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劇場の天使の回心 [エッセイ]

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ニューヨークにある物理療法リハビリテーション研究所
(Institute of Rehabilitation Medicine, 400 East 34th Street NYC, NY)

「苦難にある者たちの告白」-ある患者の詩-

大事を成そうとして、
力を与えてほしいと神に求めたのに、
慎み深く、従順であるようにと
弱さを授かった。

より偉大なことができるように
健康を求めたのに
よりよきことができるようにと
病弱を与えられた。

幸せになろうとして
富を求めたのに、
賢明であるようにと
貧困を授かった。

世の人々の賞賛を得ようとして、
権力を求めたのに、
神の前にひざまずくようにと
弱さを授かった。

人生を享楽しようと
あらゆるものを求めたのに、
あらゆることを喜べるように
命を授かった。

求めたものは一つとして
与えられなかったが、
願いはすべて聞き届けられた。

神の意にそわぬ者であるにもかかわらず、
心の中の言い表せない祈りは
すべてかなえられた。

私はあらゆる人の中で
最も豊かに祝福されたのだ。
(訳者不明)


A CREED FOR THOSE WHO HAVE SUFFERED


I asked God for strength, that I might achieve
  I was made weak, that I might learn humbly to obey...

I asked for health, that I might do greater things
  I was given infirmity, that I might do better things...

I asked for riches, that I might be happy
  I was given poverty, that I might be wise...

I asked for power, that I might have the praise of men
  I was given weakness, that I might feel the need of God...

I asked for all things, that I might enjoy life
  I was given life, that I might enjoy all things...

I got nothing that I asked for -- but everything I had hoped for

Almost despite myself, my unspoken prayers were answered.
  I am among all men, most richly blessed!


Author unknown



"For God so loved the world that he gave *his one and only Son, that whoever believes in him shall not perish but have eternal life.
*Or "his only begotten Son"

「神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに、世を愛された。それは御子を信じる者が、ひとりとして滅びることなく、永遠のいのちを持つためである。」
ヨハネの福音書3:16
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劇場の天使の綱渡り 再び [エッセイ]

11月22日(土)は新橋演舞場の新派と明治座の猿之助をハシゴする予定でいた。ところが、明治座の開演時間が16時だということが判明。しかも新派は『鶴八鶴次郎』と『京舞』にゲストコーナーもあって上演時間がかなり長いこともあって、実質ハシゴをするのが不可能なのがわかった。

幸いにも新橋演舞場は通路側の席だったので、上演中に抜け出すことは可能だけれど、さてどうしたものか。『京舞』の第二幕終了で抜け出すほかはなさそうである。新派の上演時間が、ここまで長いとは思わなかったことと、明治座が16時半開演と思いでいたのが敗因。一応、15時37分に劇場を出れば間に合いそうなので最後の名場面を泣く泣くあきらめればなんとかなるかも。タクシー移動と言う手もあるがギリギリすぎるし。千秋楽に向けて上演時間が短くなっていればタクシー移動はありかも。


一、鶴八鶴次郎 11:00~12:40
   
  幕間 30分

二、京舞 第一幕 13:10~14:15
  
  幕間 15分

二、京舞 第二幕、第三幕 14:30~15:50

【浅草線利用時】

15:37発 新橋演舞場

15:40着 東銀座
15:43発 東銀座

15:48着 人形町
15:50発 人形町

15:56着 明治座

【タクシー利用時】
所要時間 9分
総距離 3.5km

出発 00:00 新橋演舞場

200m

   00:00 万年橋西(晴海通り)

158m

   00:01 三原橋(昭和通り)

2.0km

   00:05 江戸橋北

1.1km

   00:08 中央区付近

136m

到着 00:09 明治座

四天王楓江戸粧
序幕
16:00~16:35

幕間 5分

二幕目
16:40~17:45

幕間 30分

三幕目
18:15~19:10

幕間 25分

大詰
19:35~20:40



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劇場の天使 妖怪ウォッチ「ようかい体操第一」を踊る [エッセイ]




