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熱狂の日 モーツァルト・レクイエムほか [演奏会]2006-05-07 [演奏会 アーカイブス]

 行きたかったのに連休中も仕事のため諦めていたが、20時スタートの演奏会なら退社してからでも十分に間に合うと気がついて有楽町まで出かけた。結局、ホールC{サリエリ}で20時から開演の演奏会とホールA{アマデウス}での最後の演奏会を楽しむ。

 東京国際フォーラムを使ってのラ・フォル・ジュルネ・ジャポン「熱狂の日」音楽祭2006の今年のテーマは、生誕250年を迎えたモーツァルトとその仲間たちという催しは、終演後に配られていた号外によると4日間で49万人が来場し、有料入場者数は16万人を越えたということである。クラシックのイベントとしては今年も大成功ということらしい。来年もGWに開催が決まり、テーマは「国民楽派の作曲家達」で1860年頃から、それぞれの国の独自の民族音楽を芸術音楽に昇華させた作品がつくられはじめた、という流れを多様に追いかけていく…というものらしい。ドヴォルザーク。スメタナ、ヤナーチェク、バルトーク、チャイコフスキー、リムスキー=コルサコフ、ラフマニノフ、グラナドス、ファリャ、シャブリエ、ビゼー、フォーレに日本からは早坂文雄、伊福部昭なども考慮されるとのことだった。

 さて肝心の演奏会だが、ホールCの方は、古楽のグループによるモテット「踊れ、喜べ、汝幸いなる魂よ」へ長調K.165、カッサシオン第五楽章アダージョk.63、ハイドンのサルヴェ・レジナホ短調という渋いプログラム。この催しは、東京国際フォーラムというけっしてクラシック音楽向きではない施設を使っていながらも商業主義に陥っていない証拠のようなものである。日本人演奏家が招聘元の音楽事務所に所属しているアーチストばかりのような気もするが、今回登場したのは主にベルギーで活躍しているリチェルカール・コンソートという古楽グループの演奏。指揮はフィリップ・ピエルロというベルギーのヴィオラ・ダ・ガンバの奏者にして指揮者である人物。

 正直な話、有名な「アレルヤ」の部分は知っていたが、後はすべて未知の曲。これでは初めて演奏会に来たクラシック初心者とたいして変わらない。ハイドンの珍しい曲が案外美しい曲で楽しめたのと、二曲目のヴァイオリンソロの音が胸にしみてきた。余計な知識がない分、より音楽を自分のものにできたような気がした。

 この演奏会は21時頃に終わって、21時45分からはホールAで、やはりベルリンの古楽グループであるベルリン古楽アカデミーとRIAS室内合唱団、指揮は合唱の盛んなエストニア出身の指揮者トヌ・カリユステ。モーツァルト・レクイエムニ短調k626と有名なモテット「アヴェ・ヴェルム・コルプス」ニ短調K626、アンコールとしてモーツァルトの最後の曲とかいう「K.623:フリーメーソンのための小カンタータ高らかに我らの喜びを…???」が音楽祭のアーティスティック・ディレクターのルネ・マルタン氏の発案で演奏されて音楽祭を締めくくった。

 終演は23時近くだというのに巨大なホールAの一階席は満員の大盛況。オケも合唱も力むことなく自然な音楽づくりでなかなかの名演だった。特に「アヴェ・ヴェルム・コルプス」は本当に美しくて素晴らしかった。実は天使は昔アマチュアの合唱団に所属していた頃に「モーツァルト・レクイエム」を歌っていて、ちょうど没後200年といこともあって、あちらこちらからお座敷がかかり何度も歌い海外公演にもでかけてしまったのである。

 当然のごとくアンコールに「アヴェ・ヴェルム・コルプス」を歌うお約束になっていて両方とも馴染みがあって懐かしい曲だった。歌う側からすると有名なLacrimosaよりもその前のConfutatisが大好きだったのを思い出した。

