SSブログ

12月文楽鑑賞教室 文楽の魅力 曽根崎心中 [文楽]

劇場に入るとインターナショナルスクールの小学生らしい外国人の子供達の団体がいた。近松の心中ものなど見せていいのか心配になる。ところが、最初の『文楽の魅力』だけを見て退場していった。実演はあっても日本語の説明で、舞台面も黒幕の前で地味だったので子供達には面白くないものだったと思思った。肝心の『曽根崎心中』では、後方の席がガラッと空いてしまい演者には気の毒だし失礼。満員御礼で観ることのできなかった観客もいるはずで、チケットが売れるなら誰にでも売ってしまうという劇場側の姿勢は問題だと思った。

『文楽の魅力』は、初心者にもわかりやすいようにと実演を交えての若手の解説。義大夫は「いかに観客にわかりやすく伝えるか」を重点におき、一人で語り分ける工夫を聴かせてみせた。ただし、それほど変化がないので実感がわかないのが難。時代物の泣き笑いなど演じてみせて欲しかった。

三味線は単なる伴奏ではなく、登場人物の状況や心理を描写していることを若い女と位の高い女性の場合を弾きわけて巧みに観客を納得させて上手い解説だった。

人形は構造や操作方法を実演を交えての解説。女の人形が目の前で生命を吹き込まれて動き出すのには感嘆する。普段のダラリとして人形を目にする機会がないだけに、強烈な印象を残した。最後に『曽根崎心中』の物語の解説があってお終い。劇場構造の解説などは一切排したものだったが次への舞台への期待が膨らんだ。それだけに外国人の小学生にも見せてあげなければ可哀相である。

さて天使が初めて文楽を観たのは昭和53年の12月の公演だった。その頃から文楽鑑賞教室と一般向けの公演だったのだが、人間国宝級の出演者はでなくて、中堅と若手に活躍の場が与えられる公演という位置ずけは今も変わらない。

徳兵衞に勘十郎、お初に和生という数年後には本興行でも通用するであろ魅力的な顔合わせ。大夫も『天満屋の段』を語った英大夫をはじめとして充実していた。特に英大夫は、文楽の大夫には珍しく男性的な魅力が横溢していて男の色気を感じさせる珍しいタイプである。とかくお爺さん?の枯れた味が珍重される文楽の世界では、落ち着きはあるものの現役らしい艶やかさがあるのがよい。お初や徳兵衞の肉感的なものを感じたのは初めてだったので新鮮に聴かせてもらい満足した。若者の疾走する感覚があったのが良かった。

『生玉社前の段』、『天神森の段』ともに若手、中堅の出演。興行的には人間国宝に人気が集中してしまうが、こうした世代の人々にも実力が備えられているのを再確認できたのは良かった。とかく人間国宝などの肩書きに惑わされてしまいがちだが、彼らの成長を長く見守るのも文楽を観る楽しみなのだと改めて感じた。天使の一番の注目は、やはり英大夫で目の離せない人である。


解説 文楽の魅力 11:00~11;30

休憩 15分

睦大夫
龍爾

蓑紫郎

近松門左衛門=作
曽根崎心中

    生玉社前の段 11:45~12:11

    三輪大夫
    團吾

    天満屋の段 12:14~12:49

    英大夫
    清介

    天神森の段 12:52~1:17
    つばさ大夫
    睦大夫ほか
    宗助ほか

徳兵衛 勘十郎
お初   和生

    

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。