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マルセル・マルソーの死 [エッセイ]2007-09-24 [オペラ アーカイブス]

 マルセル・マルソーの訃報を知る。田舎の演劇好きの高校生にとってはマルセル・マルソーを観るのが夢だった。演劇雑誌で写真は眺めてもパントマイムってなんだかわからなかった。白塗りで道化の格好なのに悲しそうな顔。彼は一体どんなことをするのだろう。想像してはいつか実際に見る日を夢見ていた。

 有楽町の読売ホールで初めてみた。笑いといえばドリフかコント55号が好きだった。言葉を用いず身体だけで表現する笑い。それも単純ではなくとってもとっても深い笑い。面白いかといわれれば、正直あまり面白くないのだが、あとからジワジワときいてくるのである。気がつけばいつも感動していた。あの感動は一体なんだったんだろう。

 国立劇場に出演したこともあった。ご丁寧に花道まで作って…。七三で演技でもするのかと期待したが、「ビップ」の扮装で歩いて来るだけだった。花道を歩くことが目的だったみたい。誰か花道の役割でも教えてあげればいいのに何アレ。だったのだけれど、彼にしてみれば国立劇場の花道を踏むというが念願だったのだろう。得意満面だったに違いない。子供みたいだけれど、芸人らしくていい。

 メル・ブルックスの無声映画という趣向の作品「サイレント・ムービー」で、全員が声を出さないという中で一人だけ「ノン!」と台詞があった作品があった。後にも先にも彼の声を聞いたのは最後だったかも。パントマイムの世界的な芸術家だけれど、彼の後継者っているのだろうか?日本に紹介されていないだけかもしれないが、芸は一代ということなのか。ご冥福をお祈りしたい。


2007-09-24 08:35
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