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奇跡のテノール ベー・チェチョル コンサート  東京オペラシティ・コンサートホール [コンサート]



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今日は12月21日の洗礼後、初めての劇場である。どうやって過すか考えた。映画『ザ・テノール 真実の物語』のモデルとなった「奇跡のテノール ベー・チェチョル コンサート」は受洗の前に買ってあった。そのコンサートの前にある映画を観ることにしてWEB予約を前日にしておいた。ところが、今朝目覚めると上映開始の2時間前なのである。今から支度して上京しても間に合いそうにない。コンサート前の映画は断念した。寝坊するなど天使にはないことである。目覚ましもセットしてあったのに。

気を取り直してコンサート後に映画を2本観ることにした。 『神は死んだのか』 と『天国は、ほんとうにある』である。コンサートの終了後にタクシー移動すれば間に合わない時間と距離ではない。今日は一日、神様を賛美する日に決めたのだった。

どうして寝坊することになったのか、ようやく気がついたのはコンサートのアンコールになってからである。神様は、受洗後の最初の劇場を「奇跡のテノール ベー・チェチョル コンサート」にしようとご計画されたのだと思った。アンコールの最初は石川啄木:作詞、越谷達之助:作曲の「初恋」。日本歌曲の名作で天使も大好きで、何度も聴いたことのある名曲である。そして賛美歌としても歌われる「アメイジング・グレイス」。手術を受けて回復したとはいえ、全盛期にはほど遠いコンディションの中、全く声を失ったオペラ歌手が、奇跡の復活をとげステージに立つ。「アメイジング・グレイス」を歌うにこれほどふさわしい歌手はいないのである。映画でも感動的に歌われたが、もう最初から最後で祈りながら聴いた。そうか神様は、この曲を聴かせたかったのかと思うと泣けて泣けて仕方がなかった。

最後は、聖路加国際病院名誉院長である日野原重明さんが登壇され、先生が作詞作曲された「愛のうた」がアカペラで歌われた。103歳の先生は、歌っているベー・チェチョルの隣に杖を手に立たれて聴いていた。思えば、初めてベー・チェチョルの存在を知ったのも朝日新聞の土曜に連載されている先生のコラムだったと思う。そして、天使が毎日読んでいる「日々の祈り」の訳者は日野原先生の父である日野原善輔さんである。不思議な力を感じないわけにはいかなかった。

コンサートの最初は、ヴォイス・ファクトリイ株式会社の代表取締役 輪嶋東太郎氏。映画の伊勢谷友介のモデルになった人物で、背は高いしハンサムで、芸術にかける意気込みも伝わってきて好印象。病気のこと手術のことなどを紹介して、京都から駆けつけた声帯の手術を執刀した京都大学一色信彦名誉教授が登壇して手術のこと、ゲネプロでの様子などが語られた。

肝心の歌の方は、さすがに再起不能といわれながら、不屈の精神でステージに上がるまでの努力をしただけあって「奇跡のテノール」の名に恥じない歌唱だったと思う。確かに奇跡なのであるが完全回復ではないことをも思い知らせられる結果ともなった。発病前はリリコ・スピントで「オテロ」も歌おうかという声質だったらしいが、充実した中高音を武器に歌い上げ、高音域はファルセットで柔らかく歌えるものを選曲したようだった。それでも声楽的な破綻は隠しようもなかった。それでも、彼の奇跡の物語を知っているものにとっては、少々の瑕など、全く問題にならないものだと思った。さすがにオペラ歌手として舞台へ復帰は、現状では無理のようだが、さらに努力を重ねれば夢ではないような気にさえなってきた。そのベー・チェチョルを支えたのが、ピアニストの松崎充代で、ともに音楽を創り上げようとする気概に満ちたピアノで大いに楽しませてもらった。

どうも佐村河内守以来、音楽とは別のサイドストーリーで聴衆を惑わせようとしているのではと疑ってかかっているのだが、ベー・チェチョルは神様のご計画によって、この世の人々に音楽を通じてキリストの愛を伝えようとしている本物の芸術家だと思った。受洗後初めてのコンサートがベー・チェチョルであったことを心から神様に感謝いたします。  



2014年12月27日(土) 14:00開演
東京オペラシティ・コンサートホール

テノール:ベー・チェチョル
ピアノ:松崎 充代

【曲目】
ヘンデル:オンブラ・マイ・フ/涙の流れるままに 
カッチーニ:アヴェ・マリア 
山田耕筰:からたちの花 
キム・リュンジュン:あの青い山に住まおう 
プッチーニ「トスカ」より:“星は輝き”

休憩15分 
シューベルト:鱒/セレナーデ/アヴェ・マリア 
トスティ:かわいい口元/理想の人/四月

【アンコール】
越谷達之助:初恋
韓国民謡:アリラン
愛のうた:日野原重明

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