クラウド・アトラス [映画]
さて6つの時代と場所を生きる6つの人生を生きる男（トム・ハンクス）の物語。最初は悪人から始まり、最後は地球を救う男にまで成長していくという展開。しかもアトランダムに6つの時代の物語が登場するので、最初は少々混乱するかもしれないが、それぞれの時代の主人公たちが、危機を乗り越えていく姿を描いていくので飽きないし、不思議なことにそれぞれの物語が時系列で繋がっていることが分かってくるので、面白さも6倍といったところだろうか。
19世紀の海洋物、20世紀前半の同性愛と芸術を描い文芸物、70年代風サスペンス、コメディ、近未来アクション、冒険ファンタジーSFといった具合で、全く違ったジャンルの物語が繋がっているので、映画好きにはたまらない設定になっている。
それぞれ豪華キャストが、ある時には主役に、ある時には脇役に、あるときはカメオ出演風に登場するので、どの場面からも目が離せなくて、約3時間の映画もアッという間に終わった感じである。天使の好みは、1936年のスコットランドを舞台に、美しい青年が幻の名曲を生み出すまでの秘話で同性愛もからんで、その時代の空気を伝えていて心地良くまた悲しい。
そして2012年のロンドンでの物語。編集者の老人が担当する作家が殺人を犯し、売り上げをめぐって脅迫された挙句、逃げ込んだ老人施設での抑圧された生活から脱出するまでの顛末。ユーモアに満ちた展開で楽しめる。
それぞれの複雑な物語の絡み合い方は、パンフレットを買って研究したほうがよさそう。何の準備もなく、一度で全てを理解しようというのは絶対に無理です。エンドロールの前半で種明かしがあるまで気がつかなかったけれど、主役級の俳優は何役も掛け持ちして出演していたのに気がつくのも一興である。
以下は物語の舞台と時代、それに最後の物語まで続くキーワード
1849年 南太平洋諸島 数奇な航海物語
キーワード 変わらない愛
変われない人間
変わることのできる人間
1936年 スコットランド 幻の名曲の誕生秘話
キーワード アダム・ユーイング（1849年の主人公）の太平洋航海記
エアズ（大作曲家）の見た夢（2144年）
聖ジョージと竜（エアズ＝大作曲家の家にある置物）
1973年 サンフランシスコ 原子力発電所の恐るべき陰謀
キーワード ほうき星形のアザ（運命を動かす力を持つ人についているアザ）
カルロス・カスタネダ（トム・ハンクスが演じる発電所の従業員が興味をもつ「呪術師と私」を書いた作家）
クラウド・アトラス六重奏曲（前世でこの曲にかかわりがあった人が現世で何故か懐かしさを感じる曲）
メーガンの両親（写真だけで登場するカップルは1848年でも夫婦だった）
2012年 ロンドン 平凡な編集者の類稀な冒険
キーワード メルヴィル「白鯨」
「ルイサ・レイの謎」ハビエル・ゴメス著（1973年に登場する少年が大人になって書いた本）
「ソイレント・グリーンの原料は人間だ！」（チャールトン・ヘストンが主演した映画。2144年にも関連が）
ソルジェニーツィン
2144年 ネオ・ソウル クローン少女の革命
キーワード ネオ・ソウル
給仕用複製種
映画「カベンディッシュの大災難」（2012年の主人公の小説を原作にした映画）
ソルジェニーツィン
2321年 ハワイ 崩壊後の地球の行方
キーワード プレシエント（進化した人間コミュニティー）
ソンミのお告げ（2144年のクローン人間ソンミがこの時代は神になっている）
悪人から善き道へ（トム・ハンクスが6つの物語で歩む道。最後はハル・ベリーと結ばれるまで）
とにかく3回は驚きで椅子から立ち上がりそうになり、最後は拍手しようかと思ったくらい。エンドタイトルに流れるクラウド・アトラス六重奏も佳曲だった。
あらすじ・解説 - クラウド アトラス
「マトリックス」シリーズのウォシャウスキー兄弟と、『ラン・ローラ・ラン』のトム・ティクヴァが監督を務める超大作。原作はデヴィッド・ミッチェルの同名ベストセラー小説。19世紀から文明崩壊後までの異なる時代に舞台を置いた6つの物語を描く。主演はオスカー俳優のトム・ハンクスとハル・ベリー。共演陣にも国際色豊かな一流キャストを配し、アクション、ミステリー、ロマンスをドラマチックに織り交ぜながら、時空を行き来し展開していく。（作品資料より）
解説 - クラウド アトラス
デイヴィッド・ミッチェルの小説『クラウド・アトラス』を映画化したSFドラマ。6つの時代と場所で6つの人生を生きる男の数奇な経験を描く。共同監督は「マトリックス」のラナとアンディのウォシャウスキー兄弟、「ラン・ローラ・ラン」のトム・ティクヴァ。出演は「フォレスト・ガンプ 一期一会」のトム・ハンクス。
