

 最初に驚きをもって観たのは、ソリストながら21日公演のコンラッドにもキャスティングされているランケデムを踊ったゲンナジー・サヴェリエフである。スピード感溢れる大技を連発。こういう超絶技巧はコレーラにもの?と思っていただけにソリストにコレをやられたら、コレーラがよけいに燃え上がってさらに凄い技を出したのではないかなあと想像した。

追記 JAのホームページに以下の記事を発見

「海賊」公演で多くの話題を集めていたサヴェリエフのジャンプ!
正式な名前は「カジョール・リヴァルタット」というそうです。
後ろ向きの姿勢から入り、半回転(180度)さらに1回転(360度)しているので、ABTの中では「540」と呼ぶことが多いと、サヴェリエフ本人が教えてくれました。

 そして第2幕冒頭のパ・ド・トロワ。アリのカレーニョも頑張っているのだが、とっても普通に見えてしまう。さらにコンラッドのゴメスも素晴らしくガッツポーズ?してしまうほどの会心の演技だったのか面白くは観た。でもそれだけ。ニーナ・アナニアシヴィリを観てしまうと、何もかも霞んでしまったのである。

 そのニーナ。噂だけでなかなか日本では観られない時期もあって幻のダンサーだったこともあるが、ある時期から来日するようになって、シルヴィ・ギエムと並んで最強?のダンサーだったこともある人だ。今回も恐ろしいほど早い回転技などを披露して満足させてくれた。しかし単に超絶技巧の持ち主というだけではないのが彼女の凄いところである。

今回も最も満足を味わうことになったのは、第2幕のパ・ド・ドゥが終わってから衣裳を変えての「寝室のパ・ド・ドゥ」であった。一瞬、マクミランの「マノン」や「ロミオとジュリエット」が始まったのかと錯覚しそうになったくらい情感に溢れた踊りが始まって深い感動を味わった。もうこれを観られただけで大満足である。パートナーのゴメスもよくて、超絶技巧大会になりがちな「海賊」を芸術の高みに引き上げていたように思う。

 舞台全体は古色蒼然。たぶんツアー用に作られたものなので全体に薄っぺらい。衣裳の趣味は悪い。コールドは個性的というか全然揃わない。といいところなし。ニーナも第3幕で手をついてしまうなど失敗もあったが、80年代からバレエ界を牽引したともいえるニーナ・アナニアシヴィリのABTとの最後の来日公演を観られて満足。コレーラが来日して超絶技巧を披露していたら、細かなニュアンスに富んだ彼女のバレエを見逃していたかもしれない。カレーニョのアリは控え目だったけれど悪目立ちしてしまいそうだから。

2008年7月19日(土) 6:30p.m~9:05p.m.
海  賊
プロローグ, 3 幕とエピローグ

演出 : アンナ=マリー・ホームズ
振付・台本改訂 : コンスタンチン・セルゲーエフ
原振付 : マリウス・プティパ
音楽 : アドルフ・アダン,チェーザレ・プーニ,レオ・ドリーブ,
リッカルド・ドリゴ,オリデンブルク公爵
台本 : ジュール=アンリ・ド・サン=ジョルジュ,ジョゼフ・マジリエ
装置・衣裳 : イリーナ・コンスタンチノヴナ・チビノワ
衣裳デザイン補足 : ロバート・パージオラ
照明 : メアリー・ジョー・ドンドリンガー
指揮 : オームズビー・ウイルキンス
管弦楽 : 東京ニューシティ管弦楽団