 やはり無理して出かけた甲斐があって楽しめた。やれもっと小さな会場で聴きたかったなどという野暮なことを言う人間が必ず出てくると思うのだが、この値段でより多くの観客に音楽を届けようとすればこうした会場も仕方ないし、大きければ大きいなりの楽しみ方ができるように感じた。5千人もの人々と一緒に感動をわかちあえる機会なんてなかなかないことである。会場を取り巻く屋台やお土産店など、気取らずに音楽を楽しめる仕掛けの発想はなかなかいいと思った。来年も遅い時間帯の演奏会を狙って是非でかけたいと思う。


2006-05-07 01:42
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森山良子 Concert Tour 2006-2007 [演奏会]2006-03-19 [演奏会 アーカイブス]

 実は天使は、毎日彼女の声を聞くほどのファンなのである。というのも出勤時に愛車から流れているのはTBSラジオのお昼前の番組「ハート・オブ・ポップス」だからである。味の素提供で、ラジオなのに料理の作り方を放送したり、息子の森山直太朗の曲を延々と流したりといったのはご愛嬌だが、彼女のおしゃべりによって近況には何故か詳しかったりする。彼女が天使の街へやって来た。

 会場に入ると40周年の記念のロゴが描かれたコンサートの上品な紫色のオペラカーテンがかかていた。真ん中から幕が絞られて上がっていくオペラカーテン方式。殺風景な文化会館の舞台がオシャレに変身した。第一部の背景は沖縄?の入道雲が描かれた幕。下手から上手奥に伸びる白い坂道以外は黒一色で、下手の前にピアノとキーボードの奏者。その奥にドラム。道を挟んで前にギター奥にベースという編成のバンド。

 もっとも開幕は、森山良子がギターの弾き語りで名曲「さとうきび畑」の熱唱で会場の心を一気にひとつにした。天使はこれを聴くのが目的だったので、いきなり涙でボロボロ状態となってしまった。彼女の真骨頂は「語り」なのだと思った。メドレーで歌われる「この広い野原いっぱい」「歌ってよ夕陽の歌を」「禁じられた恋」のような初期の曲は、まだ歌謡曲というか青春ポップスという感じだが、さすがに40年のキャリアである。どのように変貌していたっかが、このコンサートではわかる仕組みになっている。特に「バス通り裏」など昭和へのノスタルジーを歌い上げて見事だった。最新アルバムの「韓流アルバム」から冬のソナタな曲歌うが、人気曲とはいいながら、いずれも彼女自身のものになっていたのが良かった。そして「涙そうそう」。地元では誰もこの曲を知らなかったころ、東京のスナックで仕入れてきて地元で歌って大受けだった曲である。ところがアレンジが妙に明るくて感情移入がしづらかったから涙は一切なし。この歌は、自分で歌った方が楽しめるのだと確信した。

 休憩前からスモークが焚かれていて、休憩後はイイ感じに光りの筋ができてキレイ。一部の白っぽいドレスから黒の衣裳に替わって背景も空間を斜めに切り取るホリゾント幕になった。曲は最近得意なジャズっぽい曲を数曲。彼女の声は、低音から高音まで無理なく伸びて多彩な表現力。オペラ的な発声やコロラテューラのテクニック?まで披露して楽しませてくれた。ここでは息子のヒット曲である「さくら」の熱唱が記憶に残った。本当に説得力のある歌唱である。ダンスまで披露して芸達者なところを見せるが、圧巻は芝居がかった「30年を2時間半で…」である。これこそ「語り」の集大成である。デパ地下で偶然に出会った30年前の初恋の人への複雑な想いをコミカルに綴ったものだが、芝居心があって笑わせてジンとくる。見事だった。

 アンコールは還暦を意識してなのか赤いロングドレスに着替えて「People」を熱唱。歌謡曲、ジャズ、バラードと歌った彼女だが、本領はこうした曲にあるように思った。彼女の年代で、こうした曲が似合う人ってなかなかいないので貴重な存在だと思った。客席からは自然薯?のプレゼントも手渡されて彼女の気取りのない自然な振る舞いに好感を持った。地方ならでは、都会ではなかなかこうはいかないであろう。

