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東京バレエ団<創立45周年記念スペシャル・プロ> 「エチュード」「月に寄せる七つの俳句」「タムタム」 [バレエ]2009-04-19 [バレエ アーカイブス]

2009年4月18日(土)15時開演  

「エチュード」 振付:ハラルド・ランダー(上演時間50分)

エトワール:上野水香、フリーデマン・フォーゲル、レオニード・サラファーノ

指揮:井田 勝大
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

「月に寄せる七つの俳句」振付:ジョン・ノイマイヤー(上演時間40分)

月 :木村和夫
月を見る人:斎藤友佳里-高岸直樹

「タムタム」振付:フェリックス・ブラスカ(上演時間20分)

ソロ:松下祐次
パ・ド・ドゥ:西村真由美-横内国弘

パーカッション:シルヴィオ・ガルダ
トムトム:アティソー・ロコ


 今回の創立45周年記念公演は、東京バレエ団の海外公演では、特にベジャール作品が踊られることが多いのだが、それ以前に定評のあった「エチュード」と「タムタム」、世界的な振付家ジョン・ノイマイヤーに20年前に委嘱した作品「月に寄せる七つの俳句」の18年ぶりの上演である。

 「エチュード」は、チェルニーやリーサゲルの曲を使い、バレエの練習風景から始まって、高度なテクニックの博覧会のようになって終わるという作品。今日は上野水香とゲストにシュツットガルトバレエ団のフリーデマン・ファーゲルとマリインスキー・バレエ団のレオニード・サラフィーノを迎えて上演した。いずれも今夏の世界バレエフェスティバルに参加するダンサーで、ABTのシムキンあたりの初登場組とともに話題になりそうな、注目を集めそうなメンバーである。

 バーレッスンをするダンサーの足や腕を照明を使って浮かび上がらせる美しい場面から始まり、激しい動きにだんだん移行していくのを観るのは面白い。振りが落ちてしまったり、揃わなかったり、正確さや繊細さに欠けた部分もあったが、まあ楽しめた。特にレオニード・サラフィーノは荒削りながら、それこそ目の覚めるような超絶技巧を連発して素晴らしい。それに比べるとフリーデマン・フォーゲルには、あまり魅力を感じることができなかった。上野水香は安定したテニクニックで、これまた安心して観られたが、観客を惹きつける魅力は、ゲストダンサーに比べると乏しいように感じた。

 「月に寄せる七つの俳句」は20年前にジョン・ノイマイヤーに委嘱した作品で、小林一茶、正岡子規、松尾芭蕉らの月をテーマにした俳句からイメージされたバレエ作品である。確かに初演の時にも観ているのだが、ほとんど記憶がない。今回見直してみて、改めて感じたのは、「静的なバレエ」で東京バレエ団向きの作品ではなかったようである。18年間上演されなかったのも無理はない。ストーリーらしいストーリーはなく退屈。舞台面の美しさも、衣裳、照明など中途半端である。

 アルヴォ・ペルトやバッハの音楽と俳句の融合は悪くないアイディアだが、観客が俳句のもつ言葉の力を感じられたかどうかは疑問である。俳句を知らない者には、馴染みのない俳句ばかりなので、ちょっとイメージを結ぶことができなかったのは残念だった。今日のソリストはベテラン組で、斎藤、高岸、木村だが、いずれも年齢を重ねたなあという感想。そのなかでは、月を見る人を演じた高岸直樹のダンスよりも踊っていない部分の演技に感銘を受けた。

 最後は若いダンサーを中心にした「タムタム」舞台下手にパーカションとトムトムが設置されての生演奏。さらに舞台奧にゴングやカウベルがずらっと並んだ場面もある。打楽器だけでバレエを踊るという初演時はたぶん意欲的な作品だったと思う。テクニックと全員が一糸乱れずに踊るということで評判をとったことだろう。

 開幕前に緞帳の向こう側で、床がキュッキュッと鳴っていたが、どうやら滑りやすい振付だったのかもしれない。プロの舞台としてはあるまじき3度もの転倒で驚く。それだけ難しい作品だったのだろうが、バレエであんなに転び続けるのを初めてみた。必死さが伝わってくるのはいいが、もっと嬉しそうに楽しそうに踊ってくれなければ、必死さが売り物では面白くならない。

 それでもパーカションのガルダとトムトムのロコのおじさんコンビの熱演で盛り上がった。時々バレエよりも彼らのノリノリの演奏に目が向いてしまうのは仕方がない。カーテンコールで作品の最後部分、ソロが上手から下手へ向かい、最後に全員が同じ振付で踊る部分を再び踊った。安定感さえあれば良い舞台ではあると思う。

08:50
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