コンラッド (海賊の首領) : マルセロ・ゴメス
ビルバント (コンラッドの友人) : サッシャ・ラデツキー
アリ (コンラッドの奴隷) : ホセ・マヌエル・カレーニョ
ランケデム (市場の元締め) : ゲンナジー・サヴェリエフ
メドーラ (ギリシャの娘) : ニーナ・アナニアシヴィリ
ギュリナーラ (パシャの奴隷) : ミスティ・コープランド
セイード・パシャ (コス島の総督) : ヴィクター・バービー
海賊の女 : マリアン・バトラー
海賊たち : アレクセイ・アグーディン,グラント・デロング,ケネス・イースター,ジェフリー・ガラデイ,
        アレクサンドル・ハムーディ,ブレイン・ホーヴェン,パトリック・オーグル,アイザック・スタッパス
海賊の女たち : ジェマ・ボンド,カリン・エリス=ウェンツ,ツォンジン・ファン,アン・ミルースキー,
           ルチアーナ・パリス,サラワニー・タナタニット,カレン・アップホフ,ジェニファー・ウェイレン
オダリスク : マリア・リチェット,クリスティ・ブーン,ヴェロニカ・パールト
赤い服の衛兵 : ミハイル・イリイン,ジョゼフ・フィリップス,アレハンドロ・ピリス=ニーニョ,ルイス・リバゴルダ
商人たち : ダニエル・マンテイ,コリー・スターンズ,ショーン・スチュワート,ロマン・ズービン
市場の女たち : ユン・ヨン・アン,ニコール・グラニーロ,イサドラ・ロヨラ,アマンダ・マグウィガン,
           エリーナ・ミエッティネン, ローレン・ポスト,クリスティーン・シェヴチェンコ,デヴォン・トイチャー,
           メアリ・ミルズ・トーマス,キャサリン・ウィリアムズ
海賊の踊り : マリアン・バトラー,サッシャ・ラデツキー,海賊たち
フォルバン : マリアン・バトラー,サッシャ・ラデツキー
         カリン・エリス=ウェンツ,ルチアーナ・パリス,アレクセイ・アグーディン,アイザック・スタッパス
パシャの助手 : アレハンドロ・ピリス=ニーニョ
黄色い服の女たち : マリアン・バトラー,マリーヤ・ブイストロワ,ツォンジン・ファン,アン・ミルースキー,
              レナータ・パヴァム,カレン・アップホフ
オレンジ色の服の女たち : カリン・エリス=ウェンツ,メラニー・ハムリック,シモーン・メスマー,ルチアーナ・パリス,
                 メリッサ・トーマス,ジェニファー・ウェイレン
赤い服の女たち : ジェマ・ボンド,イザベラ・ボイルストン,ニコラ・カリー,ニコール・グラニーロ,
エリザベス・マーツ,ジャクリン・レイエス,ジェシカ・サーンド,ヒー・セオ,サラ・スミス,
            サラワニー・タナタニット,デヴォン・トイチャー,リーヤン・アンダーウッド
子どもたち : バレエ シャンブルウエスト (指導:今村博明,川口ゆり子)
井内あかね,木浦愛,細川晶羽,松田彩奈,高橋采弓,橋本泉萌,穴戸響生,柴田実樹,
出井龍之介, 石原稔己,中嶋こころ,高橋奏音
パシャの妻たち : ユン・ヨン・アン,ジェマ・ボンド,イザベラ・ボイルストン,ニコール・グラニーロ,
イサドラ・ロヨラ,アマンダ・マグウィガン,エリーナ・ミエッティネン,ローレン・ポスト,
ジェシカ・サーンド,サラ・スミス,サラワニー・タナタニット,デヴォン・トイチャー,
メアリ・ミルズ・トーマス,リーヤン・アンダーウッド,カレン・アップホフ,ジェニファー・ウェイレン

2008-07-20 09:30


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眠れる森の美女 英国ロイヤル・バレエ団 2008年日本公演 [バレエ]2008-07-12 [バレエ アーカイブス]

2008年7月12日(土) 18時開演  東京文化会館

国王フロレスタン24世: ギャリー・エイヴィス
お妃: ジェネシア・ロサート
オーロラ姫: タマラ・ロホ
フロリムント王子: フェデリコ・ボネッリ
式典長/カタラビュット: ジョシュア・トゥイファ
カラボス: エリザベス・マクゴリアン
リラの精: イザベル・マクミーカン

