青の会 第83回演奏会 [演奏会]2006-12-24 [演奏会 アーカイブス]
畑中良輔先生が「音楽の友」に連載されている「繰り返せない旅だから」に「新声会」の記述があって、先生自身の若き日の歌曲が演奏されるというので喜び勇んで演奏会にでかけた。会場のロビーで畑中先生をおみかけする。こちらをちょっと見たような気がしてドキッとした。楽しみにしている連載を執筆しているご本人をみかけるのは不思議な気持ちである。来月は藤沢へ「日本の歌100年の旅」のコンサートへ、二月は先生の85歳のメモリアルコンサートへ出かけようと会場で売っていたチケットを買い求めた。なんだが先生の追っかけにでもなった気分である。東邦音楽大学の「ブル先生のおもしろ音楽塾」にも本気で参加しようかどうか迷っている。
さて戦後の歌曲ルネサンスを興した「新声会」の特集。曲目は以下の通り
戦後いち早く起ち上がった新声会の歌曲
石桁眞礼生 曲/丸山 薫 詩
「四つの詩」
一、祈祷歌 二、離愁 三、挿話 四、哀傷
宇佐美桂一
繁田祐治(三木鶏郎) 曲
「始めの四つの歌」
岩ばしる 万葉集
初恋 島崎藤村 詩
うみべ 佐藤春夫 詩
淡月梨花の歌 佐藤春夫 詩
曽我淑人
戸田邦雄 曲
「万葉集による七つの歌」
一、冬ごもり 作者不詳
二、今更に 安部女郎 歌
三、恋ひ恋ひて 大伴坂上郎女 歌
四、相思はぬ 作者不詳
五、験なき 太宰師大伴郷 歌
六、雨隠り 大伴家持 歌
七、世の中は 太宰師大伴郷 歌
吉武由子
畑中良輔 曲
「低声のための三つの抒情歌」
採 花 松田祐宏 詩
海浜独唱 室生犀星 詩
花林 杉浦伊作 詩
築地利三郎
小倉 朗 曲
桐の花 三好達治 詩
犀 川 室生犀星 詩
馬車の中で 萩原朔太郎 詩
大島陽子
-休憩-
中田喜直 曲
「六つの子供の歌」
うばぐるま 西條八十 詩
鳥 小川未明 詩
風の子供 竹久夢二 詩
たあんき ぽーんき 山村暮鳥 詩
ねむの木 野口雨情 詩
あやすみ 三木露風 詩
細谷美内
團 伊玖磨 曲/北原白秋 詩
「六つの子供の歌」
いたち・へうたん・秋の野
さより・からりこ・雪女
中村 健
別宮貞雄 曲/加藤周一 詩
「二つのロンデル」
雨と風
さくら横ちょう
岩崎由紀子
別宮貞雄 曲/大木惇夫 詩
「淡彩抄」
泡・蛍・入墨子・涼雨・別後・燈
天の川・青蜜柑・鷺・春近き日に
大川隆子
柴田南雄 曲/草野心平 詩
富士龍
平野忠彦
柴田南雄 曲/立原 道造 詩
「優しき歌」
一、序の歌 二、爽やかな五月に
三、落葉林で 四、さびしき野辺
小泉 恵子
伴奏・塚田佳男 花岡千春
お話・畑中良輔
若い時代の作曲だけあって、シュトラウス風や十二音技法を駆使したりと多彩な作品。万葉集から現代詩風なものまで、歌詞も幅広い。日本歌曲には、なんと豊かな世界が広がっているのかと再認識させられた。
作品自体に魅力があっても、それを表現する歌手に力量がないと一向に心が動かされないのも事実。楽しみにしていた畑中先生の「低声のための三つの抒情歌」など先生のCDで聞きこんでいただけあって、築地利三郎氏の底の浅い表現力に大いに落胆させられた。
やはり実力を持った歌手が揃った後半が楽しめた。子供の歌を歌うお爺さん歌手?中村健氏は、多少不安定な部分があっても表現力はずば抜けていたし、衰えを知らぬ美声をホール中に響かせた。
会場にいらした作曲者である別宮貞雄先生をきっと満足させたに違いない大川隆子女史の歌唱は見事だったし、初演以来演奏の機会なかった「富士龍」を歌い上げた平野忠彦氏にも満足を感じた。そして最後に歌った小泉恵子の均整のとれた歌唱ぶりに感心した。
そして何よりも会場の雰囲気をなごませたのは、畑中良輔先生の名解説である。なかなかユーモアに富んだお話で笑わせてくれるが、肝心の部分は外さないという絶妙の話術である。自分の曲を紹介して「良い曲ですよ」なんてふるものだから、天使は思わず拍手してしまったら、「まだ歌ってないのに拍手がきちゃいました」なんて切り返されて、嬉しいやら恥ずかしいやら・・・。
