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三谷文楽 其礼成心中 パルコ劇場  [文楽]

もう2週間以上前に上演が終了してしまったのだが、忙しくてブログの更新もままならないまま無為に時間がすぎてしまった。反省の意味も込めて感想を少々。

文楽の危機が叫ばれて久しい。9月の東京・国立劇場小劇場の公演には住大夫が病気休演となってしまっても第一部は全席売り切れ、第二部も残席が僅少という大盛況である。結局は話題になればチケットは売れるということなのだろう。これまでのPR活動がお粗末だったということなのだろうか。

「文楽」も「三谷幸喜の舞台」にも一生無縁のままだというのが大多数の日本人。渋谷のパルコ劇場に集ったのは、1億人の日本人の中の変わり者なのかもと思いながら席についた。定式幕はあるものの文楽回しは当然のことながらない。文楽の地方公演で使うような巻き上げ式の御簾の下がった仮設の床もない。さて、どうして大夫と三味線弾きを登場させるのか?開幕前の三番叟はあるのか?出演者を紹介する黒子の口上はあるのか?上演中の客席は明るいのか?答えは全てNOだったのだが、開幕前に作者自身が一人での操る三谷人形?が登場。開演中の注意をしたり、客いじりをしたりして客席を盛り上げた?・・・これもNOだったかも。


人形遣いは高下駄を履くこともなく平舞台で人形を遣い、舞台後方の高い位置に大夫と三味線弾きが左右からスライドしてきてスピーディーに舞台を進行。舞台装置も最小限で照明の効果を多用、人形遣いも総勢12名しかいないので最大でも三人遣いの人形は4体までしか出せないハンディも乗り越えて爆笑の舞台を作り上げていたのは何より。

近松の「曽根崎心中」や「心中天網島」の名場面も織り込んで文楽の魅力を初めて観る観客にもアピールしていたし、人形が本来持つ喜劇的な味を「おふく」の名演技?で最大限に引き出した手腕は見事だった。ただし、文楽に欠かせない義理人情の世界とは無縁な話だったので、笑えても心に響くようなものは希薄なのは仕方がない。大多数の観客は笑いを求めていたのだから…。もっとも観客は文楽の中に出てくるカタカナ語に多く反応していて笑いの底は浅かった。

気になったのは三谷が、この芝居の中の江戸の時間をあまり意識していなかったこと。物語の発端は一体何時だったのだろう。夜に開いている饅頭屋、真夜中?に一人歩きする幼い娘?などなど疑問だらけ。江戸時代にコンビニじゃあるまいし饅頭屋が夜中には営業しないだろう。とツッコミをいれながら観ていた。

中堅の実力派である千歳大夫、呂勢大夫、清介らが実力を発揮し、若手の人形遣いが活躍。しかし、國立劇場の本公演で上演して欲しいとは全く思わない。まずは古典作品を継承することに努力して欲しい。大阪の文化の破壊者?である市長は喜んで観るかもしれないので国立文楽劇場では上演したらいいのではないだろうか。



作・演出 三谷幸喜

出演 

竹本千歳大夫
豊竹呂勢大夫
豊竹睦大夫
豊竹靖大夫

鶴澤清介
鶴澤清志郎
鶴澤清丈
鶴澤清光

吉田幸助
吉田一輔
吉田玉佳
桐竹紋臣
桐竹紋秀
吉田玉勢
吉田蓑紫郎
吉田玉翔
吉田玉誉
吉田蓑次
吉田玉彦
吉田玉路
吉田蓑之

囃子 望月太明蔵社中

上演時間

19:00〜21:00
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