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ラインの黄金 新国立劇場 2015年10月4日 [オペラ]







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新国立劇場の飯守芸術監督が満を持して挑むワーグナーの最高傑作『ニーベルングの指環』の序夜『ラインの黄金』の上演が始まっている。ただ就任時のハリー・クプファー新演出『パルジファル』に比べ、2000年に亡くなった演出家ゲッツ・フリードリッヒが1990年代後半にフィンランド国立歌劇場のために演出した『ニーベルングの指環』をレンタル?しての上演だという。

近年の四面舞台を備えた日本のオペラを上演する劇場では標準装備?の迫り機構を駆使しての舞台装置。前段、中段、後段に別れた大きな傾斜舞台を上下させること照明の変化によって場面を構成していくシンプルな舞台。音楽に集中できるという利点があり、物語も鮮明に浮かび上がるのだが、2015年の時点で上演されるべき舞台だったかどうかは大いに疑問な代物。

あのキース・ウォナー演出『東京リング』のいささか刺激的だった演出に比べると毒にも薬にもならない単調な舞台で大いに退屈した。それでも音楽が良ければ救いがあるのだが、ハープが6台もオーケストラピットに並んだのが話題になるほど大編成であり、同時期に上演された二期会の『ダナエの愛』も同じ東フィルが演奏しているとあっては、高水準な演奏を期待しても無理だったようである。指揮者の意図がどこまで再現されたかも疑問なゆるい演奏で集中力を切らさないで音楽に向き合うのは大変だった。

飯守泰次郎芸術監督が、フィンランドの使い古された時代遅れの演出を何故受け入れたのだろうか?全く新しい東京発の『ニーベルングの指環』を創造するべきではなかったろうか。もし経済的ことが優先され、芸術面に妥協したならば、何ら日本のオペラに益にならない。

歌手ではローゲのステファン・グールドが従来のこの役のイメージを打ち破る好演。アルベリヒのトーマス・ガゼリやミーメのアンドレアス・コンラッドがクセのある役を面白く演じてみせた。ヴォータンのユッカ・ラジライネンは声に迫力が乏しくて残念。エルダのクリスタ・マイヤーが存在感をみせたが、総じて他の役には不満が残った。

【楽劇「ニーベルングの指環」序夜『ラインの黄金』】
全1幕 
10月4日(日) 14時開演 16時45分終演


指揮:飯守泰次郎
演出:ゲッツ・フリードリヒ

出演:
ヴォータン:ユッカ・ラジライネン
ドンナー:黒田博
フロー:片寄純也
ローゲ:ステファン・グールド
ファーゾルト:妻屋秀和
ファフナー:クリスティアン・ヒュープナー
アルベリヒ:トーマス・ガゼリ
ミーメ:アンドレアス・コンラッド
フリッカ:シモーネ・シュレーダー
フライア:安藤赴美子
エルダ:クリスタ・マイヤー
ヴォークリンデ:増田のり子
ヴェルグンデ:池田香織
フロスヒルデ:清水華澄

管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団


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