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菅原文太と劇団四季 [演劇]



菅原文太さんが亡くなった。映画『仁義なき戦い』も『トラック野郎』も縁がなかったが、彼は劇団四季でデビューしたらしい。『間奏曲』ジャン・ジロドゥ作は1954年12月に上演されたという。 その時の配役は、イザベルが藤野節子、水島弘が検査官、日下武史が視学官、井関一が町長といった創立メンバー。首斬役人Ⅰで菅原文太が出ていたとか。

天使が映像でのスターの彼を意識するよりも舞台人として印象深い役を演じているのを思い出す。それは昭和59年サンシャイン劇場で上演されたパトリック・マイヤーズ作「K2」である。 菅原文太と木之元亮の二人芝居で、標高8611メートルを誇る世界第2の高峰「K2(ケー・ツー)」が舞台。世界最高峰のエベレストよりも登頂者が少なく、難易度ではエベレストをしのぐ「非情の山」として知られている。

物理学者ハロルドと地方検事補テイラーは、K2登頂を果たすも、下山途中の8100メートル付近で遭難してしまう。零下40度以下、酸素も薄く、寝袋もテントもない。そして、ハロルドは足を骨折し、氷壁のレッジ(岩だな)で、身動きが取れないという危機的状況。容赦なく襲いかかる大自然の脅威を前に、2人はお互いの人生を話し出す……。極限状態に置かれた登場人物の、生と死の葛藤を通し、人間の本性を浮き彫りにする究極の人間ドラマ。

菅原文太は物理学者ハロルドを演じて、オーケストラピットから劇場の天井まで巨大な氷の壁面をつくり、実際に出演者が登山をしてみせるという芝居で、2010年には堤真一と草なぎ剛で再演している。

絶望的な状況の中で感動的な幕切れを迎えるが、あまりの感動の大きさ深さに、しばらく誰も拍手すらできなくて劇場が沈黙に包まれたのを思い出す。何かというと我先に拍手をし、スタンディングオベーションをしてしまう軽薄な観客と違い、かつては深い感動を味わう余裕が観客にもあったのを思い出した。

ご冥福を心からお祈りいたします。

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