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チャーリーとチョコレート工場 [映画]2005-09-16 [映画 アーカイブス]

 とってもエキセントリックなチョコレート工場の主をジョニー・ディップが演じ、監督がティム・バートンならば一筋縄な作品であるわけがないと思ったら、期待通りブラックなユーモアに満ちあふれた独特の世界観を持った映画に仕上がっておりました。有名な児童文学なのだそうですが、天使はまったく知りませんでした。それでも童話らしく残酷で、それでいて愛にあふれる物語だったことがとても気に入りました。

 こうしたものは、作品の出来を云々しても始まりませんね。楽しめる人は心底楽しめるだろうし、駄目な人は徹底的に駄目でしょう。「一杯のかけそば」ならぬ「一枚のチョコレート」を家族で分け合うなんて泣かせるじゃないですか。おじいさんのヘソクリで買ったチョコレートでは「当たり」が出なくて
拾ったお金で買ったチョコレートで大当たりとは…。人生って、そうした不思議な出来事に出会う機会にあふれているんですよね。それに気がつくかどうかはその人次第なんだと思います。

 天使が一番のお気に入りの場面はここでした。昔の出来事を思い出したからです。二十数年前のことでした。就職したばかりでまだ金もなく、それでもなけなしの金をはたいて劇場通いをしていた頃のことです。田舎の母から電話があって母方の祖母が亡くなったという知らせがありました。翌日が
告別式なのですが、こられるかどうか聞いてきました。偶然にも仕事は休みでした。これは帰るしかありません。ところが給料日直前で手持ちの現金が少なかったのです。告別式に間に合うには、始発の電車に乗って、新幹線に乗り換えて帰らなければなりません。おおよそ五千円ほどの金額です。手元にあるのは、ちょうど帰れるくらいの金額です。でも帰りはどうするか、親に金を借りるのも
癪だなどと生意気な事を考えていました。

 それでも告別式だけには出席しようと、早朝に四車線の道路を駅に向かって歩き出しました。どうしてそんなことを思ったのか不思議なのですが、どうせ車など通らないのだから道の真ん中を歩いてみようと思ったのです。歩行者天国でも必ず歩道を歩く天使としては不可解な行動でした。もう少しで駅に着く交差点のど真ん中でふと足下を見ると、五千円紙幣がむき出しで一枚だけ落ちていました。財布に入っているわけでもなく、どうしてそんなところに落ちていたのか謎でした。本来なら交番に届けるべきなのでしょうが、ありがたく頂戴することにしました。ネコババしたわけですが、亡くなった祖母から最後に貰ったおこづかいのような気がしました。おかげで祖母の野辺送りに間に合ったわけですが、後にも先にもお金を拾ったことはありません。

 逆に落としたことはあります。歌舞伎座と新橋演舞場のダブルヘッダーをするべく、当日券売り場でチケットを購入し、歌舞伎座裏を散歩していたときに、どうした弾みか財布を落としてしまいました。現金やカード、芝居のチケットすべてが入っていました。交番に届け、カード会社や銀行に電話
してものの、困ったことにテレホンカードと500円硬貨1枚しか持っていません。これでは家に帰ることもできません。幸いなことに会社の東京営業所が近くにあって、そこで帰りの電車賃を借りようとしたら、運悪く社員旅行の日で誰もおりません。さて困った、どうしようと思ったとき、つきあっていた彼の自宅に電車賃を借りにいくことにしました。電話をすると「貸してあげるからすぐに来るように」との
ことでした。しかも、彼の家までちょうど500円なのです。キップを買ってしまえば一文無しです。
彼の家に着くと、早速分厚い封筒を渡されました。電車賃には多すぎる金額です。もちろん固辞しましたが、どうしても持って行くようにとききません。と無理矢理手渡されました。

 後日、財布は無事に戻り、借りた金を返そうとしましたが、。「財布の底にこびりついた最後のお金だから、もう遣うこともないのだから」と電話で断られました。そうして三ヶ月後、病気療養中だった彼は帰らぬ人となりました。見舞いは無用と言い渡されていたので、ズッと会わずにいたのですが、もし財布を落とさなければ会う機会もないまま永遠の別れとなっていたことでしょう。不思議な事もあるものです。単なる「ラッキー!」あるいは「チェッ!」と考えるか…。そこに何らかの意味を見いだすかで人生に味がでてくるような気もするのです。

 映画を観ながらズッとそんなことを考えていました。映画にでてくるわがままな子供たちは、実は自分自身のような気がしました。彼をどれだけ困らせていたことか…。きっとこの映画を観る子供達も自分の身に置き換えてみることでしょう。親たちは、自分の子供をどう育てるべきか反省するのではないかな?そうした機会を与えるのもこの映画の指命なのだと思いました。また清らかな魂を持てるかどうかのリトマス試験紙のような効果もあるようにも思えました。だから天使はとっても満足なのです。

 映像や音楽など、見所、聴き所が満載でした。映画のパロディなどもあって、思わずニヤリの場面もいくつか。父性愛を刺激するようなエピソードもあって、最後のオチも楽しめました。予備知識ゼロで予告編さえ観ていなかったのですが、思わぬ拾い物をした感じです。


2005-09-16 00:13
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