妖怪ウォッチ ダンスDVDブック (小学館のカラーワイド)

妖怪ウォッチ ダンスDVDブック (小学館のカラーワイド)

  • 作者: 小学館
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2014/09/26
  • メディア: ムック





ボランティアで幼稚園児たちと妖怪ウォッチ「ようかい体操第一」を一緒に踊ってきた。NHKの受信料は払っているが、天使は基本的にテレビを一切観ない。だから世間でどのようなものが流行しているか知るのが遅い。天使が知るようになった頃には、世間ではブームが下火だったりする。時々困るのは、歌舞伎に挿入されるテレビ発信のギャグがまったくわからないので全然笑えないことである。日本エレキテル連合「ダメよー、ダメダメ」も最近その存在を知ったくらいである。

テレビを観るのは、スポーツクラブのサウナに入った時くらいなので、実は『妖怪ウォッチ』が一体何者なのか今も知らない。とにかく「ようかい体操第一」を小さな子供たちが大好きらしいので、妖怪ウォッチ ダンスDVDブック (小学館のカラーワイド) というものをAmazonで買求め、早速映像を見ながら振りを覚えていった。ようかい体操は振り付けがよく分かるスローモーション映像や、「ようかい体操第一」の振り付けレッスンが掲載されたカードもあって万全の体制。

鏡を前にして一人で踊ると、何かのパフォーマーになったような気分で、指先の表現まで凝ってみたくなったりする。2週間ほどで完璧な振り付けを身につけた。そして、本番当日。一応、コンテスト形式で、自分の孫?のような年代の幼稚園児と踊るのである。幼稚園の先生も驚く完璧な振り付けで、大人げないけれど天使がダントツの優勝。幼稚園児たちの一躍人気者になってしまった。まあ、天使が知るようになっては、「ようかい体操第一」の人気も下火で、新しいバージョンに取って代わられるのだろうけれど。
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劇場の天使の綱渡り [エッセイ]



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天使にとって、日曜日の午前中はとても大事な時間である。以前のように歌舞伎座の昼の部を観に日曜日の朝からでかけるということがなくなった。日曜日に劇場へでかける回数も少なくなってきた。1週間のスタートの時間を大切にしたいからである。

そうは言っても、11月は観たい公演が目白押しなのである。歌舞伎は、歌舞伎座の昼と夜の部、明治座の昼と夜の部、国立劇場。さらに新派の新橋演舞場を加えると、土曜日だけで全部観るのは不可能に近い。国立劇場の『伽羅先代萩』を観るために、セルフ幕見席を実行することにした。

9日の日曜日、午前中は静かに過し、午後から国立劇場へ。開演時間は12時からなので当然「花水橋」と「竹の間」は観ることができない。14時に幕が開く「御殿」「床下」には間に合って、なんとか藤十郎の政岡は観られそうである。一世一代とはいっていないが、今後観られるかどうか解らない舞台なので見逃すわけにはいかないのである。その日は、ズービン・メータ指揮、イスラエル・フィル、モーリス・ベジャール振り付けの『第九交響曲』を観にNHKホールに夕方からでかける予定でもある。

「花水橋」と「竹の間」は残念ながら観ることができないと諦めていたのだが、セルフ幕見席で問題解決ということを発見したので15日(土)に決行することにした。この日は、新国立劇場バレエ団の新制作『眠れる森の美女』を観に行く予定である。開演は14時。たぶん5分押しで始まるはずなので14時までに、国立劇場の「竹の間」を観終えてから新国立劇場へ駆けつけることができれば問題解決なのである。

国立劇場のタイムテーブルを見ると13時25分に「竹の間」までが終わるらしい。時間は国立劇場なので正確なはずである。

13:28発 国立劇場
      徒歩

13:32着 半蔵門
13:37発

東京メトロ半蔵門線・押上行 .