 最後はオルゴールを手に一人でチャップリンの映画「ライムライト」から「エターナリー」を独りで歌った。バンドなしで「わかりやすく」「美しい声で」「深い」歌を歌うのは困難なことだと思うのだが、最後の最後でその実力を発揮した。素晴らしかった。泣かせたり、一緒に歌えたり、手拍子で観客を参加させたり、年齢を重ねた女性ならではの話題で笑いを誘うなど一流のエンターティナーぶりを発揮した一夜だった。ファンでなくとも十分に満足させてくれるコンサートだと思う。


2006-03-19 00:10
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ロランド・ヴィラゾン [演奏会]2005-09-07 [演奏会 アーカイブス]

 海外の歌劇場で次々と成功をおさめ。まさに飛ぶ鳥落とす勢いのロランド・ヴィラゾンの日本デビューコンサートを東京オペラシティコンサートホールで聴いた。今春、雑誌でウィーンでの大成功の記事を読んでいたし、今が旬の歌手ということで大いに期待していた。結論からいえば前半は、一定の水準以上ではあることは間違いないものの物足りなさを感じた歌唱だった。本当にこの歌手が、海外で引っ張りだこなの?とちょっと意外な感想を持つことになってしまった。後半は大満足だが。

 ルチアーノ・アコチェッラ指揮、東フィルの「カルメン」序曲に続いて「花の歌」でヴィラゾンが初登場である。この選曲は何だったんだろう?ホセは、彼のニンではないと思うのだけれど有名曲でオケの演奏とのバランスから選ばれたとしたら疑問である。残念ながら輝かしい高音もなければ、情緒纏綿たる想いの深さもなくて、なんだか上っ面だけをなぞって終わってしまった感じだった。コンサートホールの響きを把握できていないのか言葉も明瞭に伝わってこなかった。

 グノーの「ロメオとジュリエット」より<恋よ恋!ああ昇れ!太陽よ>、
 マスネ「ル・シッド」より<ああ、すべては終わった…おお、至高の神よ!>、
 マスネ「マノン」より<僕は独きりだ…消え去れ優しい面影よ>、
 同じく二重唱<きみ、貴女か!>

と彼に成功をもたらした役を並べたのだが、最初の曲よりはズッと挽回したものの歌に込められた「想い」といったものが残念ながら伝わってこないもどかしいさを感じた。若干33歳、脚光は浴びているもののキャリアはまだ浅いのである。端正に歌いはするものの期待値が高かったせいか心に響く音楽は流れてこなかった。たとえ音楽的に劣っても「伝えるべきもの」がある歌手には、それなりに満足させられると思うのだが。

 休憩後は、モーツァルト「魔笛」序曲に続いて、同じくタミーノのアリア「何と美しい絵姿」が歌われた。モーツァルトはむいているように思えたのに、彼自身は歌うのは初めてだというのでビックリ。というわけで安全運転といったところで感心しなかった。本領を発揮することもなく、これで終わってしまうのか?とちょっと心配した。

 次はチョフィーと一緒に「ラ・ボエーム」のミミが屋根裏部屋に入ってくるところから、二人がカフェ・モミスに出かけ舞台裏で歌う終幕までを簡単な演技を交え歌われた。もちろん二つの有名なアリアがあるわけだが、ここで俄然実力を発揮したように思う。やはり舞台育ちの人だけあって、共演者がいて芝居をすれば、その美声から紡ぎ出される音楽は生き生きと輝いて会場内を満たしたのである。もちろん高音など物足りない面もあったのだが、それを帳消しにするほど説得力を持った歌唱で文句のつけようがない。どうもオペラ全曲の舞台で本領を発揮するタイプなのだろう。今度、彼が日本に来て、オペラに出演する機会が近いうちにあるのだろうか、あるとすれば是非とも駆けつけねばならないだろう。

