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シルヴィ・ギエム&アクラム・カーン・カンパニー 「聖なる怪物たち」 [バレエ]2009-12-18 [バレエ アーカイブス]

 上演時間は実質わずか1時間だった。それに不満を感じた観客もいたようだが、天使は大いに満足した。特に後半が素晴らしかった。今回は東京3公演のほか、島根や新潟でも公演があるようだが、新潟公演はチケットが売れていないようで、会場で渡されたチラシを持参すると1,000円割引になるらしい。上演時間が短いので新幹線を使えば、十分日帰りも可能なので出かける人もいるかもしれない。

 さて劇場へ入ると舞台は黒一色。字幕の装置とPAのスピーカーが立つ。場内の照明は落とされていて、バルコニー下の照明器具と天井の三角形の窓?の照明のみが点灯していて、薄暗いのだが作品の雰囲気にはあっていたかもしれない。幕が上がると白を基調にした舞台装置で氷山を思わせるのだとか。上手上部からスロープを描いて下手へ伸びる壁面と下手下部から同じくスロープを描いて上手上部へ伸びる壁面がある。その後方にはグレーのホリゾント幕がある。

 下手にはヴァイオリン、チェロ、カフォンに乗ったパーカッション奏者。上手にはインドの楽器?を演奏しながら歌う男性ヴォーカルと自由に動き回る赤毛の女性歌手。全員が裸足で舞台に登場していた。照明で変化をつけるだけのシンプルな装置でパフォーマンスに集中できるのが何よりだった。

 カッタクというインドの伝統舞踊は観たことはないが、足踏みや上半身の動きに特徴がああるようだった。共演者のアクラム・カーンはロンドン生まれでカッタクのダンサーとしてキャリアをスタートし、現在はコンテンポラリー・ダンスに軸足があるらしい。背の低い冴えないスキンヘッドの東洋系のオヤジという感じなのだが、踊りだして驚いた。足踏み?回転も超絶技巧なのに軽々とこなしてみせる何という身体能力!

  途中に台詞をはさみながら二人のデュエットとソロが交互に展開されるが、最初は緊張感が漂った舞台がみるみるうちにリラックスムードに変化していく後半が面白くも感動的である。特にアクラム・カーンが踊れなくなった?と感じさせる振り付けから、ギエムと一体になってインドの神々が乗り移ったような聖なる怪物?と化した部分など美しかった。

 ギエムのとぼけた台詞も面白かったし、演技なのか踊った後に息も絶え絶えなのも不思議な光景を見てしまったようで楽しめた。最後は案外アッサリとした終わり方だったのも好印象だった。いかにもロンドンやパリの観客に好まれそうな出し物で、ギエムの最新作に3年越しで出会えた喜びがすべてだった。

2009年12月18日(金) 東京文化会館 19時開演
シルヴィ・ギエム&アクラム・カーン・カンパニー
「聖なる怪物たち」

芸術監督・振付:アクラム・カーン

ダンサー:シルヴィ・ギエム、アクラム・カーン

振付(ギエムのソロ):林懐民
振付(カーンのソロ):ガウリ・シャルマ・トリパティ

音楽:フィリップ・シェパード
およびイヴァ・ビトヴァー、ナンド・アクアヴィヴァ、トニー・カサロンガの歌より

照明:ミッキ・クントゥ
装置:針生康
衣裳:伊藤景
構成:ギィ・クールズ

演奏:アリーズ・スルイター(ヴァイオリン)
ラウラ・アンスティ(チェロ)
コールド・リンケ(パーカッション)
ファヘーム・マザール(ヴォーカル)
ジュリエット・ファン・ペテゲム(ヴォーカル)

技術主任:ファビアナ・ピッチョーリ
舞台技術:サンダー・ルーネン
音響技術:ニコラ・フォール
ツアー・マネージャー: シャロン・ジョン

◆上演時間◆
19:00-20:15

2009-12-18 22:39
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