13:40着 九段下
13:44発

都営新宿線・笹塚行 .

13:54着 初台
13:56発

13:58着 新国立劇場

けっこうギリギリだけれど何とか間に合いそうではある。もっとも15日に本当に休めるかどうかは、当日にならなければ解らない状態なので、チケットが全部無駄になる可能性もある。なんとか観られると嬉しいのだが、どうなりますことやら。
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カラヴァッジョ 「眠るキューピッド」 [エッセイ]

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天使のようだと讃えられた少年は 恋を知って重い翼を持った あんなにも自由に飛べた空が 翼を持ったら遠くなった 不恰好でも飛べばよい

天使の最も大切な人から贈られた詩である。
贈ってくれた人は、もうこの世の人ではない。
どうして、こんな詩を贈ってくれたのか
今となっては確かめる術もない。

ただひとついえることは、劇場の天使=私が天使だったということ。
もう翼は持っていないが、翼の痕跡はあるように思える。
「劇場の天使」と名乗ったのも、適当につけたわけではない。
かつて天使だったからである。

さて、今の大切なパートナーから「カラヴァッジョ」の画集を見せられた。

カラヴァッジョとは誰なのか?、

ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョ(伊: Michelangelo Merisi da Caravaggio、1571年9月28日 - 1610年7月18日)は、バロック期のイタリア人画家。1593年から1610年にかけて、ローマ、ナポリ、マルタ、シチリアで活動し、カラヴァッジョ(Caravaggio)という通称で広く知られている。その作品に見られる肉体面、精神面ともに人間本来の姿を写実的に描く手法と、光と陰の印象的な表現はバロック絵画の形成に大きな影響を与えた。とある。

無頼漢だったらしく画家でありながら当時のローマ教皇から死刑宣告を受けるほどだったらしい。

画集の中から見せられたのは「眠るキューピッド」と題された作品である。1608年作で、イタリアのフィレンツェ、ウフィツィ美術館に所蔵されている作品である。

「あれ、どうして天使(=私)が絵のモデルになったのだろう」と思ったくらい、そっくりなのである。絵のようにお腹がぷっくり出ていないと思うけれど、それ以外は翼の有無だけで天使(=私)とうりふたつといっても良い。お互いにしばし絵に見入ってしまった。不思議なこともあるものである。俄然、イタリアのフィレンツェにあるウフィツィ美術館に行きたくなった。

イタリアに行かなくても「ウフィツィ美術館展黄金のルネサンス ボッティチェリからブロンヅィーノまで」は現在、東京都美術館で開催中である。残念ながらカラヴァッジョの作品は来ていないようだが美術館にでかけてみようと思う。


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心のハープを鳴らせ [エッセイ]





ヌレエフを初めて観てから6年後の春。天使はパリ・オペラ座ガルニエ宮の座席にいた。演目はヌレエフにより新演出『眠れる森の美女』だった。パリの到着した夜、パリに住む知人が手配してくれたチケットを握り締め、盛装してガラ公演に出かけた。オペラ座に到着するとなんとストライキで公演は中止。仕方なく次回公演を窓口で買って再挑戦。しかし、その公演も中止。せっかくパリに来ていながら観られないなんて・・・。

シャンゼリゼ劇場で上演されるロッシーニの歌劇『ウイリアム・テル』の開幕を待っていると、中年の女性が余ったチケット?を売りさばこうとしていた。その手を観ると明日の『眠れる森の美女』のチケットを1枚持っている。フランス語はしゃべれないはずなのに、何故か交渉が成立して定価で売ってもらった。

その席は、日本流に言うと1階席の前から四列目の中央だった。なんというよい席だったことか。しかも1枚だけあったなんて。煌くような劇場の中に身を置いて開演を待っていると、隣のご高齢のご婦人がフランス語で話しかけてきた。フランス語が話せないとわかると英語にしてくれて助かった。

