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カム・フライ・アウェイ  ブロードウェイ・ミュージカル Bunkamura オーチャードホール [ミュージカル]



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天使がトワイラ・サープの振付作品と出会ったのは、彼女のカンパニーがパリ・オペラ座のエトワールだったイザベル・ゲランを連れて来日公演を新宿の東京厚生年金会館で行なった時なので、かなり前のことになる。たぶんゲランの踊る「グラン・パ」などを観たはずだが、超絶技巧を次々に繰り出すダンサー達に圧倒された記憶がある。

その後は、パトリック・デュポンとイザベル・ゲランが世界バレエフェスティバルで踊った同じく「グラン・パ」やパリ・オペラ座の来日公演だったか代表作の「プッシュ・カムズ・トゥ・ショヴ」などを観ている。最近では来日公演でビリー・ジョエルの楽曲に振付られた「ムーヴィン・アウト」が記憶に新しい。またバレエファンならば、彼女がフランク・シナトラの楽曲に振付をした「9シナトラ・ソングス」や「シナトラ組曲」をABTなど海外のバレエ団の来日公演などで観た人も多いはずである。

今回はブロードウェイミュージカルとして、よりショーアップされ、歌声はシナトラの音源を用いつつも、舞台上のビッグ・バンドの生演奏に合わせての公演という異色の作品となった。今秋には、映画『ウエストサイド物語』の音源と台詞に合せ、佐渡裕の指揮するフルオーケストラが演奏するというイベントがあるらしいので、デジタル時代の技術としては、それほど難しいことではないのかもしれない。

客席に入るとオーチャードホールのプロセニアムアーチは極限まで黒い壁で狭められ、舞台の左右にはスピーカータワー、舞台上の天井中央にはPA用のスピーカーが吊るされていた。舞台の大きさは幅がブロードウェイの劇場サイズにまで縮小されていたのは、東急シアターオーブの「ウエスト・サイド・ストリー」と同じ。最小限の装飾がされた枠があって、シナトラのサインが浮かび上がる緞帳が下がっていて、舞台裏からはバンドのチューニングの音が流れてきた。

上演時間は1時間半ほどの舞台だが、主な登場人物である4組8名の男女とアンサンブル6名の計14名が踊り継いでいくという展開。それも並みの振付の作品ではなくで、トワイラ・サープらしい超絶技巧が次々に繰り出されるという超難易度の高いもの。回転、リフト、跳躍、さらに女性ダンサーを放り投げて受け止めるなど驚くべき技の数々が盛り込まれた作品となっていた。有名なバレエ団の出身者も多いダンサーたちは、難易度の高い技も笑顔で次々に成功させていくので、難易度の高い技も普通の技巧にみえてしまうほどだった。

舞台は舞台奥の一段高くなった場所にバンドが並び、その下の部分には電飾が仕込まれていて、NYあたりのナイトクラブといった設定だろうか。上手にはバーカウンター、下手には店に入ってくるという設定の階段があるだけのシンプルな装置。そのナイトクラブに集う4組の男女の恋愛模様をシナトラの歌声に合わせてダンスだけで表現するという趣向。

アイディアは悪くないのだが、極限の振付を踊れることを最低条件にして選んだためか、あるいはプリンシパル達に華がないからなのか、舞台を漫然と見ているだけでは人間関係がなかなか飲み込めない。衣装の違いだけが手掛かりなのだが、凝った振付、超絶技巧を盛り込んだことを強調するあまりに、登場人物の心の動きまではなかな読み取れなかったし、伝わってくるものは少なかったように思う。特に後半は少々退屈してしまった。

一番の原因は、時々ソロまで披露する舞台上のバンドが生演奏なのに対して、仕方がないこととはいえフランク・シナトラの声が録音であったこと。生と録音の声がこれほど溶け込まず分離してしまっていては楽しみのはずの音楽が苦痛にもなった。今月は同じようなバンド編成の北島三郎の公演にもでかけ、さぶちゃんの歌声に感動したばかりだったので、よけいにそう感じたのかもしれない。もっとも北島三郎も最後の方は生歌ではなかったかもしれないのだが…。

