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劇団四季『キャッツ』横浜公演の開幕によせて [エッセイ]2009-11-12 [エッセイ アーカイブス]

 2009年11月11日劇団四季の看板ミュージカル『キャッツ』横浜公演が、横浜駅から10分の場所に建設された「キヤノン・キャッツ・シアター」で開幕した。詳しくはこちら。
 劇団四季の看板ミュージカルで、初演から25年だそうでブロードウェイのロングラン記録を抜くのだそうである。来年にはある。西新宿の京王プラザホテルの隣に初代キャッツシアターのテント張りの仮設劇場が作られた。今ではシルク・ド・ソレイユの劇場も仮設の移動式だったりするが、当時は大変珍しかった。外部の音が観客席に伝わってきてしまったりして、なかなか上演に際しては大変なこともあったらしいが、大ヒットして異例の1年間のロングランとなった。フジテレビや味の素がスポンサーになり、フジテレビに盛んにCMが流れていた。

 劇場内部は1階席のみのワンスロープで、舞台後方にはボックス席という特別席があったりした。さすがに不評だったのか、それ以降は設けられていない。その後、東京では、新宿の南口で上演され、品川で、そして五反田と首都圏では都内の山手線沿線の公演地を転々としてきた。前回までの五反田では4年半のロングラン公演だったので、さすがに「キャッツ」でも観客動員の面では厳しい時期もあり、客席の半分も入っていない寂しいこともあった。

 今回は横浜で初めて都内を出た公演地である。平日は18時30分開演で、何度も観るリピーターに支えられている面もあるのに、都内からでは仕事帰りに気軽にというのは大変だと思われる。動員では修学旅行ねらいなのかもしれないが、新型インフルエンザでどうなることやら…。入場料の値下げや、ファミリーゾーンの設定という事実上の値引き販売などに活路を見出そうとしているが、「キャッツ」の神通力が通じるかどうか見守っていきたい。

 天使は初演を当然のことながら観ている。今では当たり前のコンピューターでのチケット発券(チケットがコンピューターで印刷されて郵送されてくるだけ)が、この作品から始まった。発売初日に公衆電話に張り付いてダイヤルしまくったおかげで、12月1日の回転席の最前列のど真ん中がとれたのを覚えている。さすがに最前列は恥かしいので、それ以降は回転席は買わないようにしているけれど。猫にみつめられて台詞を語られると恥かしいが、また体験してみたいような気もする。

 記者会見の時にいた市村正親が初演メンバーに入っていなかったり、バストファジョーンズの衣裳がルイ・ヴィトン?のロゴを無断でパックって問題になったり、いろいろ話題があったけれど、ダンス力も歌唱力も、現在とは格段に劣っていたのは疑いがなかった。

 なにしろミストフェリーズを演じた飯野まさみが一番の見せ場であるグランフェッテが全くできないヘタレぶりだったのである。回転はするが、回転のたびに足を床につくというバレエの技術の未熟さを露呈したものだった。まともに踊ることできたのは、加藤敬二の出演以降からだったのではなかったろうか。歌って踊るという技術面に関しては、現在は申し分のない高いレベルにあるのは間違いがない。

 忘れられないのは志村幸美のグリザベラの熱唱で、いまだに彼女の歌を超える役者に会わない。名曲「メモリー」が歌われると、必ず思い出すのは彼女のことである。40歳を目前に亡くなってしまった彼女。天使と同年代のはずである。もう亡くなって11年になる。今回も横浜まで足を伸ばすことになると思うが、また彼女のことを思い出して泣いてしまいそうである。


2009-11-12 00:37

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