どこから来たのかとか、バレエは好きかなどと聞かれ、天使が座っている席は亡きご主人のものだったという。ニジンスキーを観たというから、かなりの高齢のはずだが、元気いっぱいで明日からのイースターの休暇は、ジェノヴァで過すのだと言っていた。

シャガールの天井画は大嫌いといい天井を見上げていたご婦人が天使に言った。「心のハープを鳴らしなさい」と。人間は誰もが心の中にハープを持っているのだと教えてくれた。その心の中のハープが、微風が吹いただけでも鳴るような人間にならなければ駄目なのだと語った。大多数の人間は、心の中のハープを鳴らすことができないまま錆付かせてしまっている。そのハープをいつでも鳴らすことができるようにするためには、常に美しいもの。音楽、絵画、彫刻、オペラ、そしてもちろんバレエに触れていなさいと教えてくれた。たとえ最初は理解できなくても、芸術に親しむ時間を惜しんではいけないと天使の手を握りながら約束するようにと言った。

もちろん天使は約束し、「心のハープを鳴らす」生きかたをしてきたつもりだ。しかし、昔ほど美術館にでかけたりする時間がなくなっているのは確かである。今も微風が吹いただけでも心のハープは音を奏でてくれるだろうか。自問自答してみる。あのパリの夜から25年余りが過ぎた。ヌレエフはこの世にいないが、彼の振付た『眠れる森の美女』は美術や衣裳を変えて再演が重ねられている。

「心のハープを鳴らせ」と自分を鼓舞して、これからも生きて行きたい。
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東海道新幹線50年 [エッセイ]



新幹線が開業して50年だという。母方の祖父のお墓が新幹線の線路の直ぐそばにあったので、幼い頃はお墓参りのたびに新幹線を見物していた。天使の生まれた街では東海道本線の駅に平行して新幹線のルートも考えられていたようだが、お金持ちしか乗らないのでいらないと言ったとか言わないとかで、南側にルートが変更され、新幹線の駅が開業したのは24年後と大幅に遅れてしまった。まあ、新幹線公害という騒音被害もあったので、当時の人は賢明だったのかもしhれない。

せっかく某宗教団体の参拝ツアー用に団体待合室も作られた駅舎だったのに、某団体と本山とのトラブルから団体客が来なくなってしまってアテが外れてこともあったようだ。

天使が初めて新幹線に乗ったのは、小学校6年生の「子供の日」だった。父の勤務先の慰労旅行に便乗して大阪の万国博覧会に出かけたときである。指定席にはさまざまな団体が乗っていて、お婆さんたちが、ずっと御詠歌を唱えていたのが強烈な印象として残っている。あの頃は、車内で御詠歌も問題にならなかったのだろうか。子供だった天使は、万博に行くのと、初めての新幹線で興奮状態。車内の冷水機についていた封筒形の紙コップで水を何度も飲んだりした。

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あのときは、サザエさんも万博に行ったらしい。



一番印象に残っているのは、「お祭り広場」の子供の日のイベントで、ダニー・ケイが出演したこと。まだ若手売出し中の落語家・桂三枝が金太郎の姿で登場すると客席は「三枝、三枝」の声援で包まれたが、静岡の田舎者には、桂三枝とは何者か全然知らなかったので、ぽかんとしていた。お祭り広場という広い平舞台で何かを演じるというのは難しかっただろうが、ダニー・ケイが「しょじょ寺のたぬきばやし」を日本語で歌って、一気に会場中を虜にしたショーマンシップは忘れられない。

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劇団四季メソッド「美しい日本語の話し方」浅利慶太著を読んで [エッセイ]


劇団四季メソッド「美しい日本語の話し方」 (文春新書 924)

劇団四季メソッド「美しい日本語の話し方」 (文春新書 924)

  • 作者: 浅利 慶太
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2013/07/19
  • メディア: 新書





この本の帯には以下のような文章が書かれていた。

表面には

「呼吸法」「母音法」 「フレージング法」 あなたの第一印象が変わる

初公開! ビジネスに 対人関係に

裏面には

1日5分、あなたも「美しい話し方」になる!

