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アラジン  電通四季劇場「海」 2015年5月30日 [ミュージカル]

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劇団四季とディズニーがタッグを組んだ最新作『アラジン』を初日から5回目の公演を観た。ということでキャストは初日と同じ面々だったようである。

さて電通四季劇場“夏”は商業ビルにあるテナント的な劇場なので、劇場入口は狭く、いささかスマートさに欠ける飲食店に囲まれてある。ロビーは狭く快適とは言い難い。それでも舞台の間口はミュージカルを臨場感を持って観る為には最適な大きさであるし、舞台の奥行、奈落、舞台袖も十分なように設計されているらしい。オーケストラピットも常設なのだが、残念なことに劇団の方針でカラオケでの上演しか行わないので、今回もオーケストラピットの穴?や囲いはあるものの音楽はステージの両サイドと真上に吊り下げられたスピーカータワーから流れてくる仕組み。開演前のチューニングの音がなく、第2幕の開幕時のオーケストラ演奏が録音では観客の期待感を高めるといったことができない。残念なことである。

20年ほど前に大ヒットしたアニメ映画をライブの舞台上演に変えるという難しい問題を、新しい登場人物を追加したり、動物を似たようなキャラクターの人間に置き換えたりという工夫で乗越えた快心作となった。まだロングラン公演は始まったばかりだが、最低でも5年ほどのロングランは間違いなしのヒット作となるだろうと思う。

今回の成功は、ブロードウエイ版と同じく、ランプの精のジーニー役が大活躍で面白かったことである。ブロードウエイ版のジーニー役はかなり個性的で歌も踊りも堂々たるものだが、日本版のジーニーである 瀧山久志は歌は抜群に上手いし、コメディセンスも、かつて光枝明彦が演じた『魔法を捨てたマジョリン』のニラミンコを思い出させるような演技で客席を何度も爆笑させた。さすがにダンスはキレキレという訳にはいかなかったけれど、日本人俳優には荷が重いと思われた役を見事にこなしていた。後は客席に向かっての芝居に応答できないシャイな観客が慣れてくれば、かなりの盛り上がりをみせるはずである。

アラジンの島村幸大は、歌も踊りも上手で、ジャスミンの 岡本瑞恵ともども適役だと思った。ランプの精であるジーニーが登場するまでは二人を中心に舞台が展開するわけで、その役目をなんとか果たしたという感じだった。二人の最大の見せ場は「空飛ぶ絨毯」なのだけれど、これがどうしても空中に浮かんでいるようにしか見えないという優れた仕掛け。ピアノ線もクレーンで支えているのも見えないで二度登場するが、明るい照明の中でも全く仕掛けがわからないのは凄いと思った。登場したキャラクターの中では、アニメでは鳥?だったイアーゴの酒井良太が傑作。最初、出川哲朗が出ているのかと思ったくらい。舞台でもいじられまくってなんともおかしくて子供たちは大喜びだった。

老若男女と観客層が広いので、小さなお子様でも退屈しないよう第2幕以降はスピーディーに物語が進んでいく感じで、少々物足りなくも思ったが、色々な場面で秘密が隠されているようで何度でも見たくなる作品である。身切れ席を解放した前日予約の当日券もあるようだし、何度でも観たくなる作品だと思う。別のキャストでも、もちろん見たい。

アンサンブルのダンスは、キレッキレというよりも正確に振付をなぞることに終始したようで迫力はあっても客席に伝わって来るものは少なかったように思う。男性ダンサーがセンターで披露するはずの跳躍の大技も、しっかり飛べていないのでがっかり。音楽に合わせているとはいえ、牧歌的なファイティングシーンに思わず笑った。あとはギャグの精度を高めれば、劇団四季始まっていらいの喜劇ミュージカルになるかもしれない。アラジンが亡き母のことを思う孝行息子だったり、ジャスミンが女性の自立を志向する単なるお姫様キャラでないのも新鮮だった。

第1幕のジーニーのナンバーは、拍手が鳴り止まず観客が大興奮。あんなに盛り上がった客席を始めてみたような気がする。


『アラジン 東京』 電通四季劇場[海](汐留)

2015年5月30日(土) 13時開演


第1幕     13:00~14:20

休憩時間   20分
  
第2幕     14:40~15:45

ジーニー 瀧山久志
アラジン 島村幸大
ジャスミン 岡本瑞恵
ジャファー 牧野公昭
イアーゴ 酒井良太
カシーム 西尾健治
オマール 斎藤洋一郎
バブカック 白瀬英典
サルタン 石波義人


