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Mama I Want to Sing THE NEXT GENERATION [ミュージカル]





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1983年NYのハーレムで誕生し全世界で2500公演を果たしたオフ・ブロードウェイ作品が初演から30年を見念して「Mama I Want to Sing THE NEXT GENERATION」として来日を果たした。映像を見ればわかるがオリジナルはオフ・ブロードウェイらしく劇場も小さく、登場人物が舞台いっぱいに並んで歌うというライブ感覚を重要視する作品のようである。

東急シアターオーブという2000人近い収容人数を誇る劇場での上演ゆえ、照明を仕込んだ布製の柱を4本立てててはいるものの空間が埋めきれていないと感じる瞬間があった。大阪公演後に行われる六本木のアミューズ・ミュージカル・シアターでの公演の方が親近感があってよいのかもしれない。

客席に入ると舞台下にはオーケストラピットではなく、客席と同じ高さで上手からキーボード奏者が2名、ベースが1名、ドラムスが1名というバンドが舞台を向いて並ぶという形式。なんと驚いたことに楽譜はタブレット端末なので、上層部の客席からは光りが気になって仕方なかった。もっとも第2幕からは楽譜の位置を動かして客席から見えないように工夫はしていたようだったが。

それ以上に怒り心頭だったのが、天使の二つ前の席の中年カップル。なんと二人そろって上演中にもかかわらずスマホを取り出して、メールやらなにやらやりだした。暗転になっても二人の顔が闇に浮かぶという信じられない光景が続いた。たぶんテレビを観ながらスマホをいじっている感覚なのだろうけれど言語道断。周囲の観客が迷惑なばかりでなく、出演者に対しても大変無礼な行為である。上演中にさすがに注意もできないので、幕間に係員に注意してもらったが、第1幕は心が動揺してしまって全く楽しめなかった。

もっともスマホ・カップルだけを責められないで、実は第1幕の出来はあまり芳しくなかったのである。物語は主人公であるドリス・ウィンターのモデルとなったドリス・トロイの実の妹にして、作品の産みの親であるヴァイ・ヒギンセンがFMラジオのDJをつとめながら、ドリスの半生を歌で綴っていくという構成。ただし、ドリス・トロイを知っている観客は少ないはずで、興味のない観客はスマホをいじりたくなってしまっても仕方ないのかも。素人でもわかるほど、字幕が遅れ気味だったり、明らかな誤字があったりするものだから乗れなかったのかもしれない。

主人公の少女時代に教会の牧師である父親や母親の影響で歌うことになる主人公。さらに父親を亡くすという人生初の試練に出会い、それを乗越えていく姿など感度できるポイントはいくつかあったものの、神を讃えるゴスペルに馴染みや興味がないと正直辛かったかもしれない。確かにパワフルな歌声ではあるけれども、全員がマイクをつけてPAでの歌声を拡散しているので、ナマ歌の良さというものが、今ひとつ伝わってこないもどかしさがあった。きっと小さな劇場であれば迫力満点だったのだろうけれど、出演者もドリス・トロイの姪にあたるノエル・ヒギンズなど小粒であまり感心しなかった。

第2幕になって、歌手になる夢を実現させるべく、母親と別れていく場面でのお互いに神を賛美しつつ、すれ違いを見せる歌は感動的だった。二人の歌を聴いていて、ヨーロッパで生まれた賛美歌と違った楽曲であっても、ゴスペルはまさしく神様がお造りになった神を賛美する音楽なのだとわかった。キリスト教徒である必要はないけれど、そうした神への賛美といったところが理解できるとより楽しめる舞台なのかもしれない。

第2幕の最後にはカーテンコール?としてゴスペルを観客と一緒に歌おうという試みがあった。さすがに手拍子ぐらいはできても何も手がかりがなければ一緒に歌えない。それでも、仕込みなのかなんなのか、観客を大勢舞台に上げて一緒に歌わせるというパフォーマンス。しかもほとんどの人が歌えてしまう不思議。ゴスペルを習っているひとなのだろう。よほど自信がなければ上がれないはずだから。

DJ役の創始者であるヴァイ・ヒギンズが記念の公演を日本で開けたことを主催者に御礼を述べたり、客席にいた初来日に尽力した湯川れい子さんを紹介する言葉などもあった。それでも日本のカンパニーのようにダラダラとカーテンコールをやらないですぐに終わったのは良かった。バンドのラストの演奏が終わってお開きなのだが、CDの購入者にサイン会を終演後に行うということで、ごったがえすロビーに出演者が次々に現れたのには驚いた。

第1幕 19:00~20:10

休憩 20分

第2幕 21:30~21:20

演出:ケン・ワイドロ
作:ヴァイ・ヒギンセン、ケン・ワイドロ

ナレーター/DJ:ヴァイ・ヒギンセン
ランドルフ・ウィンター牧師:タイロン・フラワーズ
ウィンター夫人:フェリシア・ファーレイ
シスター・キャリー:サンドラ・ハフ
ディレクター/聖歌隊指揮者:アーマド・ルイス
ドリス・ウィンター:ノエル・ヒギンソン

第1幕/シーン1

楽曲
「Jesus,Keep Me Near The Cross」(主よ、十字架のかげに)
「On Christ」(主のもとに)
「Traveling’Shoes」(靴を履いて旅に出よう)

第1幕/シーン2
「You Are My Child」(お前はわが子)

第1幕/シーン3
「We come This Far By Faith」(私たちは信じてここまできた)
「Faith Can Move A Mountain」(信仰は山をも動かす)
「I Feel Like Going On」(私は進んでいきたい)

第1幕/シーン4
「My Faith Looks Up To Thee」(まごころをもて仰ぎまつらん)
「I Don't Worry About tomorrow」(明日のことを思い煩わない)

第1幕/シーン5・6
「God will Be What You Want Him To Be」(神はあなたが思うものになる)
「He’ll Be Your Strength」(神はあなたの力である)

第1幕/シーン7
「Gifted is」

第1幕/シ-ン8
「Star Sequence」(星の並び)
「This Bitter Earth」(この苦しみの世の中)
「Stormy Weather」(荒れ模様)
「In My Solitude」(孤独の中で)
「God Bless The Chiled」(神よ、恵みを)

第1幕/シーン9
「Mama、I Want to Sing」(ママ、私は歌いたいの)

第2幕/シーン1
「So God, So Right」
「You Are My Child」(お前はわが子)

第2幕/シーン2
「What Do You Win  When You Win?」(勝利した時、何を手に入れるか)

第2幕/シーン3・4
「Precious Lord」(慕いまつる主なるイエスよ)
「Eye On The Sparrow」(一羽の雀)
「Know When to Leave The Party」(パーティーを去る時)

第2幕/シーン5
「Just One Look」(一目ぼれの恋)

第2幕/シーン6
ファイナルメドレー
「Old Landmark」(古い地境)
「You Are My Child」(お前はわが子)
「Gifted it」(天分があるとは)
「Mama、I Want to Sing」(ママ、私は歌いたいの)
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