 その後は、来年3月にロンドンで歌う予定のチャイコフスキーの「エフゲニー・オネーギン」から
<我が青春はいずこへ>さらに自家薬籠中のチレア「アルルの女」より<ありふれた話>が心を込めて歌われた。ここにきて、ようやく世界中で評価されている気鋭の歌手の片鱗をしめした。それはそれは立派な歌唱で場内は大興奮である。

 アンコールはチョーフィーと歌った「赤とんぼ」はご愛敬としても、ジョルダーノ「フェドーラ」、あまり聴いたことのないソルサバル「港の酒場女」は得意曲だったのか、前半の不満を忘れさせる絶唱で
観客は沸きに沸いた。

 テノール歌手は、使い捨てとは言わないが、10年後に同じような名声を得られているかどうか、
神のみぞ知るといったところである。逸材であることは確かだが慌てずにキャリアを積んで着実な歩みをすすめていって欲しいと思う。ちょっと気になったのは、彼のスケジュール。売れっ子の彼がこの時期に日本にいるってどうなんだろう?人気歌手の日本初登場は嬉しいが、普通なら東京で歌わないのではないだろうか。時差ボケの治らぬうちに、コンサートを開き、次の公演地めざして移動なんてことでなないのかな?老婆心ながら心配事を書いてみた。今回が彼の十全なものだったのか
どうか?前半の名声に比しての落差に驚かされたので…。


2005-09-07 00:52
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アンナ・ネトレプコ ソプラノリサイタル東京初日 [演奏会]2005-04-29 [演奏会 アーカイブス]

 今回の演奏会は、オペラ公演は別にして日本における
彼女のおそらくソロ・デビュー公演ではなかったでしょうか?
曲の構成は、R.シュトラウスとラフマニノフの歌曲を中心に
据えたものだったが、オペラアリア集のCDを2枚もリリース
しているのだから、全部オペラでもよかったのではないかな?
というのが正直な感想です。歌曲に敢えて挑戦するという彼
女の意欲は買いますが、その演奏から受ける感銘にはずい
ぶんと差があったように思います。

  結果はネトレプコを聴いたというよりもネトレプコを観たと
言った方が良いかもしれません。プログラムの写真ににもあ
る通り、ファションモデルのような恵まれた容姿を観るだけで
も一見の価値ありです。ただし、ドレス越しにみた限りでは、
これから太るような予感のする肉体の持ち主のようにも思え
ました。十年後には、貫禄十分な大歌手に成長しているかも
しれないという予兆が見え隠れしておりました。

  でも今は十分過ぎるほど美しいかったです。過剰ともとれ
る思い入れタップリの演技の力もあって、目の保養をされた
観客も多かったのではないでしょうか。ただ、あれがドイツ
歌曲か?といわれてしまうと返す言葉がみつかりません。
一本調子で何度も眠くなりそうになりましたが、退屈しなかっ
たのは、表情と仕草のおかげだったと思います。ちょっと聴け
るかなと思ったのはシュトラウスの「夜」ぐらい。曲間に盛大な
拍手が入るので集中できませんでした。こんなに弛緩した気分
で聴くものではないでしょう歌曲って…。これでは歌謡ショーな
らぬ歌曲ショーでしょう。

  それでもアンコールの曲も含めて、オペラのアリアはとって
も楽しめました。一流歌劇場を歌い歩いている実力のほどを
見せつけてくれた気がします。今が旬の歌手をとりあえず聴い
たという満足以外には感心しない演奏会でした。

  前半と後半で衣裳を変え、特に後半はショールをうまく使って
演技しながら歌っており、さすがと思いましたが、もう一度聴きた
いかと言われたらもう結構かな…正直すぎましたか?
でもムゼッタはよかったですよ。これは本当に聴けて良かったです。


2005-04-29 01:50

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