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舞妓はレディ [映画]



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映画『舞妓はレディ』は、もちろんミュージカル『マイ・フェア・レディ』を意識してつくられたものである。なにしろ「スペインの雨は主に平野に降る」ではなく「京都の雨は主に盆地に降る」なのだそうである。京都の舞妓が主人公だけれど、何故かミュージカル映画になっていて着物姿で歌ったり踊ったり、ちょっと不思議な世界を垣間見てしまったような感じ。

バレエダンサーの結婚式を見たことがあるけれど、背筋がピンと伸びてウエディングドレスは、それはそれは見事な着こなしで、他の花嫁を圧倒するような美しさだった。ところが着物にお色直しで印象は逆転。背の高さや立ち居振る舞いがなんとも着物にしっくりこなくて居心地悪さを感じてしまった。この映画も草刈民代が演じる芸妓の里春がそれで、白粉を塗った顔も、日本舞踊もなんとも様にならない。途中ではさまれるダンスシーンは水を得た魚のようにイキイキとしていたのだが。

舞妓が歌い踊るというミュージカル形式は、やはりなんとも居心地が悪かった。最後の総踊り?も何だかインド映画みたいで無国籍調。「Shall we ダンス?」の楽屋落ち風のネタもあって面白いことは面白いけれども。原作ミュージカル映画にあったような階級差、大人の恋のほろ苦さといった要素はほとんどなくて、すべてが軽いタッチだったのが今風というべきだろうか。

それでも、抜擢された新人女優と舞妓修業の厳しさがオーバーラップして、彼女に感情移入できたおかげで最後まで観られたという感じ。花街という特殊な世界が舞台だけれども、何事も一人前になるためには、様々な経験を積んでいるわけで、そうした自分の若い時代の苦労を重ね合わせることもできたのもよかった。

多彩な出演者の中では、はやり富司純子の存在感は格別である。音羽屋が歌舞伎座に出演中は、その美しい着物での姿を見かけることがあるが、梨園という同じような伝統の世界で鍛え上げられてきた人なのだという安心感があって、物語に真実味を与えていたように思う。

撮影は巨大なセットだったらしいが、四季折々の京都の風景が映し出されて、何だか京都へ行きたくなってしまうようなPVのような効果がある映画でもあった。一見さんお断りに代表されるような、今日独特の排他的な世界もあるようだが、映画ではほとんどふれられていなくて京都を礼賛するばかりの映画だったのが物足りないといえば物足りなかった。

解説

「Shall we ダンス?」「それでもボクはやってない」の周防正行監督が、京都を舞台に舞妓になるために頑張る少女の成長物語を、数々のオリジナルソングが彩るミュージカル仕立てで描いたオリジナル作品。舞妓がひとりしかいなくなってしまった京都の小さな花街・下八軒の老舗お茶屋・万寿楽(ばんすらく)に、どうしても舞妓になりたいという少女・春子が現れる。最初は断られた春子だが、そこに居合わせた語学学者の「センセ」こと京野が、鹿児島弁と津軽弁の混ざった春子に興味を示し、彼女が万寿楽にいられるよう取り計らう。かくして万寿楽の仕込み(見習い)になった春子だったが、花街の厳しいしきたりや稽古、慣れない言葉づかいに悪戦苦闘。そしてある日、突然声が出なくなってしまい……。2011年・第7回「東宝シンデレラ」審査員特別賞受賞の上白石萌音が、オーディションを経て春子役に抜てきされた。

スタッフ
監督 周防正行
脚本 周防正行
撮影 寺田緑郎
照明 長田達也
美術 磯田典宏
装飾 松本良二
録音 郡弘道
編集 菊池純一
助監督 片島章三
振付パパイヤ鈴木
日本舞踊振付・指導 花柳達真
音楽 周防義和
主題歌 上白石萌音

キャスト
上白石萌音 西郷春子
長谷川博己 京野法嗣
富司純子 小島千春
田畑智子 百春
草刈民代 里春
渡辺えり 豆春
竹中直人 青木富夫
高嶋政宏 高井良雄
濱田岳 西野秋平
中村久美 原田千代美
岩本多代 鶴一
高橋長英 西郷田助
草村礼子 西郷梅
岸部一徳 北野織吉
小日向文世 市川勘八郎
妻夫木聡 赤木裕一郎
松井珠理奈 福名
武藤十夢   福葉
大原櫻子   小島千春(少女時代)
徳井優    三味線の師匠
田口浩正  長唄の師匠
彦摩呂    鳴り物の師匠
津川雅彦  「万寿楽」の馴染みの客
パンツェッタ・ジローラモ
瀬戸朝香
加瀬亮


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