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眠れる森の美女 シュツットガルト・バレエ団 2008年日本公演 [バレエ]2008-11-24 [バレエ アーカイブス]


NBS主催の公演のせいか、客席の中央通路のすぐ後ろの主催者用の席にエディタ・グルベローヴァを発見!昨日は大阪公演だったはずなのに、11月27日の横浜公演に備えて東京に戻ったらしい。バレエファンでオペラも大ファンの某氏によれば、次回の来日は2011年のバイエルン国立歌劇場の「ナクソス島のアリアドネ」のツルビネッタを歌うらしい。とってもとっても楽しみ。会場にはバレエファンが多いせいか、あまり彼女には関心が無かった模様で、リラックスしてカーテンコールでは、出演者に熱心に拍手を贈っていたのが何より。

 さてシュツットガルト・バレエ団2008年日本公演は「眠れる森の美女」で23日に開幕。25日のダイムラーの貸し切り公演を含めて4回上演されるが、一般公開は今日が東京公演の最後。来月になって岩国と西宮でも上演するらしい。マリシア・ハイデ振付・演出によるシュツットガルト・バレエ団版は20年ほど前に日本でも公開されていて、久しぶりの上演。
一番の特徴は、カラボスを歌舞伎の女方の着想を得て男性ダンサーがダイナミックに踊ること。

 今日のカラボスはフィリップ・バランキエヴィッチで今まで観たどの版のカラボスよりも力強かったと思う。今までのイメージを覆すような存在となった。黒の巨大なマントを翻し、舞台を圧するような迫力で目を見張らせた。舞台の枠をもはみ出すような様々な演出が施されていて面白い。ハイデの単なる日本趣味の演出かと思ったら、なかなかオリジナリティに溢れていて面白かった。

 特にプロローグから第一幕の舞台転換の間に、天井から吊り下げられた黒い幕を巧みに操って、オーロラ姫の成長の様子を見せる場面は秀逸。そのマントが振り落としになるのも歌舞伎演出の応用だが、単なる思いつきではない工夫で感心した。

 舞台は白の床と舞台をコの字型に取り囲むバルコニーが基本となり、ばら垣や背景幕を変化させて舞台を転換していく。おかげで休憩時間が2回あり、上演時間が延びてしまったが、それだけの効果はあったように思える美しい舞台だった・特に衣裳の色合いの美しかったこと、ユルゲン・ローゼの20年前の仕事だが、少しも古さを感じさせないものだった。

 舞踊的にはダンサー出身のマリシア・ハイデらしい心憎いまでの振付と演出が色々試みられていて面白い。特に第3幕のディヴェルティスマンには、「海賊」を思わせるようなアリ・ババが登場して大活躍。案外グラン・パ・ド・ドゥが地味なので、こうした工夫は大歓迎。

 大問題だったのは、主役コンビのオーロラ姫のアンナ・オサチェンコとデジレ王子のマリイン・ラドメイカーに魅力が乏しかったこと。二人とも若いプリンシパル・ダンサーだが、アンナ・オサチェンコの登場時のオーラのなさと不安定な技術水準にガッカリ。あんなにあっけない「ローズ・アダージョ」は久しぶり。デジレ王子のマリイン・ラドメイカーもイケメン風なのだが、なんとか踊ってますというレベルで余裕がなさすぎ。第2幕は、本当に退屈で退屈で、二人が頑張ってくれなければ絶対に盛り上がらない場面なのに、さすがのハイデ演出でも救えなかったようである。

けっきょく、カラボスのフィリップ・バランキエヴィッチがすべてを支配した舞台になったようである。初演のリチャード・クラガンもよかったが、強烈な印象を残したのはフィリップ・バランキエヴィッチだったかも。それと美術・衣裳・照明が傑出していたのも覚えておきたいと思う。しかしなが知名度のせいか、3回以上の客席には空席が目立ったのは残念だった。観ておいても損はなかった舞台だったと思う。もうひとつの演目「オネーギン」にもでかけるはずだったのに、急用でいけなくなり、今月はこれが最後の舞台となった。

