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小鍛冶 曲輪ぶんしょう 関取千両幟 2月文楽公演・第2部 [文楽]

通し狂言風の上演が並んだ第1部と第3部。それに比べれば文楽を見物したという満足感のある第2部だった。

「小鍛冶」は、千歳大夫、始大夫、靖大夫などが出演。人間国宝の住大夫と源大夫が病気休演とはいえ、20名ほどの大夫に出番をつくらなければならないからか掛け合いでの上演が目立つ公演でもある。松羽目の舞台から暗転をはさんで写実?な舞台に転換するという文楽らしい見せ場があって、それなりに楽しめた。

「曲輪ぶんしょう 吉田屋の段」は睦大夫に切は嶋大夫。勘十郎の夕霧、玉女の伊左衛門という配役で期待したのだが、男女の他愛無い色事とはいえ単調にすぎたように思う。こんなに心の浮き立たない演目ではないはずだったが。

「関取千両幟」は師走の京都南座の顔見世で歌舞伎での上演を観たばかりである。人間が関取を演じるよりも、人形の方が創造力がふくらんで数段に面白い。人形同士で相撲をとるという趣向も気に入った。圧巻だったのは浅葱幕が降りて、三味線を使って曲弾きを藤蔵と清志郎が披露したことである。三味線を使って太鼓の響きを表現、さらには撥を飛ばしたりといったケレン味たっぷりな演奏で客席をわかせた。

話自体は他愛無いものと思っていたが、意外な演奏がついていたので大いに楽しんだ。源大夫が休演で呂勢大夫が代演したのもよかった。期待の蓑助だが今は彼が元気に人形を遣うだけでも価値があることなので少々のことには目をつぶるしかない。いつまでも舞台に立っていて欲しい人なのである。

さて、天使の密かな贔屓は文字栄大夫なのだが、今回もアッという間の出演で終わってしまって残念。かつて愛していた貴大夫の芸といい、文字栄大夫といい、あまり評価が高くないのだが、彼らのような大夫がいてくれるからこそ、文楽は栄えるのだと思う。

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コメント 1

梅枝郎

●「贔屓は文字栄大夫」で、「かつて愛していた貴大夫」ともども、「あまり評価が高くない」が、「彼らがいてくれるからこそ、文楽は栄える」というコメント
を見て、思わずうなってしまいました。

 そんなファンがいて、そんなふうに考えていることが、私には驚きでした。
ひとは好きずき、価値観もそれぞれですが、なかなかの見巧者だとお見受けする方が、文字栄や貴という大夫をそんなふうに捉えておられたんですね。いろんな人がいるもんだ。シヨックで、しばらく考え込んでしまいました。
by 梅枝郎 (2013-02-24 12:16) 

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