―プロローグ―
澄んだ泉の精: 崔 由姫
お付きの騎士: リカルド・セルヴェラ
魔法の庭の精: ラウラ・モレーラ
お付きの騎士: ヴァレリー・ヒリストフ
森の草地の精: マーラ・ガレアッツィ
お付きの騎士: ヨハネス・ステパネク
歌鳥の精: サマンサ・レイン
お付きの騎士: ジョゼ・マルティン
黄金のつる草の精: ヘレン・クロウフォード
お付きの騎士: 佐々木 陽平
リラの精のお付きの騎士: ルパート・ペネファーザー
妖精のお付きたち、貴族、伝令官、カラボスの手下: 英国ロイヤル・バレエ団

―第1幕―
フランスの王子: ベネット・ガートサイド
スペインの王子: ヨハネス・ステパネク
インドの王子: ヴァレリー・ヒリストフ
ロシアの王子: ルパート・ペネファーザー
オーロラ姫の友人: ヘレン・クロウフォード、セリーサ・デュアナ、
ヴィクトリア・ヒューイット、ベサニー・キーティング
小林 ひかる、イオーナ・ルーツ、
エマ・マグワイヤー、サマンサ・レイン
編み物をする女たち、ガーランド、ワルツ、貴族: 英国ロイヤル・バレエ団

―第2幕―
伯爵夫人: ジリアン・レヴィ
王子の側近: アラステア・マリオット
王子の随員、狩りの一行、妖精たち: 英国ロイヤル・バレエ団

―第3幕―
フロレスタンと姉妹たち: リカルド・セルヴェラ、小林 ひかる
サマンサ・レイン
長靴を履いた猫と白い猫: ジョナサン・ハウエルズ、ベサニー・キーティング
フロリナ王女と青い鳥: ラウラ・モレーラ、ジョゼ・マルティン
赤ずきんと狼: イオーナ・ルーツ、トーマス・ホワイトヘッド
グラン・パ・ド・ドゥ: タマラ・ロホ、フェデリコ・ボネッリ
おとぎ話の主人公たち、妖精のお付きたち、小姓たち: 英国ロイヤル・バレエ団

協力: 東京バレエ学校
指揮: ワレリー・オブシャニコフ
演奏: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

今回の来日公演、人気はコジョカルの出演日に人気が集中したようだが、残念ながら怪我?で来日不可能になる。天使は最初からタマラ・ロホねらいだったので無問題。さて超絶技巧の持ち主、タマラ・ロホのオーロラ姫ってどうなんだろうと思ったが、演技もなかなかの好演で楽しめた。

 眼目?の第1幕のローズ・アダージョ、3人目の王子の手を離した後は、ポーズを決めたまま微動だにせず4人目の王子はパス。なんという長いバランス!音楽がなけれれば、ずっと立っていたに違いない。もうビックリ!ただただ驚いた。オーロラ姫がそれでいいのかという問題は残るが、タマラ・ロホらしいカッ飛びぶりで野暮なことをいうのは止めたほうがよさそう。本当に彼女らしいオーロラ姫だった。その後もピルエットの回転、いつもより余計に回っております状態で、本来のオーロラ姫からますます遠ざかるが、タマラ・ロホなので・・・。とにかく安定感抜群で目の覚めるような技の連発で驚き続けた。第2幕も期待以上の出来で満足。

 おかげで共演者は何をやっても目立たない。フェデリコ・ボネッリ の王子、エリザベス・マクゴリアンのカラボスなど頑張っていたが、タマラ・ロホの圧倒的な存在感には敵ではなかった。オケが下手だったり、時代ものの美術を復元の上演なので古色蒼然で全体的に安っぽかったりしたが、前回までのスターダンサーが引退し、過渡期?にあるロイヤル・バレエ団の今の実力を知るには格好の公演だった。

2008-07-12 23:52

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バレエ・フォー・ライフ モーリス・ベジャール・バレエ団 2008年日本公演 [バレエ]2008-06-14 [バレエ アーカイブス]

