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奥州安達原 文楽九月公演・第二部 国立劇場小劇場 [文楽]2008-09-14 [文楽アーカイブス]

 上演時間5時間という長丁場。しかもお目当ての咲大夫が怪我の治療のために休演となってしまって、恐ろしくテンションが下がってしまって、結局後半の「一つ家の段」と「谷底の段」は観ないで帰ることにした。

 世代交代は第二部に顕著のようで、特に「環の宮明御殿の場」は次代の文楽を担うべき若手と中堅の実力派の大夫が揃ったようで壮観だった。咲甫大夫、文字久大夫、千歳大夫、英大夫の四名に、「一つ家」の中を語る呂勢大夫を加えれば30年後の文楽はこの人たちの双肩にかかっているのだとわかる。

 実力の世界とはいえ、天使が密かに贔屓にしていた貴大夫の居場所はなかったのかなあと思わないでもなかったが、千歳大夫が語る「よう着てゐやるか、ドレドレヤア、そなたはこりや裸身、着る物はどうしやった」以下の部分は、胸をえぐるような痛切さがあって、近頃の文楽では珍しく心震わせられる思いだった。ここまで見事に語られては、並みの大夫では太刀打ちできまい。人形では安部宗任を豪快に遣った玉輝を好ましく思った。袖萩の紋寿、浜夕の文雀がいいのは当然だけれど、あの千歳大夫の語りがあってこそと思わないでもなかった。それほどに傑出していた。

 かつて国立劇場で先代の勘三郎によって「奥州安達原」が歌舞伎でも通し上演されたことがあって、「一つ家」など岩手が乳房を露わにするなど面白く観たのだが、さすがに文字久大夫では聞く気になれなくて失礼ながら「道行千里の岩田帯」で劇場を後にする。清十郎を襲名した清之助は、強烈な印象を残すまでにはいたらず、将来に期待といったところだろうか。大きな名前を襲名したのは周囲の期待も大きいのだろう。次代を担う覚悟で取り組んで欲しい。

2008-09-14 00:14
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