次回の第84回の青の会は紀尾井ホールで2月22日に公演がある。とても楽しみである。先生がおすすめくだすった立原道造の新しい全集も買ってみようかと考えていたりする。
2006-12-24 23:36
さて戦後の歌曲ルネサンスを興した「新声会」の特集。曲目は以下の通り
戦後いち早く起ち上がった新声会の歌曲
石桁眞礼生 曲/丸山 薫 詩
「四つの詩」
一、祈祷歌 二、離愁 三、挿話 四、哀傷
宇佐美桂一
繁田祐治(三木鶏郎) 曲
「始めの四つの歌」
岩ばしる 万葉集
初恋 島崎藤村 詩
うみべ 佐藤春夫 詩
淡月梨花の歌 佐藤春夫 詩
曽我淑人
戸田邦雄 曲
「万葉集による七つの歌」
一、冬ごもり 作者不詳
二、今更に 安部女郎 歌
三、恋ひ恋ひて 大伴坂上郎女 歌
四、相思はぬ 作者不詳
五、験なき 太宰師大伴郷 歌
六、雨隠り 大伴家持 歌
七、世の中は 太宰師大伴郷 歌
吉武由子
畑中良輔 曲
「低声のための三つの抒情歌」
採 花 松田祐宏 詩
海浜独唱 室生犀星 詩
花林 杉浦伊作 詩
築地利三郎
小倉 朗 曲
桐の花 三好達治 詩
犀 川 室生犀星 詩
馬車の中で 萩原朔太郎 詩
大島陽子
-休憩-
中田喜直 曲
「六つの子供の歌」
うばぐるま 西條八十 詩
鳥 小川未明 詩
風の子供 竹久夢二 詩
たあんき ぽーんき 山村暮鳥 詩
ねむの木 野口雨情 詩
あやすみ 三木露風 詩
細谷美内
團 伊玖磨 曲/北原白秋 詩
「六つの子供の歌」
いたち・へうたん・秋の野
さより・からりこ・雪女
中村 健
別宮貞雄 曲/加藤周一 詩
「二つのロンデル」
雨と風
さくら横ちょう
岩崎由紀子
別宮貞雄 曲/大木惇夫 詩
「淡彩抄」
泡・蛍・入墨子・涼雨・別後・燈
天の川・青蜜柑・鷺・春近き日に
大川隆子
柴田南雄 曲/草野心平 詩
富士龍
平野忠彦
柴田南雄 曲/立原 道造 詩
「優しき歌」
一、序の歌 二、爽やかな五月に
三、落葉林で 四、さびしき野辺
小泉 恵子
伴奏・塚田佳男 花岡千春
お話・畑中良輔
若い時代の作曲だけあって、シュトラウス風や十二音技法を駆使したりと多彩な作品。万葉集から現代詩風なものまで、歌詞も幅広い。日本歌曲には、なんと豊かな世界が広がっているのかと再認識させられた。
作品自体に魅力があっても、それを表現する歌手に力量がないと一向に心が動かされないのも事実。楽しみにしていた畑中先生の「低声のための三つの抒情歌」など先生のCDで聞きこんでいただけあって、築地利三郎氏の底の浅い表現力に大いに落胆させられた。
やはり実力を持った歌手が揃った後半が楽しめた。子供の歌を歌うお爺さん歌手?中村健氏は、多少不安定な部分があっても表現力はずば抜けていたし、衰えを知らぬ美声をホール中に響かせた。
会場にいらした作曲者である別宮貞雄先生をきっと満足させたに違いない大川隆子女史の歌唱は見事だったし、初演以来演奏の機会なかった「富士龍」を歌い上げた平野忠彦氏にも満足を感じた。そして最後に歌った小泉恵子の均整のとれた歌唱ぶりに感心した。
そして何よりも会場の雰囲気をなごませたのは、畑中良輔先生の名解説である。なかなかユーモアに富んだお話で笑わせてくれるが、肝心の部分は外さないという絶妙の話術である。自分の曲を紹介して「良い曲ですよ」なんてふるものだから、天使は思わず拍手してしまったら、「まだ歌ってないのに拍手がきちゃいました」なんて切り返されて、嬉しいやら恥ずかしいやら・・・。
次回の第84回の青の会は紀尾井ホールで2月22日に公演がある。とても楽しみである。先生がおすすめくだすった立原道造の新しい全集も買ってみようかと考えていたりする。
2006-12-24 23:36
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