6月14日(土) 15:00開演 / 東京文化会館

イッツ・ア・ビューティフル・デイ: カンパニー全員
フレディ: ジュリアン・ファヴロー
タイム/レット・ミー・リヴ: カンパニー全員
ブライトン・ロック:ダリア・イワノワ、エリザベット・ロス、ティエリー・デバル
          ジル・ロマン、カテリーナ・シャルキナ
          オクタヴィオ・デ・ラ・ローサ、ルイザ・デイアス=ゴンザレス
ヘヴン・フォー・エヴリワン:アレッサンドロ・スキアッタレッラ
                ジル・ロマン
天使: エクトール・ナヴァロ
ボーン・トゥ・ラヴ・ユー: エリザベット・ロス
              ダフニ・モイアッシ
モーツァルト「コシ・ファン・トゥッテ」: ジル・ロマン、カテリーナ・シャルキナ
                      オクタヴィオ・デ・ラ・ローサ、ルイザ・ディアス=ゴンザレス
モーツァルト「エジプト王タモス」への前奏曲: ジル・ロマン
ゲット・ダウン・メイク・ラブ: カテリーナ・シャルキナ、ジル・ロマン
                ダリア・イワノワ、ティエリー・デバル、ジュリアン・ファヴロー
モーツァルト「協奏曲第21番」: ダリア・イワノワ、ティエリー・デバル
                   アレッサンドロ・スキアッタレッラ、ヴィルジニー・ノペ
シーサイド・ランデヴー: カトリーヌ・ズアナバール
テイク・マイ・ブレス・アウェイ: カテリーナ・シャルキナ、ジル・ロマン
モーツァルト「フリーメーソンのための葬送音楽」:ジル・ロマン
Radio Ga Ga: ドメニコ・ルヴレ
ウインターズ・テイル: オクタヴィオ・デ・ラ・ローサ、アレッサンドロ・スキアッタレッラ
             ヴィルジニー・ノペ
ミリオネア・ワルツ:那須野 圭右
            ジュリアーノ・カルドーネ、ヨハン・クラプソン
            ニール・ジャンセン、ヴァランタン・ルヴァラン
ラヴ・オブ・マイ・ライフ―ブライトン・ロック:ジル・ロマン、カテリーナ・シャルキナ
                         オクタヴィオ・デ・ラ・ローサ、ルイザ・ディアス=ゴンザレス
ブレイク・フリー(フィルム): ジョルジュ・ドン
ショー・マスト・ゴー・オン: カンパニー全員


 前回の来日公演から2年。10年間で4演目の「バレエ・フォー・ライフ」の舞台である。さすがに前回の五反田・簡易保険ホールでの上演が最後だとばかり思っていたら、ベジャールが亡くなって追悼公演という位置づけになったらしい。前回は、あまり感動がなく、むしろ「愛、それはダンス」の方に、ベジャールの惜別の想いが込められていて切なくなり、ホールから大崎駅まで泣きながら歩いたのが、ついこの間のことだと思っていたら、もう2年の歳月が流れていたとは。そして日本初演から10年が経過したのである。

 クラシック音楽とオペラをこよなく愛し、ロックは苦手だとばかり思っていた友人のCypressさんと席は別だが一緒に観劇。終演後、食事と飲みに出かけるため公園口から上野駅前に続く坂道を「ベジャールは天才だね…」とつぶやいただけで、二人は黙って歩いた。ホームに出るまでお互いに顔を見あわせることができなかった。涙が止めどもなく溢れたからである。何よりも二人の心を激しく揺さぶったのは、このバレエは、ベジャールが愛したジョルジュ・ドンに捧げられたこと、そしてベジャールが本当にドンを愛していたことを、この舞台を通じて知ったからである。

 天使とCypressさんとベジャールとの共通点があるとすれば、ともに最愛の人を亡くして苦しんだ経験があるということだろうか。この作品の最後にドンの映像が流れる。道化の姿で十字架に架けられ、そのあまりにも悲しげな目は観る者の心を震わせずにはおかなかった。けっして美しい姿ではなく、悩み苦しんでいるかのようなドンを、あえてここに映し出さずにおれなかったベジャールの深い愛に感動した。

