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国姓爺合戦  平成27年2月文楽公演・第3部  国立劇場小劇場 [文楽]

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今年は旧正月が2月半ばなので、日本国中に中国人観光客があふれかえっている感じである。日中関係が険悪とはいうものの、それは政府間だけのことであって、少なくとも来日している一般人にはそうした意識はあまりなさそうだ。と言うより、むしろ大好きなのでは?と思えてならない。地元の駅前のラーメン屋に日本式のラーメンと中国語の看板が下がり、中国人が大行列だったのは驚いた。

亡くなったドイツ・ワインゼッカー大統領の演説から

罪が有ろうと無かろうと、我々は過去を受け継がなければならない。
若者と老人は、戦争の記憶を生々しく保つ事の重要性について、理解しなければならない
それは過去に目をとずる者は、現在にも盲目となる

今の日本は、70年以上前のことに目を閉ざそうとしている。こうした中国人の観光客が訪れる時期だからこそ、お互いに理解し合うことが大切なのかもしれない。見方によっては、微妙な具合、中国人にとっては屈辱的とも思える演技で笑いを誘ったりする場面もないではない『国姓爺合戦』ではある。文楽に限っては、あまりそうした事を言い出さないし、古典芸能であれば、多少のことは問題にならないというよりも、世間一般はほとんど注目していないということだろうけれど。さすがに3月まで上演が続くとはいうものの、寒い時期の三部制で目玉がないとなれば、客足も鈍くなるのは仕方がない。こんな時こそ劇場へ足を運ぶのが本当の文楽ファンなのだと思う。

「千里が竹虎狩りの段」は、若手中心の舞台。着ぐるみの虎の登場で客席がわいたが、伊勢神宮のお守りで虎がおとなしくなるという馬鹿馬鹿しさがなんと素敵である。

「楼門の段」は呂勢大夫と清治、「甘輝館の段」は千歳大夫と富助、「紅流しより獅子が城の段」は咲甫大夫と宗助と、これから期待される大夫が登場で大いに楽しんで聴くことができた。彼らに文楽の将来を託すしかないのである。呂勢大夫の三味線が清治だったのも、そうした展望があってのことだと思った。

甘輝が玉女、錦祥女が清十郎、和藤内が玉志とこちらも文楽を支えていくであろう人々の出演。初日で客席に住大夫がいたこともあってか、緊張感があってよい舞台だったと思う。そうした緊張からか第3部ではないが、口上の黒衣が大夫の名前を忘れてしまって立ち往生。プロンプター?に助けられるという珍事もあった。長い文楽の観劇の中でも2回目のことだった。よほど緊張していたのだろう。

チケットが売れていないのは、逆に考えれば、観たくても観られなかった人が文楽を体験するチャンスでもある。今回は外国人観光客の姿もあったし、2020年の東京オリンピックに向けてさらに増えていくことだろう。日本にしかない古典芸能は、観光客誘致の大きな武器になるはずである。そんなことに気がつかない大阪の市長は大馬鹿者である。


タイムテーブル

配役

<第三部>6時開演

 国性爺合戦
    千里が竹虎狩りの段
    楼門の段
    甘輝館の段
    紅流しより獅子が城の段

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