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岡本知高 Concerto del Sopranista 2014-2015 東京オペラシティコンサートホール [コンサート]

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劇場の天使の名前にふさわしく日曜日毎にに必ず教会の礼拝に出ている。朝起きた時と寝る前のお祈りは欠かさず、朝の30分ほどを聖書を読む時間にあてている。つい最近までギリギリの時間まで寝ていた怠惰な生活が嘘のようであり、また部屋全体がキチンと片付いているのも不思議と言えば不思議。

これまでクリスチャンなど遠い世界のお話だったのに、今では最も身近にある。直接のきっかけは同い年の兄嫁を癌でこの春の喪ったからである。それでなくても幸薄い人生だったのに、何故彼女だけがこんな目にあわなければならなかったのか。心の葛藤がさまざまあって教会の扉を叩いてみたというわけである。

彼女の死の3日前に高原剛一郎氏のお話を聴いたのも大きかった。
http://theater-angel2.blog.so-net.ne.jp/2014-03-11-1
宗教などなるべく避けたいほうだったのに、変われば変わるものである。

さて、そうした訳でなるべく日曜日には観劇の予定を入れないようにしているのだが、2014年9月6日は礼拝の終わった後で、「中村勘九郎・中村七之助 錦秋特別公演」を五反田のゆうぽうとホールに観に行くことにしていた。本当は朝の礼拝だけでなく午後8時からの夕拝にも出ているので、あまり予定をいれていないのだけれど東京では1日だけの公演とあっては見逃せないと思ったからである。

16時30分に開演だったので、夕方までゆっくり過そうと思っていたのだが、前日に聴きに行った「花岡千春 演奏会」の客席にいたピアニストの河原忠之さんの姿を見て思い出した。明日は東京オペラシティコンサートホールでソプラニスタの岡本知高のコンサートがあるはずだ。

礼拝が終わって駆けつければ何とか間に合う開演時間だし、2時間のコンサートとして16時に終わってタクシーに飛び乗れば、五反田のゆうぽうとホールに着けるかもしれない。そう思ったら聴きたくて聴きたくてたまらなくなり、無謀なダブルヘッダーを実行してしまった。

コンサートの方は当日券を買ってなんとか開演ギリギリに入場できたが、コンサートの終演が16時15分だったので、さすがに日曜日で道が空いていたのだが、五反田のゆうぽうとホールの自分の席に滑り込めたのが、16時35分で最初の演目『都風流』は3分の1を見逃してしまうこととなった。


さて東京オペラシティコンサートホールの収容人数は1632席で1階席だけで974席だとか。今回は2階席と3階席は立ち入りができないようになっていて、1階席のみ6,000円の均一料金である。デビューして10年余、東京での動員も減っているのか、その1階席でさえ8割程度の入りだったのが残念。均一料金ではなく、座席のカテゴリーを増やして安い価格のチケットも用意すれば中学生や高校生などの学生も足を運びやすくなるのではないだろうか、少なくとも学割は欲しいところである。スクールコンサートをライフワークとしているなら、必ずしも収益的にはプラスにならないかもしれないが、そうした取り組みがあってもいいはずだ。大人というか熟年の観客が大半で、若い観客が目立たなかったのが残念だった。

前半はネプチューンと名付けられたブルーの衣裳に首から肩にかけて首枷?のような飾りのついたもので照明に当たって首の周囲がキラキラ光るというもの。クラシック曲、オペラ・アリア、歌謡曲?そして今年出演したミュージカルの中から2曲と派手さはなく、絶妙の弱音を駆使した見事な歌唱。本当はクラシック界のマツコデラックスのように色物的な要素で売り出せば、芸能界的には美味しいポジションを手にするだろうけれど、それをしないのは賢明だと思った。

