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インビクタス/負けざる者たち [映画]


解説: ジョン・カーリン原作のノンフィクション小説を、『グラン・トリノ』のクリント・イーストウッド監督が映画化した感動のドラマ。反アパルトヘイト運動に尽力し、南アフリカ共和国大統領となったネルソン・マンデラと、同国のラグビー代表チームのキャプテンとの人種を越えた友情を描く。主演は『ダークナイト』のモーガン・フリーマンと、『インフォーマント!』のマット・デイモン。新旧の名優たちが熱演する実話を基にした物語に胸が震える。

あらすじ: 1994年、マンデラ(モーガン・フリーマン)はついに南アフリカ共和国初の黒人大統領となる。いまだにアパルトヘイトによる人種差別や経済格差の残る国をまとめるため、彼はラグビーチームの再建を図る。1995年に自国で開催するラグビー・ワールド・カップに向け、マンデラとチームキャプテンのピナール(マット・デイモン)は、一致団結して前進する。

 エンドタイトルが始まると、実際の南アフリカのラグビーチームの写真が映る。勿論、ネルソン・マンデラ大統領も登場する。ラグビー、南アフリカ、アパルトヘイト、マンデラ大統領、すべてが天使からは一番遠くにあって縁のない世界の話である。1995年にラグビーのワールドカップが開催された事も知らなかったし、そこで南アフリカとニュージーランドとの間で決勝戦があり、南アフリカが優勝したことも知らなかった。たぶん、平均的な日本人の認識とはこんなものだろうと思う。しかも、その時のワールドカップで日本がオールブラックスに17-145で歴史的な大敗を喫したことも今回初めて知った。

 冒頭のシーンでは、金網に隔てられて白人がラグビー、黒人の子供達がサッカーをしている描写がある。ラグビーはアパルトヘイトの象徴で、黒人にとっては憎悪の対象でしかなかった。それをモーガン・フリーマン演じるマンデラ大統領とマット・デイモンが演じるラグビーチームのキャプテンであるピナールが変えていく。ラグビーを大統領は、全国民が熱狂するスポーツに変える。弱小ラグビーチームをキャプテンはワールドカップ優勝チームにする。大統領警備のスタッフは、黒人と白人スタッフが協力して困難な警備を成し遂げる。

 不可能を可能にする、持っている力以上の能力を引きださせる。どうしたらいいのか?クリント・イーストウッド監督は、マンデラ大統領が座右の銘?にしていた言葉に答えを求める。この映画はラグビー映画でもなく、アパルトヘイトの告発映画でもなく、マンデラ大統領の伝記映画でもない。すべての人々に次のようなメッセージを贈るための映画なのだと思った。

“神に感謝を捧げよう〈負けざる魂〉を授けてくれたことを”
“我が運命を決めるのは我なり”
“我が魂を征するのは我なり”

 マンデラ大統領の強いリーダーシップに比べ、わが国の為政者の小者ぶりは目を覆わんばかりである。ラグビーに限らず、サッカーも国を背負って立つなんていう志は皆無なのだから、ボロ負けして当然だったのだろうと思う。

 監督はさまざまなエピソードを丁寧に積み上げていくが、最も印象的だったのは、大統領が27年も収監されていた刑務所をラグビーチームが訪問する場面である。たぶん本物の刑務所でロケしたのだろうが、主人公ばかりではなく、胸に強く迫るものがあった。

 すべてに監督の温かいヒューマンな視点が散りばめられていて、心地よくも緊張感のある場面が続く。音楽の使い方は毎回上手い監督だが、アフリカのリズムと西洋音楽を上手く融け込ませて、作品のテーマに沿った選曲や編曲がなされていることに感心した。
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