 そして天使自身も7年前に亡くなった最愛の人に同じように愛されていたのだという記憶が怒濤のように押し寄せてきて、次のショー・マスト・ゴー・オンからカーテンコールまで泣き通しだった。そう10年前、六本木駅から日比谷線に乗って、東横線を経て桜木町へ。バスに乗り換えて神奈川県民ホールの「バレエ・フォー・ライフ」日本初演へ出かけたことが、その日の空気の色までも鮮明に蘇ってきた。理解しがたい奇妙な作品を創作することも多かったベジャールの傑作に立ち会ったこと。絶大な人気のあったジョルジュ・ドンを追悼する意味もあって、劇場内には異様な熱気に満ちていたこと。そしてカーテンコールでは、ベジャール自身が舞台の中央に立ち、ダンサー達と舞台端に進んできたこと。観客は今日の観客以上に熱狂し、自然発生的にスタンディング・オベーションで応えた。

 同性愛であろうとなんであろうと、亡くなった最愛の人にこれ以上の贈り物はなかっただろうバレエ作品。終演後、ニューグランドホテルのイタリア料理店で彼と二人で食事をしていると、NBSの佐々木氏、広渡氏らに引き連れられてバレエ団の一行が店に入ってきた。ジル・ロマン、そしてベジャール自身も!二人は食事を中断して拍手で彼らを迎えた。まるで映画の1シーンのようだった。ベジャールは、あの美しい目で二人を見つめて感謝を表してくれた。でも、その瞳には悲しみの色があったような気がする。それから3年後、今度は天使が同席していた最愛の人を失うことになるのだが、もしかしたらベジャールは天使達の運命を知っていたのかもしれない。そう思えてならないのだ。

 もし今日の「バレエ・フォー・ライフ」を退屈に感じたならば(実際に途中で退場してしまった老紳士がいた)、エイズで亡くなったジョルジュ・ドンがどんなに素晴らしいダンサーだったか、その最晩年の舞台が「死の影」に満ちていたこと、そしてこれ以上はないほど、惨めで寂しい死に方をしたかを知らないに違いない。あるいは、最愛の人を亡くしていない幸福な人か、未だ最愛の人に出会えない不幸な人に違いない。

 本日のキャストは、ジル・ロマン、ジュリアン・ファヴロー、エリザベット・ロス、 カトリーヌ・ズアナバール 、オクタヴィオ・デ・ラ・ローサら最強のキャスト。今が旬、賞味期限ぎりぎりといった感じで、もし数年先にまた再演?ということがあっても、このキャストでの再現は困難ではないかと思われる。もちろんダンサーの側にもそうした想いがあるのか、情熱をこめて踊っているのが痛いほど伝わってきた。

 ノリノリになりたい気持はわかるが、客席後方から観客をリードしようという意図がみえみえの拍手が実に耳障り。追悼公演なので、舞台に対し積極的な反応は、かえってマイナスのような気がした。Radio Ga Gaの手拍子はちょっとしてみたかったけれど…。もちろん積極的な生命への讃歌がテーマのバレエ作品ではあるが、舞台を覆い尽くす「死の影」がつきまとっていたように思う。それでも振付家の死は、少しずつ舞台への緩みになっているようで、完成度が足りない部分も散見された。他の作品同様、ベジャールの作品をいかに継承していくかが、このバレエ団の課題になるであろう。16年前に亡くなったドンやベジャールのことを知らないダンサーが増えてくるのかと思うと少し心配。

 いろいろな曲で構成されている作品だが、冒頭のイッツ・ア・ビューティフル・デイの比類なき美しさ(天使の携帯の着うた)、ボーン・トゥ・ラヴ・ユー(天使のカラオケ・レパートリー)のエリザベット・ロスのスケールの大きなダンス。そしてすべての彼の登場する場面で圧倒的な存在感をしめしたジル・ロマンの素晴らしさ。そして何よりもモーツァルトとクイーンの楽曲にバレエを振付をするという破天荒な試みを成功させたベジャールの天才ぶりを改めて思いし知らされた。

2008-06-14 23:46
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