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青山劇場 まもなく閉館 [エッセイ]

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建物の老朽化を理由に青山劇場と青山円形劇場が「こどもの城」とともに今月閉館となる。開場からわずか30年で劇場がなくなってしまうのも驚く。この劇場のこけら落とし公演は、劇団四季の「青い鳥」を改題した
ミュージカル『ドリーミング』だった。3ヶ月ロングラン上演がなされ、TBSででテレビ放送もされたと思う。

今でこそ4面舞台も珍しくないが、ここは、全床スライド方式の2面の主舞台を持ち、間口16m、奥行14.4mの大迫りに加え、同じ間口、奥行を持つスライディング・ステージが設置され、主舞台そのものを入れ換える文字通りの<舞台転換>が可能。さらに、大迫り全体の上には24基の小迫りが乗り、各々大迫り上3.35mの範囲で昇降でき、スライディング・ステージには廻り舞台が組み込まれていた。また、吊り物装置は、最高速度毎秒100cm まで可変速運転ができ、昇降距離・時間を設定して複数のバトンを同時に操作することが出来、これらの機能は全てコンピュータで制御されているとか。

舞台機構を駆使し、キャッツを上回るダンサーが出演するというのも大々的に宣伝された作品である。作曲もイルカや小椋佳が参加するなど、オリジナルの『青い鳥』にかなり手を入れた作品だった。その後も、大迫りと小迫りを昇降させ、多くの場面を巧みに構成した市村正親と保坂知寿の『ロミオとジュリエット』など、この劇場でなければ上演できない演出の作品を生み出していた。劇団四季が専用劇場を建設するまでは、日生劇場に加えて劇団四季の本拠地といった位置づけだったように思う。『エクウス』や『李香蘭』なども上演されているはずだ。

扇形の客席で天井が高く、幅が狭いため、1200席とはいえ、1階客席後方はかなり後ろになってしまって、必ずしも演劇を観るためには条件の恵まれたものでななかったように思う。劇団四季が離れてからは、バレエやミュージカル、劇団新感線など多彩な上演場所になっていた。初期には、当時の扇雀の近松座や前進座の公演など古典芸能の公演もあったように記憶する。

2015年は青山劇場、青山円形劇場、ゆうぽうとホールなどが閉館になるらしい。公演場所がなくなる団体は、さぞ困っていることだろう。


『ドリーミング』(1985年)
演出 浅利慶太
作詞 イルカ・岩谷時子・小椋佳・劇団四季文芸部
音楽監督 渋谷森久 
作曲 イルカ・小椋佳・渋谷森久・鈴木邦彦・内藤法美・三木たかし・宮川晶・宮川泰
編曲 宮川晶
振付 山田卓

『ドリーミング』
チルチル 畠山昌久・堀米聰
ミチル 野村玲子・青山弥生・和田麻里
光 志村幸美・鈴木京子
犬のチロー 市村正親・飯野おさみ
火 山口祐一郎
猫のチレット 保坂知寿・野村玲子・山田千春
ベリリューヌ/夜の女王 前田美波里・山田千春
母の愛 山下清美・五十嵐まゆみ


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