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のだめカンタービレ 最終楽章 前編 [映画]2009-12-26 [映画 アーカイブス]

解説: 二ノ宮知子の同名ベストセラーコミックをテレビドラマ化し高視聴率を記録した「のだめカンタービレ」が前後編の映画版になって登場。天才的なピアノの腕と独特な感性を持つヒロイン、通称・のだめと、一流の指揮者を志すエリート青年・千秋の恋と音楽に懸ける青春が展開する。上野樹里、玉木宏をはじめ、テレビシリーズのキャストが続投。フランスをはじめとする計5か国で撮影が行われ、新キャストも登場するなど、映画版にふさわしくパワーアップした内容が見どころだ。

あらすじ: プラティニ国際音楽コンクールでの優勝後、千秋(玉木宏)はルー・マルレ・オーケストラの常任指揮者に。早速オケの偵察に行く千秋だったが、まったくやる気の感じられない団員たちの態度を目の当たりにし、がく然としてしまう。一方、のだめ(上野樹里)はコンセルヴァトワール(音楽学校)の進級試験を控え、練習に励む毎日を送っていたが……。

原作は全く読んでいないし、テレビドラマもアニメもチラッと見ただけなので、人間関係が今ひとつ飲み込めないまま映画を観ることに…。コアなファンには、きっと容認できない部分もあったかもしれないが、意外に楽しめて退屈しなかったのが何よりだった。冒頭にウィーンの楽友協会ホールが出てきて千秋が指揮している場面が出てきてビックリ。普通の演奏会で、あんなに舞台へ花が飾ってあるはずもなく、映画的な嘘なのだが、ニューイヤーコンサート並みとはいわなくとも華やかさがでていてよかった。

 のだめの練習風景ではパリなのにYAMAHAのピアノ、千秋がパリの演奏会という設定で弾くピアノはBechsteinというのも突っ込みどころなのだが、クライマックスはパリならぬブラチスラヴァのレデュタ劇場で撮影されたというから、ピアノがベヒシュタインであっても不思議はないわけである。

 しかもルー・マルレ・オーケストラは、チェコのブルノ・フィルハーモニックだとか。オペラファンには、来日オペラなのに、全国各地を巡演するのでお馴染みのチェコ国立?ブルノ歌劇場オペラの本拠地のある街のオーケストラである。実は天使は、10年ほど前にチェコを旅したことがあって、ブルノも通りかかった。ホテルで食事をしたら魚料理にカニカマが使ってあって驚いたのを思い出す。もちろん演奏会にもでかけ、より音楽が身近にある感じで、日本のどこか気取った雰囲気の演奏会とは大きく違っていた。

 クライマックスで一曲ごとにスタンディングオベーションなど、日本の感覚では大げさに感じるかもしれない。パリあたりの都会の観客が、あんな反応をするだろうかとも思う。しかし、ヨーロッパの田舎街では大いにありえる現象で、天使も合唱団として彼の地の舞台に立ったときに、演奏が終わるとスタンディングオベーションされたことがあって、その時の感激が懐かしく思い出されたりした。

 この映画の特筆すべきは、音楽の選曲のセンスがよいことで、音楽監修をしているN響の首席オーボエ奏者である茂木大輔の功績は大きいとみた。開演前の劇場には、ベートヴェンの交響曲第7番が流れているし、全編クラシックが流れているというもの日本映画では珍しい現象である。千秋の常任指揮者デビューの演奏会で最初に演奏されるチャイコフスキーの「序曲 1812年」がなかなかの名演で、実際に大砲も撃たれるというのも面白く、興味深く聴いた。それに比べると、バッハも悲愴もあっけないのが、いかにも映画的な処理で観客を退屈させない巧妙な仕掛けなのだと思った。

 使用された楽曲は以下の通りである。モーツァルトの『トルコ行進曲』は、人気ピアニストであるラン・ランが弾いたとか。映画らしい豪華版である。演奏もさることながら、イヤホンガイド?のように千秋の語りで音楽の説明というか解説が入るので、なんだか音楽が理解できたように思えるので、広く人気が出たのも納得である。

1.ベートーヴェン交響曲第7番
2.デュカス『魔法使いの弟子』
3.ラヴェル『ボレロ』
4.モーツァルト『トルコ行進曲』
5.ドヴォルザーク『チェロ協奏曲』
6.モーツァルト『オーボエ協奏曲』
7.サラサーテ『ツィゴイネル・ワイゼン』
8.チャイコフスキー『序曲1812年』
9.バッハ『ピアノ協奏曲第1番』
10.チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」
11.ベートーヴェン交響曲第5番「運命」
12.ガーシュウィン『ラプソディー・イン・ブルー』

 のだめも千秋も、実に特異なキャラクターだが、漫画が原作なので、いささかおふざけ気味なのも許せる。竹中直人のシュトレーゼマンだけは、テレビドラマの安直なキャラクターそのままで、とっても違和感があった。まあ、外国人役を無理矢理に日本人が演じているのだから仕方がない。テレビドラマを引き継いでいるわけであるし…。そうした中で、コンサートマスターを演じたマンフレット・ウダーツがなかなかの存在感で、素人らしいが好演していたように思う。


2009-12-26 00:37
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