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ウィーン少年合唱団 2008年 日本公演 Aプロ [演奏会]2008-06-08 [演奏会 アーカイブス]


2008年6月7日(土) 14:00開演 東京オペラシティ コンサートホール

グレゴリオ聖歌:キリエ“Rex Virginum”
(写本Wolfenbuttelより)
C.オルフ:「カルミナ・ブラーナ」より ”おお運命の女神よ”
T. L.ヴィットーリア:闇となりぬ  
H.パーセル:来たれ、汝ら芸術の子よ
F.メンデルスゾーン:我が魂よ、我が主をほめ讃えよ
F.シューベルト:詩篇 23
Z.コダーイ:アヴェ・マリア / 天使と羊飼い
A.I.イコチェア:グラシアス アディオス
モーツァルト:オペラ「魔笛」よりラルゲット“3人の童子”
G.ヴィルト:ミゼレ メイ
A.I.イコチェア:詩篇 61
* * * 休憩* * *
J.シュトラウスII:ポルカ「ハンガリー万歳」
R.シューマン:流浪の民
F.シューベルト:嵐にひるがえる旗
A.ピアソラ:天使の死
[世界の民謡]
アイルランド:ダニー・ボーイ
ウズベキスタン:王と物乞いSchoch va gado
ブルガリア:ディルマノ・ディルベロDilmano Dilbero
チリ:黒い瞳売りますYo vendo unos ojos negros t
ふるさと(作詞:岡野貞一 作曲:高野辰之)
千の風になって(作詞:不詳 作曲・日本語訳詞:新井満)
[オーストリア民謡]
あなたが谷を通り抜けるとき
ハスルー谷にて
雪が溶けて緑が萌え出て
森のハンス
J. シュトラウスII:「浮気心」
J. シュトラウスII:「酒・女・歌」より“喜びのワルツ”

アンコール
成田為三:浜辺の歌
スピリチュアルズ:彼は決して彼女を見捨てない

ウィーン・フォルクスオーパーが来日中に、ウィーン少年合唱団を聴くのも面白いかな?と軽い気持で5月もだいぶ遅くなってからチケットを予約。奇跡的に1枚だけ残っていたらしい。開演前の入口には、「チケット求む」の紙を掲げた女性もいた。相変わらずの人気らしい。10年ほど前に、天使の住む街にも数年前にやって来たが、いわゆる「追っ掛け」の方々が最前列に陣取っていて驚いたことがあるが、今回も会場内には熱心な聴衆が大勢いたようだ。その時のスポンサーは「千趣会」だったが、今回は「キヤノンマーケティングジャパン株式会社」で会場に入るとCANONのロゴが入ったフラッグが舞台奧の左右に掛かっている。ピアノが中央に演奏者が背中を向ける形で置かれていて。左右に山台。椅子や打楽器、チェロなどが目立たないように?置かれていた。ピアニストをかねる指揮者を中心に上手側に9名のアルト、下手側に17名?のソプラノが並ぶ。

 舞台下手から、グレゴリオ聖歌を歌いながら団員が登場。少し遅れて指揮者が登場。そのたびに盛大な拍手がおきる。う~ん、音楽を聴きにきたというよりも彼らの姿を観に来たということなのだろうか。せっかくの「天使の歌声」が台無し…とは気がつかない人が大半のようだった。曲の終わりで指揮者がピアノの前に座るとすぐに「カルミナ・ブラーナ」が始まる。一気に音楽の年代が飛ぶが、レパートリーの広さを誇るウィーン少年合唱団らしい構成である。

 ホールの音響がよいのか、想像以上の音量で驚く。かといって力んで無理矢理響かせている風でもなく、上手く融け合った声質が心地よい。またボーイソプラノの濁りのない響きや、ボーイ・アルトの独特な音色が興味深かった。音楽的に不安定な部分が露呈してしまう曲や、ソリストの力量にばらつき、日本語歌詞の発音の甘さなどもあるにはあるが、音楽的なレベルは高く、知名度や可愛らしさといったもににあぐらをかいている団体ではない。もっとも歌っている最中の行儀の悪さ?は相変わらずで、日本の合唱団には絶対有り得ないような落ち着きのなさもあるが、むしろ、こちらの方が自然だなあと思う。歌うのが好きで好きでたまらないといった感じだけは、よく伝わってきた。

 前半は主に宗教曲ではあるが、多彩な曲目が並び飽きさせない。ピアノ伴奏ありのものや、無伴奏がバランスよく配置されていて、ピアノを弾きながらの指揮者と団員のアイコンタクトなど面白く観た。途中で追加されたモーツァルト:オペラ「魔笛」よりラルゲット“3人の童子” は、実際にウィーン国立歌劇場の舞台に立っているのだろか?曲の最後ではピアノの下に潜り込むような演技もあって楽しめた。コダーイの曲や最近の作曲家のイコチュアの「詩篇第61篇」が興味深かった。特に後者はゴスペルのようなノリのある曲で、「ウィーン少年合唱団は、こういう曲もこなすのか!」とちょっとした驚きがあった。

 休憩をはさんで後半は民謡やシュトラウスの曲などで予想外に楽しめる内容になった。楽譜を持って登場したが、使ったのは「ふるさと」と「浜辺の歌」ぐらいで、「千の風になって」はなんと暗譜!入れ替わり立ち替わり団員がソリストになって歌う。打楽器やチェロの演奏やアコーディオンの伴奏も入る曲もあって多彩。さらにオーストリアの衣裳に着替えてダンスやら、団員のピアノを弾きぶりの曲もあって、かつてのオペレッタを上演していた頃とは違った趣向が満載で楽しめた。

 ブルガリアの「ディルマノ・ディルベロ」は、最後の部分の歌い方がかつての芸能山城組のブルガリアンボイスを思い出させたし、オーストリア民謡の「森のハンス」では、前拍を1階客席、後泊を2階以上の観客に指導があって、全然あったいなかったような気もしたが、観客も参加できて楽しかった。

 アンコールでは、聴きたいなあと思っていたBプロの黒人霊歌が歌われて満足。力強い迫力で歌われるスピリチュアルズもよいが、透明な響きで歌われるのには別の感動があって、よい締めくくりになっていたと思う。白いセーラ服の制服と美少年揃い?のJ事務所とは違った極普通の感じの少年が繰り出すプロ意識に満ちた舞台に大いに満足。来年もこの時期に来日らしい。それにしてもパンフレットを見ると、卒業するとオペラ歌手になる団員もいるらしくインタビューが掲載されていた、まさしく英才教育を施されたということなのだろう。そういえば知り合いのオペラ歌手も子供の時は教会の聖歌隊で歌っていたと聞いたのを思いだした。

 4月25日から始まって、まもなく終わる日本公演だが、今年はシューベルト組だったようである。それにしても公演日程では、昭和女子大学、聖徳大学、日本大学豊山女子高、共立女子学園と学内関係者だけに公開する公演が目立った。羨ましい学生達である。でも別格はスポンサーの主催するスペシャルナイトの特別公演!何をやったのだろうか。

2008-06-08 02:05
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