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ナタリー・デセイ オペラ・アリア・コンサート 2007年日本公演 [演奏会]2007-11-18 [演奏会 アーカイブス]

 日曜日の午後の公演なので全席満席の盛況だったようである。入場するにもプログラムを買うのにも行列を覚悟しなければならなかったくらい。初日の声の調子が今ひとつだったという噂なので心配していたが、ドキッとさせられるような瞬間はあったものの、まあ危なげなく歌われていったという印象。

 どうした訳か前半と後半の曲目が入れ替わってヴェルディ《シチリア島の夕べの祈り》からスタート。スパンコールがついた水色のドレスに大きなイヤリングをつけて登場。やはり本調子じゃないのか、あまり彼女らしさが感じられないので楽しめなかったし印象に残らないのが残念だった。それでも鳴りやまぬ拍手に応えて再登場すると、そのまま《椿姫》に突入。前奏曲は椅子に座って聴いている形。その間、前奏曲で流れるメロディに細かな反応をするという芝居(演奏の邪魔にならないようにただ座っているだけなのに…もの凄い演技力!)をみせて、それはそれは素晴らしかった。前奏曲からヴィオレッタのアリアに直ぐに繋がるのだが、前奏曲と続けて聴いてみると、なんだかそれだけで哀れなヴィオレタの人生が浮かび上がってくるようでこみ上げてくるものを押さえられなかった。だから幕間もなるべく知った人に会わないように隅っこへ…。ヴィオレッタでこんなに感動するなんて!涙、涙…。でもフランス語みたいなイタリア語だったような気もする。

 後半は《ランメルモールのルチア》から。衣裳も薄い紫色のものにお色直し。やはり圧巻は〈狂乱の場〉なのだが、グラスハーモニカと同じ音色を持つというヴェロフォンがフルートに変わって演奏された。馴染みがないせいかちょっと苦手な音色。ガラスを手でこすって音を出すのって生理的に大嫌い。お得意の曲であるはずなのに、思ったよりも興奮や感動がなくて完全に肩透かしを食らった気分だった。随所にデセイらしさはあったような気がするが、ヴィオレッタほどにはドラマを感じとれなかった。

 アンコールはムゼッタのワルツとマノンのガヴォット。初日は3曲だったらしいが無理はしないほうが演奏者にとっても、観客にとっても良かったのだと思う。それでも観客は興奮して立ち上がって手を振り回す若者とか、花束を捧げようとして係員に制止されてしまう青年とかが出現。終演後のサイン会にも長蛇の列でびっくり。初台の駅に向かう途中で見た巨大なクリスマスツリーのほうが、よほど印象深い演奏会になってしまったような気がするのだが…。

2007年 11月18日(日) 15:00 開演 東京オペラシティ コンサートホール

ヴェルディ:「シチリア島の夕べの祈り」より序曲
ヴェルディ:「シチリア島の夕べの祈り」よりシチリアーナ“友よ、ありがとう”
ヴェルディ:「椿姫」より前奏曲
ヴェルディ:「椿姫」よりヴィオレッタのアリア“不思議だわ…ああ、そは彼の人か…花から花へ”

休憩

ロッシーニ:「セミラーミデ」より序曲 (シンフォニア)
ドニゼッティ:「ランメルモールのルチア」より“あたりは沈黙に閉ざされ”
ドニゼッティ:「ロベルト=デヴェリュー」より序曲(シンフォニア)
ドニゼッティ:「ランメルモールのルチア」より 狂乱の場

アンコール

プッチーニ:「ラ・ボエーム」より “私が街を歩くと”
マスネ:「マノン」より “ガヴォット”


ナタリー・デセイ (ソプラノ)
サーシャ・レッケルト (グラス・ハーモニカ)
エヴェリーノ・ピド (指揮 )
東京フィルハーモニー交響楽団


2007-11-18 22:02
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