それに1時間半も手を変え品を変えダンスが続くと、さすがに種切れになるのか、トワイラ・サープらしい振付もいささか食傷気味になってしまって楽しめなかった。どうしてこんなにあれもこれも盛り込まなければ気が済まないのだろう。余白といったものも絶対に観客の生理として必要なはずだが、唯一箸休めというかダンサー達の着替えや休憩時間となるバンドのみの演奏が一番楽しめたのは皮肉である。

最後はドレスアップしたダンサーが『マイ・ウェイ』を全員が踊って幕となり、『ニューヨーク・ニューヨーク』デ」カーテンコール。さらにソロを含んだバンド演奏があり、再び『マイ・ウェイ』が繰り返され、さらに、『ニューヨーク・ニューヨーク』の演奏があってという演出。まあ、観客の気持ちはわかるけれどビックバンドのジャズ演奏に合わせての手拍子はかなり難しい。お隣の御婦人の手拍子のリズムの悪さに驚く。よく聞くと客席の手拍子はかなりバラバラでハラハラさせられた。

Friday evening,2012 July 27

CAST
Betsy RAMONA KELLY
Marty JEREMY COX
Sid STEPHEN HANNA
Kate MARCEEA MORENO
Slim IOANA ALFONSO
Hank JUSTIN URSO
Chanos MATTHEW STOCKWELL DIBBLE
Babe CANDY OLSEN

THE ENSEMBLE
Jeffrey B.Hover,Jr.,Carolyn Judson,Marina Lazzaretto,
Nathan Maddenm,Mindy Wallaace,Michael Williams

THE BAND

Conductor/Piano:Chris Sargent
Reeds:Dong Lawrence,P.J.Perry,Julian Tanaka,Adam Schroeder
Trumpets:Mike Herriott,Jim Keen,Sam Oatts
Trombones:Michael Joyce, James Nelson,Mark williams
Bass:Clifton Kellenm
Guitar:Buddy Fambro
Drums:Paul Ringenbach

MUSICAL NUMBERS

“Stardust” ……… Marry & Besty
“Luck be a Lady” ……… Company
“Let’s Fall in Love” ………Marty & Besty
“Fly Me to the Moon” ………Hank,Katy & Ensemble Men
“I’ve Got a Crush on You” ………Sid & Babe
“Body and Soul” ………Sid,Babe,Chanon & Ensemble
“Here’s to the Losers” ……… Company
“You Make Me Feel So Young” ………Marty , Besty & Sid
“Witchcraft” ………Sid, Babe & Ensemble Men
“Yes Sir, That’s My Baby” ……… Chanon,Slime & Ensemble
“Learnin’ the Blues” ………Kate,Hank,Slim & Ensemble Women
“That’s Life” ………Hank & Katy
“Makin’ Whoopee” ………Slim,Kate,Marry,Betsy & Ensemble
“I Like to Lead When I Dance”………Sid & Babe
“Jumpin’ at the Woodside” ………The Band
“Saturday Night is the Loneliest Night of the Week” ……… Company
“I’m Gonna Live ‘Til I Die” ……… Company
“Pick Yourself Up” ………Marty & Besty
“Let’s Face the Music and Dance” ………Hank,Katy,Slim & Ensemble
“Teach Me Tonight” ………Sid & Babe
“Take Five” ………Sid,Babe,Marty,Besty & Ensemble
“Lean Baby” ………Slim & Ensemble
“Makin Whoopee” (reprise) ………Slim,Chanos,Kate & Ensemble
“One for My Baby” ………Hank & Katy
“The Way You Look Tonight/My Funny Valentine” ………Marty & Besty
“My Way” ……… Company
“New York, New York” ……… Company

“Come Fly With Me”………The Band
“Jumpin' at the Woodside” (reprise) ………The Band
“My Way” (reprise) ……… Company
“New York, New York” (reprise) ………The Band






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