愛の妙薬 新国立劇場 [オペラ]
新しい歌舞伎座の前売りが始まったが、初日の第一部の全席と第二部・第三部の三階席が売り切れのほかは売れ行きが芳しくないらしい。さすがに一等席が2万円という強気の価格設定が災いしたのか、あるいは勘三郎、團十郎という大看板が相次いで亡くなってしまった影響なのだろうか。新国立劇場の『愛の妙薬』も土曜日の昼公演だというのに空席が目立っていた。さらに、その後で出掛けた国立劇場の文楽『妹背山婦女庭訓』も空席が多かった。2月は興行的に難しい時期とはいえ、舞台芸術には厳しい時代に突入したようである。
さて、アントニーノ・シラグーザがネモリーノを歌うのが唯一の聴きものだったかも。ジュリアン・サレムクールの指揮する東京交響楽団は『タンホイザー』に続いてパッとしない印象。演出も『ドン・ジョヴァンニ』でも使用した?鏡のような床面を使い、「トリスタンとイゾルデ」の巨大な本が袖を飾っていて、イタリア語、日本語、ドイツ語で題名が書かれているという外国人美術家がやっちいました!という感じで少々違和感が…。
主演者のカツラ、衣裳は何故か原色で安っぽく、両側の袖の本の函から本が引き出されてきて舞台を覆って舞台転換という考えぬかれたものなのだが、あまりピンとこなかった。ドゥルカマーラはセスナ機に乗って登場するのだが、兵士達の描写も含めて時代設定があいまい。
文字をモチーフにシンプルながら工夫が凝らされていたが、あまり舞台が弾まなかったのが残念だった。あまり芝居らしい演技がつけられていなかったからかもしれない。まあ一番の問題は、音楽が退屈だったということに尽きた。上演時間が2時間半と短かったはずなのに、非常に長く感じられ椅子に座っているのが辛かった。
指揮:ジュリアン・サレムクール
演出:チェーザレ・リエヴィ
美術:ルイジ・ペーレゴ
衣裳:マリーナ・ルクサルド
照明:立田雄士
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京交響楽団
キャスト:
アディーナ:ニコル・キャベル
ネモリーノ:アントニーノ・シラグーザ
ベルコーレ:成田博之
ドゥルカマーラ:レナート・ジローラミ
ジャンネッタ:九嶋香奈枝
14:00-15:10
休憩 25分
15:35-16:35
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