2008年11月24日(月・祝)3:00p.m.  東京文化会館
 
シュツットガルト・バレエ団 2008年日本公演
眠れる森の美女
シャルル・ぺロー『眠れる森の美女』に基づく全3幕プロローグ付きバレエ
振付:マリシア・ハイデ(マリウス・プティパの原典に基づく)
演出:マリシア・ハイデ
音楽:ピョートル・I. チャイコフスキー
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ
照明:ディーター・ビリーノ
世界初演:1987年5月10日シュツットガルト・バレエ団

オーロラ姫:アンナ・オサチェンコ
デジレ王子:マリイン・ラドメイカー
カラボス:フィリップ・バランキエヴィッチ
リラの精:ミリアム・サイモン
王:ヘルマー・ポーロカット
王妃:メリンダ・ウィサム
カタラビュット:トーマス・ダンヘル
乳母:ブリギット・デハルデ
<プロローグ>                                <第3幕>
澄んだ泉の精:  オイハネ・ヘレーロ              ~オーロラの結婚式~
黄金のつる草の精: ヒョー=チャン・カン             グレーテル: ナタリー・グス
森の草地の精: ダニエラ・ランゼッティ               ヘンゼル: ウォン・ヤオスン
歌鳥の精: カタジナ・コジィルスカ                 シンデレラ: アンジェリーナ・ズッカリーニ
魔法の庭の精: マグダレーナ・ジギレウスカ              王子: オズカン・アイク
お付きの騎士:  ローランド・ハヴリカ、ウィリアム・ムーア、   青ひげ公: マキシム・キローガ
ペトロ・テルテリャーン、ディミトリー・マギトフ、              王女: アレッサンドラ・トノローニ
ダミアーノ・ペテネッラ、ローラン・ギルボー          シェヘラザード:エリザベス・ヴィセンベルク
宮廷の人々: シュツットガルト・バレエ団             アラジン: ペトロ・テルテリャーン
                                     コロンビーヌ: アナベル・フォーセット
<第1幕>                              アルルカン: ルドヴィコ・パーチェ
~オーロラの誕生日~                      カエルの王子: チャールズ・ペリー
東の王子:  ディミトリー・マギトフ                 王女: ビリャナ・ヤンチェヴァ
北の王子: エヴァン・マッキー             お姫さまとえんどう豆: へザー・チン
南の王子: ダミアーノ・ペテネッラ                 王子: ブレント・パロリン
西の王子: アレクサンダー・ジョーンズ             中国の王女: ジュリア・ムニエ
オーロラ姫の友人: ナタリー・グス、 官吏: デヴィッド・ムーア
マリア・アラーティ、 白雪姫:レネ・ライト
アレッサンドラ・トノローニ、
ダニエラ・ランゼッティ、 ~ディヴェルティスマン~
クリスティーナ・バーネル、 アリ・ババ: アレクサンダー・ザイツェフ
カタジナ・コジィルスカ ルビー: マグダレーナ・ジギレウスカ
宮廷の人々、庭師:シュツットガルト・バレエ団 サファイア:オイハネ・ヘレーロ
エメラルド:ダニエラ・ランゼッティ
<第2幕> アメジスト: ミリアム・カセロヴァ
~狩りの場、幻を見るデジレ王子、オーロラの目覚め~ 長靴を履いた猫:アルマン・ザジャン
伯爵夫人: オイハネ・ヘレーロ 白い猫:カタジナ・コジィルスカ
カラボスの家来:シュツットガルト・バレエ団 青い鳥:ウィリアム・ムーア
宮廷の人々、妖精たち:シュツットガルト・バレエ団 王女:ローラ・オマリー
赤ずきん:クリスティーナ・バーネル
狼:ミハイル・ソロヴィエフ
協力:東京バレエ学校、東京バレエ団
指揮:ウォルフガング・ハインツ
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

プロローグ、第1幕
15:00-16:15
休憩25 分
第2幕
16:40-17:10
休憩25 分
第3幕     
17:35-18:15

2008-11-24 21:58
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