SSブログ

クリスチャン・ツィメルマン・ピアノリサイタル クラウディオ・アバドに捧げられた夜 [コンサート]

【公演延期及び代替公演決定のお知らせ】

11月26日にサントリーホールでの公演を予定しておりましたが、急性腰痛症を発症し、医師の診断により11月中は演奏活動を行えないこととなりました。現在ツィメルマンは療養に努めております。本人は日本ツアー実施への強い意欲を持っておりますので、協議の結果、体調の回復が見込まれる12月6日以降の公演は当初の予定どおり実施致しますが、それ以前に予定されている公演は12月及び2014年1月に延期させていただくことと致しました。

という訳で昨年の11月26日に予定されていたリサイタルが中止になって、2014年1月20日が代替公演となった。たまたまベートーヴェンの後期3大ソナタが演奏されるということで深く考えずに買ってしまったのだが、開演前のアナウンスで特別な夜に聴く、特別な演奏になってしまった。

サントリーホールの舞台の真ん中にピアノが1台。開演前にマネージャーらしき人物が巻物のように長い楽譜を平置きに。開演前のアナウンスでは、非合法の録音を止めるように要請するアナウンスに続き、今宵の演奏会は逝去した指揮者のクラウディオ・アバド氏に捧ぐ旨が告げられた。昨年10月にルツェルン祝祭管弦楽団を率いて来日公演を予定していたのが、健康上の理由で中止になったので気にはなっていたのだが、2000年にが癌を克服して復帰していただけに今回も大丈夫と思っていた。

クラウディオ・アバドの指揮に初めて接したのは、ミラノスカラ座日本初来日公演の『シモン・ボッカネグラ』だった。その後もウィーン国立歌劇場、ベルリン・フィルのオペラ公演『トリスタンとイゾルデ』など主にオペラ公演を聴いてきた。クライバーが『ばらの騎士』を指揮した時のウィーン国立歌劇場の来日公演では、アバドは『フィガロの結婚』を指揮したのだが、クライバーよりもアバドの方が良い演奏のように思えた。

そんな思いが頭を駆け巡っていたので、残念ながら30番は心の平静を保てないまま聴く事になってしまい、演奏者には申し訳ないが集中力を著しく欠いた聴衆になってしまった。ホール内は照明が落とされ、ピアノだけが浮かび上がるように照明が調整されたいたが、なかなか集中できないで困った。ようやく続けて演奏された第31番によって音楽に没頭することができた。その高い音楽性に強く惹きつけられたが、その一方でさらなる高みに聴衆を連れて行ってくれないものかと願う部分もあって、これほどのピアニストになると求められる次元が違うので気の毒に思った。

休憩後の第32番は、強靭なテクニックと精神性がいかんなく発揮された名演だったのだが、ツィメルマンならもっとできるはずという強烈な思い込みがあったので、これだけの演奏を目の当たりにしながら、まだできるはずという思いが消えずに、圧倒的な感動を得るまでには至らなかった。つくづく著名な演奏家は大変なプレッシャーに耐えながら日々研鑽を続けているのだと思い至った。高水準の演奏を終えた後なので、当然のことながらアンコールはなし。

2014年01月20日(月) 19時開演 サントリーホール

ベートーヴェン後期3大ソナタ
Beethoven The Last Three Sonatas

ピアノ・ソナタ第30番 ホ長調 作品109
Piano Sonata NO.30 E major Op.109

ピアノ・ソナタ第31番 変イ長調 作品110
Piano Sonata No.31 A flat major Op.110

休憩 20分

ピアノ・ソナタ第32番 ハ短調 作品111
Piano Sonata No.32 C minor Op.111
nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 0

コメント 1

畑山千恵子

私も行ってきました。2階席でしたが、大変響きもよく、音楽そのものもしっかり伝わってきました。楽譜を見ながらの演奏とはいえ、素晴しい演奏でした。
アバド死す。イタリアの指揮者の一つの時代が終わったことを感じさせましたね。
by 畑山千恵子 (2014-01-21 13:46) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。