母音法聞き取りやすい発声のために

まず母音だけで発声練習をする。
「ありがとう」は「アイアオー」

呼吸法腹筋・背筋を使った腹式呼吸

カウントしながら息を吐き切り、
体全体を使って息を吸い込む

フレージング法プレゼン・スピーチ用に

分かりやすく伝えるために、
文章をどこで切るかを伝授

なにやらビジネス本のような体裁だが、新書版なのでこのように手にとってもらう工夫が必要だったのだろう。『劇団四季メソッド「美しい日本語の話し方」』とはいうものの、メソッド?の部分は半分しか書いていなくて、後は自慢話と小学生を相手に開催する「美しい日本語の話し方」教室台本。

さて、天使の中では劇団四季は1980年代で終わっている。日生劇場を拠点に、ミュージカルやストレートプレイの上演を続けていた頃は、多彩な俳優が揃っていて魅力的にみえたものだった。演出家も今のように海外のミュージカルをそのまま上演するのではなく、浅利慶太のオリジナルな演出で上演するなど興味深い試みもあった時代のことである。

「CATS」、「オペラ座の怪人」を上演したあたりから、劇団四季はミュージカルに軸足を移し、海外の最新のストレートプレイを上演しなくなった。というよりも満足のいくレベル上演できる俳優がいなくなってしまったのである。藤野節子、影万里江、三田和代らがなくなったり退団してからは、残念ながら急激にレベルが低下してまともにストレートプレイは上演できなくなってしまった。

なんとか外部から俳優をかき集めて三島由紀夫の『鹿鳴館』などを上演する試みは続けているが、その不自然極まりない生硬な台詞、劇団四季のメソッドである「母音法」?の成果であるはずの舞台が少しも面白くないのである。むしろ苦痛を感じたり、失笑するしかないこともある。完全に劇団四季のメソッドは失敗なのだが、どうも浅利慶太はそれを認めたくないようである。

さて浅利慶太が電車に乗って移動するだろうか?といった素朴な疑問を持つ導入部から、ひたすらメソッドや劇団活動を礼賛し続けるのはゴーストライターが書いたにせよ鼻白むほかはない。劇団といいながら、俳優を大事に育てようとしていない姿勢。ミュージカルを主な活動としているのに、コスト優先でオーケストラを排したカラオケでもっぱら上演しているのもおかしい。「母音法」?のおかげで、日本語として不自然な台詞術が蔓延したので、韓国人や中国人俳優が不自然な日本語の台詞を発しても、不自然に感じないという成果?もあった。

常に大当たりのような書き方をしているが、失敗した作品も多いし、すべての演目が満員になっているわけではなく、文化の一極集中を避けるため?に進出したはずの地方都市では、専用劇場から撤退せざるをえないような状況もあった。ロングラン公演とはいっても修学旅行の団体客に支えられている面もあるので自慢するべきことでもない。気がついてみれば首都圏に劇場が集中しているではないか。

サービス産業界を横断して利用者の評価を比較・分析しているサービス産業生産性協議会から発表される「JCSI」で劇団四季が3年連続で1位に輝いているのを誇る神経もわからない。彼らは芸術集団ではないのだろうか?地方公演では、俳優も終演後に荷物を運ぶのをまるで美談のように伝えているのも首をかしげざるを得ない。全力を出し切って?疲れている俳優にさらなる労働を課するとは。彼らは芸術家ではなく、たんなる労働力としか観ていない証拠である。あるバレエ団の代表は、ダンサーは芸術家であるべきだと、絶対に終演後の荷物運びなどをさせなかったというのを思い出した。