あらすじ - クラウド アトラス
初老の男ザックリー（トム・ハンクス）には、時空を超えたいくつもの“自分”の物語があった。
1849年の太平洋諸島。“彼”は医師ヘンリー・グースとして弁護士ユーイング（ジム・スタージェス）と出会う。ユーイングはホロックス牧師（ヒュー・グラント）と奴隷売買の契約を交わす。島で罹患したユーイングに、グースは無料の治療を買って出る。
1936年、ユーイングの航海日誌を読む音楽家フロビシャー（ベン・ウィショー）は父親に勘当され、恋人シックススミス（ジェイムズ・ダーシー）のもとを離れて、スコットランドの作曲家エアズ（ジム・ブロードベント）の家へ押し掛ける。フロビシャーはエアズの採譜者を務めながら、後に幻の名曲となる「クラウド アトラス六重奏」を作曲する。
フロビシャーからの最後の手紙をシックススミスが受け取った37年後の1973年、サンフランシスコ。物理学者となったシックススミスは、人命に関わる原発の報告書をジャーナリストのルイサ（ハル・ベリー）に託そうとして殺される。原発の従業員アイザック・スミスである“彼”はルイサと恋におち、会社を裏切る決意をする。
2012年のロンドンで“彼”は作家ダーモット・ホギンズとして著書を酷評した書評家を殺し、カルト的英雄となる。大儲けした出版元のカベンディッシュ（ジム・ブロードベント）はダーモットの弟たちに脅迫される。
2144年、遺伝子操作で作った複製種を人間が支配する全体主義国家ネオ・ソウル。複製種ソンミ451（ペ・ドゥナ）は密かにカベンディッシュ原作の映画を観て自我に目覚める。革命軍チャン（ジム・スタージェス）と恋におちた彼女は、自ら反乱を率いる。
ソンミが女神として崇められる地球崩壊後106度目の冬の地で、進化した人間コミュニティーからの使者メロニム（ハル・ベリー）が若き日のザックリーの村を訪れる。ザックリーがガイド役となり悪魔の地と呼ばれる険しい山の山頂にたどり着くと、メロニムの驚くべき使命が明かされる……。
トム・ハンクス （Dr. Henry Goose / Hotel Manager / Isaac Sachs / Dermot Hoggins / Cavendish Look-a-Like Actor / Zachry）
ハル・ベリー （Native Woman / Jocasta Ayrs / Luisa Rey / Indian Party Guest / Ovid / Meronym）
ジム・ブロードベント （Captain Molyneux / Vyvyan Ayrs / Timothy Cavendish / Korean Musician / Prescient 2）
ヒューゴ・ウィーヴィング （Haskell Moore / Tadeusz Kesselring / Bill Smoke / Nurse Noakes / Boardman Mephi / Old Georgie）
ジム・スタージェス （Adam Ewing / Poor Hotel Guest / Megan's Dad / Highlander / Hae-Joo Chang /Adam / Zachry Brother-in-Law）
ペ・ドゥナ （Tilda / Megan's Mom / Mexican Woman / Sonmi-451 / Sonmi-351 / Sonmi Prostitute）
ベン・ウィショー （Cabin Boy / Robert Frobisher / Store Clerk / Georgette / Tribesman）
ジェームズ・ダルシー （Young Rufus Sixsmith / Old Rufus Sixsmith / Nurse James / Archivist）
ジョウ・シュン （Talbot / Hotel Manager / Yoona-939 / Rose）
キース・デヴィッド （Kupaka / Joe Napier / An-kor Apis / Prescient）
デヴィッド・グヤシ （Autua / Lester Rey / Duophsyte）
スーザン・サランドン （Madame Horrox / Older Ursula / Yusouf Suleiman / Abbess）
ヒュー・グラント （Rev. Giles Horrox / Hotel Heavy / Lloyd Hooks / Denholme Cavendish / Seer Rhee / Kona Chief）
早く2度目が観たいです。
TBさせていただきました。
by ta74382 (2013-03-25 10:50)