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CATS 劇団四季 [ミュージカル]2007-04-22 [ミュージカル アーカイブス]

 新国立劇場の「西部の娘」を観ていたら、なんだか「CATS」のような旋律が流れてきたので確認の意味もあって衝動的に予約。確かにグロールタイガーとグルドルボーンの場面は、明らかにプッチーニのパクリである。土曜日のソワレ公演なのでチケットを取るのが大変かと思ったら、キャッツ・シアターの1階席はほぼ満席だったが、2階席は半分しか入っていなくてビックリ。常に満席というイメージがあったが、さすがに「CATS」の神通力も薄れてきてしまったのだろうか。それと劇場の脇に某宗教団体の建物が…。「ご自由にご覧下さい」と書かれていたが、ちょっと気軽に入るには勇気が必要な雰囲気である。もちろんキャッツ・シアターの方がずっと簡単で気楽に入れる。

 気がつけば初演の西新宿、南新宿、ブロードウエイ、品川、五反田と6000回を超える上演回数のうち、NYも含め今日でようやく10回目といったところだろうか。五反田では2回目である。初演の時は、12月1日のソワレ公演で回転席の最前列だったのを覚えているが、もうあれから25年以上の歳月が流れていて感慨深いものがある。ロングラン公演なので、思い立った時に観られるのは良いことである。当然のことながら、初演のキャストは残っていなくて、韓国系や中国系の俳優も多く国際的。みな遜色の無い日本語で歌っていたように思う。まあ猫のお話なので、猫語だと思えば多少の発音のたどたどしさも気にならないが。

 劇場は舞台を半円形に取り囲む特殊な形状。猫の目から見た大きさのゴミに取り囲まれているという不思議な劇空間。なんだか巨大テーマパークのアトラクションにでかけたようなワクワク感があって楽しめる。ゴミの中に人形焼きや雷おこしを発見して感激。

 俳優個々の力量を云々するほどには回数を観ていないので細かなことは書かないが、振りが揃っていなかったり、ダンス力に差がありすぎたりというのも見受けられるにせよ、あれだけ歌って踊ってという肉体を酷使するであろう作品を演じきったのには拍手を贈りたい。一番目を惹いたのはミストフェリーズを演じた杜 彦昊である。身体の切れといい、スピード感、アクロバティックな動きと歴代のミストフェリーズの役でも、加藤敬二初登場以来の衝撃?といってもいいくらいに堪能した。ただし歌には研究の余地がありそうである。逆にガッカリはキムスンラが演じたラム・タム・タガーである。歌にニュアンスはあるが、なんとも線が細くてタガーとしてがパンチに欠けるような気がした。セクシーさは限りなくゼロかも…。

 今回観て感心したのは、劇中に何度もあるが、劇場が静寂に包まれる瞬間である。一種の宗教的な儀式のような荘厳ささえ感じるとは思わなかった。このミュージカルに、こんな静かな場面があったのかと再認識。そして第1幕でグリザベラが歌うメロディを、第2幕の冒頭でオールドデュトロノミーにそくされるようにシラバブ?が同じ旋律を歌い、全員がそれに続く場面である。後半のクライマックスに歌われる「メモリー」の見事な伏線になっているとは今日初めて気がついた。遅すぎである。第2幕は見せ場が多いので忘れられがちになるが、どうやらここがこの作品のヘソのようである。その意味するところを深く考えないといけないと思う。

 もしかしたら涙ぐむかもと心配だった奥田久美子のグリザベラが大詰めで歌う名曲「メモリー」。それまで結構覚めた目で眺めていたのに…。♪メモリ~と第一声が聞こえた途端に涙が一筋。歌い進むにつれ号泣状態。もちろん声を出すわけにはいかないので、必死でこらえていたけれど、腹筋と肩が小刻みに揺れていたような…。その間も涙は止めどもなく滝のよう。舞台を観ることができなくなって 「天上への旅」まで顔が上げられなかった。慟哭というやつだろうか。ようやく「 猫にごあいさつ」でなんとか舞台に顔を向けることができたけれど、こんなに舞台を観て泣いたのは初めてだった。終わってから目の底が痛くなるほど大量の涙を流したようだった。何故か?などと書いたら長くなるので省略するが、「CATS」というミュージカルが長く愛されているのも理由がない訳ではないようである。

 劇場には小さなお子様から年配の方まで、老若男女さまざまだった。どの年代の人にとっても楽しめるように出来ているのが凄い。子供達は猫の可愛さやダンスのナマの迫力に目を奪われ、若い女性はラム・タム・タガーの「タガー締め?」などのカーテンコールの趣向までを存分に味わい、人生の半分以上を終えてしまった世代は、作品にこめられた深遠なテーマを掘り下げて考えるといったように作品の奥深さと幅広さが素晴らしい。

4月21日(土)17:30開演

グリザベラ  奥田久美子
ジェリーロラム=グリドルボーン  遠山さやか
ジェニエニドッツ  高島田 薫
ランペルティーザ  王 クン
ディミータ  団 こと葉
ボンバルリーナ  南 千繪
シラバブ  南 めぐみ
タントミール  高倉恵美
ジェミマ  熊本亜記
ヴィクトリア  宮内麻衣
カッサンドラ  永木 藍
オールドデュトロノミー  種井静夫
アスパラガス=グロールタイガー/バストファージョーンズ  村 俊英
マンカストラップ  青山祐士
ラム・タム・タガー  キムスンラ
ミストフェリーズ  杜 彦昊
マンゴジェリー  百々義則
スキンブルシャンクス  岸 佳宏
コリコパット  王 斌
ランパスキャット  張 沂
カーバケッティ  劉 志
ギルバート  谷本充弘
マキャヴィティ  赤瀬賢二
タンブルブルータス  塚下兼吾


2007-04-22 00:04 nice!(0) コメント(0) トラックバック(0)



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