この本に書かれているのは、浅利慶太が机上で生み出した単なる技術論にすぎない。浅利自身が俳優だったわけではないので、著しく説得力を欠くテクニックである。単なるテクニックで終わっているので、観客の心を打つ芝居などできるはずなどないのである。

台詞ばかりではない、ミュージカルの歌唱や振り付けも、単に正確に覚えただけでは観客の心を動かすことなどできないのである。劇団四季の中にも、そこから出発して、さらなる高みに観客を連れ出そうとする俳優もいないではないが、そうした俳優の多くは退団してしまっている。残ったのはカスばっかりとはいわないが、がっかりっせられることが多くなったのは事実である。

それでも、盲目的にカーテンコールのスタンディングオベーションをしたがる愚かな観客を大量に集めている限り劇団四季は安泰ということか。世紀の駄作「リトル・マーメード」が大ヒットなのだから、そもそも観客のレベルからして低すぎるのだが。
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チェロが帰ってきた! [エッセイ]

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糸巻が緩んでしまい、駒の位置もずれてしまったチェロの修理が終り、今日自宅に帰ってきました。38歳の時にレッスンを始めて、今年で16年目を迎えました。一緒に始めた小学生は音大に進み、今やチェロを教える立場になっているのに、天使は何とも上達の遅いダメな生徒です。ややマンネリになってしまって惰性でレッスンを続けていた時もありました。

ある年、映画『戦場のピアニスト』を観ていて、その中で弾かれていた、バッハの無伴奏チェロ組曲 第1番よりプレリュードがどうしても弾きたくなってしまって、無謀にも自主練習を始めました。先生に呆れられながらも、なんとか弾けるようになって発表会で披露までしてしました。

それからは度胸がついて、自分のレベルでは難しい曲にも果敢にチャレンジしております。今年はプーランクのチェロ曲に挑戦中。究極の目標は、チェロソナタの全曲を60歳までの仕上げることですが、今年はフランス組曲の中から数曲を小手調べに練習しておりますが、まあ難しいのなんのって。でも、弾いていてゾクゾクするような個所がいくつもあって心震える思いで音楽を楽しんでいます。


ドビュッシー:チェロソナタ 他、プーランク:フランス組曲 他/ジャン=ギアン・ケラス、アレクサンドル・タロー (Debussy, Poulenc / Queyras, Tharaud) [日本語解説書付]

ドビュッシー:チェロソナタ 他、プーランク:フランス組曲 他/ジャン=ギアン・ケラス、アレクサンドル・タロー (Debussy, Poulenc / Queyras, Tharaud) [日本語解説書付]

  • アーティスト: ドビュッシー,プーランク,ジャン=ギアン・ケラス (チェロ),アレクサンドル・タロー (ピアノ)
  • 出版社/メーカー: Harmonia Mundi, France / King International
  • 発売日: 2008/12/02
  • メディア: CD



では、どうして天使がチェロに興味を持ったのか…。それは1971年に公開された『小さな恋のメロディ』で主演のダニエルを演じたマーク・レスターがチェロを弾くシーンがあったから。相手役のメロディのトレイシー・ハイドがリコーダーで一緒に曲を弾くのが、言葉はなくとも心の通じ合うという、なんとも言えないほど素晴しい場面だったのである。裕福な家庭に育ったダニエルがチェロ、貧しいメロディはリコーダーと、今考えればイギリスの階級制度が、さりげなく描かれているというところなのだが、中学生になって初めて観た外国映画の恋愛物?ということで、そんなことは少しもわからなかったけれど、いつかはチェロを弾いてみたいとだけは強く思ったのである。初志貫徹というかなんというか。リスム感の悪さに自分でも呆れながら、楽しみながら弾いている今日この頃なのであります。


小さな恋のメロディ [DVD]

小さな恋のメロディ [DVD]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • メディア: DVD



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