巨体とコンサートホールを揺るがすような高音、そして精緻を極める最弱音の美しさ、そして何より聴き手の心を震えさせる歌心は健在で、反戦を訴えた名曲『一本の鉛筆』は大きな感動をよんだ。その歌声を聴いて、かつて行ったジェシー・ノーマンのコンサートを思い出した。岡本知高以上の巨体で歌われた特に黒人霊歌を聴いた時の感動を思い出したのである。魂からの歌を岡本知高も確かに持っている。いつか黒人霊歌を歌ってくれないだろうか。リクエストはこれ。
'He's Got The Whole World In His Hand'


こちらの衣裳がネプチューンに似ていたからよけいにそう思ったのかも。


さて後半はピアニストの河原忠之さんが一人で出てきて両手を差し出すと両側から専大松戸高校・中学校の合唱団の学生が登場。そして「ふるさと」を歌い途中から岡本知高が加わり、合唱団員の男子と女子がそれぞれ短いながらもソロを歌うというサプライズな演出もあって大いに楽しめた。しかも学校まで岡本自身が出かけていって合唱団員とのディスカッションをしてお互いの理解を深めた上での演奏ということ手間暇のかかった演奏だったろうが、それだけの成果はあったように思う。

その後は、日本の楽曲が2曲続くのだが、その間に河原忠之さんの発声練習。音階を上げていってHi-Cまで出した観客が数名いてびっくり。例によってアンコールのMONGOL800の「あなたに」を練習?
そしてプッチーニのアリアを2曲。「トスカ」は元々女声のアリアだし、「誰も寝てはならぬ」を女性歌手が歌えば違和感があるのだが、男性である岡本知高が歌えば、それはそれで意味のある趣向だと思った。

後半の衣裳は赤をベースにした新作で名前はTwitterで公募するらしい。赤のイメージが歌劇「アイーダ」みたいだったので、「アイーダ」とか「アムネリス」なんかがよいと思ったがどうだろう。

アンコールは白っぽい衣裳にお色直しして、2曲。もちろん最後は「あなたに」なのだけれど、観客全員が立ち上がって歌ったので、スタンディングオベーションみたいな形になってしまった。なんとなく舞台から強制?された風もないではなかったが、彼の表現力と歌心に共感できたので気にならなかった。さすがに歌は粗いところもあるので、本格的にクラシックの演奏を求めるような聴衆には認められないかもしれないが、彼自身の持つ音楽の趣向、あるいは音楽人生に共感できる人ならば息の長い活動ができるのではないだろうか。


そうした岡本知高の音楽世界を支えたピアニストの河原忠之の功績も忘れてはならないだろう。本領はオペラなのだろうが、気持良さそうにミュージカル等にも適応していく姿勢と、彼の容姿に大いに癒される。実は天使の友人に良く似ていて(それを言うと彼は怒るのだが)、あやうく昨日も声をかけそうになったくらいである。

岡本知高 Concerto del Sopranista 2014-2015
2014年9月7日(日) 14:00開演 (16時終演予定 休憩15分)
東京オペラシティ コンサートホール

【出演】
岡本知高(ソプラニスタ)、河原忠之(ピアノ)、音楽案内人
専大松戸高校・中学校合唱部

プログラム

Cantico
A.ボッチェリ/P.グエッリーニ&M.マラヴァージ/編曲:飯田俊明

ある晴れた日に
歌劇「蝶々夫人」より G.プッチーニ

懐かしの抒情歌メドレー

一本の鉛筆
松山善三/佐藤勝/編曲:岡島礼

Nu
SHOW-ism7『ピトレスク』より
D.ポンテス/編曲:前嶋康明

Pittoresque
SHOW-ism7『ピトレスク』より
小林香/中川晃教/編曲:前嶋康明

休憩

ふるさと
小山薫堂/youth case/編曲:榎本潤

永遠の海
湯川れい子/飯田俊明/編曲:飯田俊明

誕生
中島みゆき/編曲:米田直之

歌に生き、恋に生き
歌劇『トスカ』より G.プッチーニ

誰も寝てはならぬ
歌劇『トゥーランドット』より G.プッチーニ

アンコール

アヴェ・マリア
カッチーニだったかな?

あなたに
MONGOL800




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