SSブログ

「劇場の天使」の熱狂の日  5月5日 [演奏会]2009-05-06 [演奏会 アーカイブス]

 今日は一日東京国際フォーラムでバッハ漬け。朝9時30分から23時まで合計6回の演奏会に出かける。もっともチケットの手配に出遅れて、ほとんど希望のチケットは入手できなかったのだけれど…。一番行きたかった堤剛のバッハの無伴奏チェロ協奏曲第2番と第3番は、友人の献身的な努力によってなんとか入手できたのだが、肝心の友人は都合で行けなくなり、結局一人で聞く羽目に…。今日はその友人のほかに、地元の合唱団のメンバー(なんと泊りがけで3日間通いつめたのだとか)や、Cypressさんに偶然会場で出会うなど、見知った顔が会場のあちこちにいた。

 チケットを入手した公演は以下の通り。

321 9:30~10:15 ウエローパ・ガランテ
               ファビオ・ビオンデ(バロック・ヴァイオリン、指揮)
               ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲「四季」作品8

352 11:45~12:30 堤剛(チェロ)
                J・Sバッハ:無伴奏チェロ組曲第2番ニ短調BWV1008
                J・Sバッハ:無伴奏チェロ組曲第5番ハ短調BWV1011

343 14:00~14:45 ル・コンセール・フランセ
                P・アンタイ(指揮)
                J・Sバッハ:カンタータ「主なる神、われを守りたまえ」
                J・Sバッハ:カンタータ「ただ愛する神の摂理にまかせ」

344 15:45~16:45 ドロットニングホルム・バロック・アンサンブル
                ヨハン・ルートヴィヒ・バッハ:組曲ト短調
                ベルゴレージ:スタンバート・マテル ヘ短調

345 17:45~18:45 リチェルカール・コンソート
                フィリップ・ピエルロ(指揮)
                J・Sバッハ:ミサ曲ト短調BWV235(抜粋)
                J・Sバッハ:マニフィカトニ短調BWV243

315 19:45~23:00 ローザンヌ声楽・器楽アンサンブル
                ミッシェル・コルボ(指揮)

 ということで、あっという間の一日でした。もっとも343から345までの公演は、それしか売っていなかったという消極的な理由で買い求めたので、最初から期待値は低かったのだけれど、古楽スタイルの演奏が続くと、やっぱり飽きてしまうのと、344の公演では、演奏会開始直前に怪我人がでて、出鼻をくじかれた格好で集中力を欠いてしまったので残念ながら音楽に没頭できなかった。怪我をされた方はお気の毒だが、会場の係員の対応もお粗末だったように思う。

 もっと酷かったのは315の公演で、曲の途中で中途半端に拍手が起こってしまったり(対訳本を見ていた人だったのか?) 、休憩の位置がずれて休憩直前に何故か演奏中に客入れを大々的に行ったり…。まったく理解に苦しむ。たぶん会場に入れなかったお客の強硬なクレームに屈したのだと思うが、会場にはそれ以上に恐ろしい客が待っているというのに・・・。しかも休憩後の開演直前に係員が「開幕すると場内に入れません」と大声を張り上げて・・・。「さっき、入れたじゃん」 まあ、どちらも熱狂の日らしい出来事で、今さら腹を立てる気にもならないのだが、普通演奏中に、係員が「どうぞ」と言っても辞退するのが常識のある聴衆だと思うが、今日の観客はド厚かましい恥知らずだったということだろう。

 さて、今日のベスト3の演奏会をあげておきたいと思う。まず第一は、321のエウローパ・ガランテのヴィヴァルディ「四季」。こんな風にヴィヴァルディを弾いてもいいんだという古楽でありながら、格闘技を見る様な自由奔放な演奏でぶっ飛んだ。なんだかポップスのコンサートに来ているようなノリだった。特に「夏」はファビオ・ビオンディのヴァイオリンがノリノリで、アンコールでもう一度演奏されたほど。「四季」でこんなに興奮してしまっていいのかとも思うが、古楽のアプローチながら、とっても新鮮だった。古楽を演奏する楽員は、皆黒の長袖シャツ。誰も燕尾服なんて着ていないし、ネクタイを締めている人もいなかったような…。

 お次は堤剛の無伴奏組曲。300人以下の空間で彼の演奏を聴く贅沢。心から満足した。もっとも、無伴奏組曲は、もっともっとゴツゴツとした質実剛健な演奏が好きなのだけれど、あくまでも優美な演奏で美しく響く音楽を生み出していた。アンコールでは第3番からブーレが弾かれた。

 そしてミッシェル・コルボ指揮、ローザンヌ声楽・器楽アンサンブルの「マタイ受難曲」である。朝、会場を歩いているミッシェル・コルボを発見!思わず微笑んだら、目で合図を送ってくれて感激。天使の所属していた合唱団も数年前に「マタイ受難曲」を演奏した。ボーカルスコーアを手に入れて練習もしたのだけど、仕事で本番に出られなくて歌うことができなかった。合唱を志したものにとっては、究極の目標の曲である。最後の合唱「われらは涙してひざまずき」が歌いたくて歌いたくて…。という訳で色々アクシデントのあった演奏会だったけれど、最後の最後で全てが赦せた感じである。本当に美しい音楽で感動。

 天使と名乗りながら実はキリスト教なんて誰も知らない田舎に生まれた天使。劇団四季の「ジーザス・クライスト=スーパースター」で初めてキリストの受難を知る。それと同じ題材の「マタイ受難曲」を実際に聴いたのは、30歳を過ぎてからである。ああ、もう歌うことができないのだと思うだに悲しいのだが、熱狂の日を名演奏で締めくくれたのは何より。5000人もの聴衆と感動を分かち合えたのも貴重な体験だと思った。天使の思い入れは激しかったのだが、コルボの演奏は、むしろ淡々としたもので、特別感よりも信仰に裏打ちされた安定感のようなものを感じさせた。それも心地よいものだった。

 舞台の両サイドには強大なスクリーンが設置されていて、なんだかポップスのコンサートみたい。それでもコルボの表情が大写しになったので邪魔にはならなかったのが何よりだった。

2009-05-06 00:59
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。