【男性アンサンブル】
仙名立宗
田井 啓
熊川剣一
朱 涛
笠松哲朗
加賀谷真聡
水原 俊
二橋 純
ハンドコアクアリオ
永野亮比己
大森瑞樹
光山優哉

【女性アンサンブル】
井上佳奈
花岡麻里名
金 友美
村上今日子
加藤久美子
小島光葉
松本菜緒


作曲アラン・メンケン
作詞ハワード・アッシュマン、ティム・ライス.
台本・作詞チャド・べグリン.
演出・振付ケイシー・ニコロウ
.装置デザインボブ・クローリー.
衣裳デザイングレッグ・バーンズ
.照明デザインナターシャ・カッツ.オリジナル
音響デザインケン・トラヴィス.
音楽スーパーバイザー、付帯音楽&ボーカル・アレンジマイケル・コザリン
.オーケストレーションダニー・トルーブ
.ダンス音楽アレンジグレン・ケリー.
ヘアデザインジョシュ・マルケット
.メイクアップデザインミラグロス・メディーナ・セルデイラ.イリュージョンデザインジム・スタインマイヤー.ファイト・ディレクターJ・アレン・サッデス.
特殊効果デザインジェレミー・チャーニック
.プロジェクションデザインダニエル・ブロディ..

『アラジン』ワールドワイド・スタッフ

アソシエート・プロデューサーアン・クォート
.プロダクション・スーパーバイザークリフォード・シュワルツ
ジェフリー・クォート
ハドソン・シアトリカル・アソシエーツ.ゼネラル・マネージャーマライア・バッシュ.アソシエート・ゼネラル・マネージャーケリー・マッグラース.アソシエート・ディレクタースコット・テイラー.アソシエート・コレオグラファージョン・マッキネス.音楽スーパーバイザーマイケル・コザリン.ダンス・スーパーバイザーマイケル・ミンドリン.アソシエート・装置デザイナーロズ・クームズ.アソシエート・衣裳デザイナースカイ・スワイツァー.アソシエート・音響デザイナーアレックス・ホーソーン.アソシエート・照明デザイナーアーロン・スパイヴィー.プロダクション・カーペンタージョン・マクファーソン.プロダクション・小道具スーパーバイザーティム・エイベル.日本語台本コンサルタント鈴木小百合.プロダクション・コーディネーターアリエル・ステイン..
ディズニー・シアトリカル・プロダクションズ

プレジデント&プロデューサートーマス・シューマーカー.エグゼクティブ・ヴァイス・プレジデント&マネージング・ディレクターデヴィッド・シュレーダー.シニア・ヴァイス・プレジデント/マーケティング担当アンドリュー・フラット.シニア・ヴァイス・プレジデント/国際担当ロン・コーレン.シニア・ヴァイス・プレジデント/ビジネス法務担当ジョナサン・オルソン.シニア・ヴァイス・プレジデント/プロダクション担当アン・クォート.シニア・ヴァイス・プレジデント/シアトリカルMD担当スティーヴン・ダウニング.シニア・ヴァイス・プレジデント/クリエイティブ開発担当ベン・ファミグリエッティ.シニア・ヴァイス・プレジデント/財務・事業開発担当マリオ・イアネッタ.シニア・ヴァイス・プレジデント/ビジネス法務担当セス・ストゥール.ディレクター/国際担当フェリペ・ガンバ.ディレクター/人事開発担当マリー・ピエール・ヴァラン.シニア・カウンシル/ビジネス法務担当ナイラ・マッケンジー.マネージャー/財務担当ジェニファー・オーガスト.マネージャー/シアトリカルMD担当マイク・ディカス
ニール・マークマン.シニア・ビジネス・プランナークリス・エキジアン.コーディネーター/国際担当リー・タグリン.エグゼクティブ・ディレクター/
ザ・ウォルト・ディズニー・カンパニー(ジャパン)アーチー・メグロ.シニア・マネージャー/
ザ・ウォルト・ディズニー・カンパニー(ジャパン)リツコ・オカモト..
日本スタッフ

企画・製作四季株式会社
.日本語歌詞高橋知伽江
.日本語台本劇団四季文芸部
加藤敬二
たなか浩一
田邊真也
道口瑞之.

演出スーパーバイザー加藤敬二
.スーパーバイザー助手田邊真也
.音楽監督鎮守めぐみ
.技術監督近藤建吾.
翻訳協力井筒 節

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コメント 1

Shenna

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