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発表! メトロポリタン・オペラ 出演者変更に関する経過・経緯のご説明 [オペラ]

どこかの国の原発事故ではないので真相は包み隠さずに発表した方がいいと思うのだけれど、各演目の東京初日が開いたところで、経過と経緯が発表になりました。ミミ役がみつからなくて大変だったこと、急な代役を引き受けたフリットリの困惑ぶりなど、たぶん嘘も隠しもない真実なのでしょう。

とにかく来日公演が実現したことに大いに感謝しています。



お客様各位

≪出演者変更に関する経過・経緯のご説明≫




 謹啓
  メトロポリタン・オペラ日本公演は、東日本大震災による原発事故から波及した影響で、当初は公演実施も憂慮されましたが、現在では無事に来日を果たし、6月4日に名古屋で初日を迎え、そして6月8日には東京でも開幕いたしました。
劇場では連日、素晴らしい公演が繰り広げられております。

 この度は日本公演に至るまでに、健康問題及び、原発問題を理由に来日を断念した出演者が出ましたことにより、皆さまには当初発表の出演者による公演をお届けできなくなりましたことは、私どもと致しましても誠に遺憾でした。そのような状況の中での公演実施に関しまして、お客様から様々なご意見や励ましのお言葉を頂戴いたしました。改めて御礼を申し上げますとともに、皆さまの一つ一つのご意見、お言葉を謹んで受け止めております。

 出演者の来日中止が直前になりまして決定したこともあり、皆さまには情報が十分に行き届きませんでしたことを心よりお詫び申し上げます。来日できなくなりました出演者や、それに伴うキャスト変更について、経過・経緯をここに改めてご報告いたします。

ジェイムズ・レヴァイン  5月7日(火)12:13 弊社WEBサイト他で発表いたしました。
 弊社代表が5月1日(日)ニューヨークのメトロポリタン・オペラで行われた、マエストロ・レヴァイン40周年記念ガラ公演に出席しました。(日本時間5月2日朝7時~13時ぐらいまで)
その席で、レヴァイン本人からも、日本行きを大変楽しみにしているとの言葉がありました。 
 しかし、5月5日(木)の「ワルキューレ」公演を体調不良から降板しました。日本時間の5月6日深夜(7日午前1:30過ぎ)、Metより3人の医者がレヴァインにドクター・ストップをかけたため、来日不可能になったとの連絡がありました。今回の日本公演中、6月5日の名古屋公演は、まさしくレヴァインがMetデビューを飾った日にあたりますので、40周年を日本で迎えるこの機会に日本のファンに姿を見せてもらえないかの話をしましたが、残念ながら長い旅行ができるような状態ではないとのことでした。弊社では、代役ファビオ・ルイジの確認をMetに行い、7日12時過ぎに、発表いたしました。

オルガ・ボロディナ、ヨナス・カウフマン -5月13日(金)17時に弊社WEBサイト他で発表しました。
 5月13日(金)深夜1時半過ぎに、Metより弊社へ2名のキャンセルの一報がありました。
ボロディナは、喉の不調により、フランスのトゥールーズでの5月13日(現地時間)及び、15日(日)のコンサート及び、パリでの17日(火)のコンサートを降板せざるを得なくなり、その時点で医者から、今後2カ月の休養を言い渡されたとのことで、6月4日~19日に渡るMet日本公演にも参加不可能となったことが伝えられました。 ちなみに彼女の夫であるアブドラザコフは本メト公演に「ランメルモールのルチア」のライモンド役でキャスティングされており、彼は予定通り来日しています。

 カウフマンについては、5月14日まで、ニューヨークのメトロポリタン・オペラにおいて、新作の「ワルキューレ」に出演のため、同歌劇場で仕事中でした。4月22日の「ワルキューレ」初日後に日本のジャーナリストのインタビューに答えて、日本に来ることを表明していました。(5月18日発売の「音楽の友」に掲載されています) 一方で地震・原発への懸念を口にし始めていたのでMetは説得を試みましたが、翻意できなかった為、至急代役を含めた確認を弊社に求めてきました。
5月13日同日朝7時半にNYタイムズのWEB版に、2名のキャンセルについての記事が出ました。
 弊社では、Metが提案した代役(グバノヴァ、リー)の最終確認及び、プロフィール翻訳等の準備など、お客様からのお問い合わせにきちんと答えられる準備を大至急整えた上で、同日午後17時に2名のキャンセル及び代役の名前を発表いたしました。

アンナ・ネトレプコ来日公演中止とバルバラ・フリットリの配役変更について
5月31日(火) ピーター・ゲルブ総裁 緊急記者会見で発表
 4月14日、弊社代表がウィーン国立歌劇場にてネトレプコに面会、「必ず行きます」と言う言葉がありました。
4月末、ネトレプコより夫のアーウィン・シュロットを、ゲストとしてツアーに同行したいとMetに申し出があったと連絡がありました。5月19日の時点でも、ゲルブ総裁がネトレプコのマネージャーと、すでに日本側で申請手続きを終えているVISAの受け取り方法について打合せを行い、まもなく受け取るので、まったく心配ないとの言葉を得ました。その後も、Metは、ネトレプコ及びマネージャーとは密な連絡を絶やさないようにしており、実際、航空券の手配(ウィーンから5月29日出発、30日名古屋着ということが決まっていました)など実務連絡が毎日のように行われていました。

 5月25日(水)朝10時にゲルブ氏から、ネトレプコが突然ツアーへの参加キャンセルを申し入れてきたと弊社に電話がありました。ゲルブ総裁がネトレプコと1時間以上に渡って電話で話をしましたが、チェルノブイリの影響で母親を始め、親族にもガンになった人が多いということを挙げて、自分はどうしてもその事を原因とする動揺と不安から、日本でベストのパフォーマンスを見せることができないので、ツアーには同行できないと語ったとのことです。 ゲルブ氏は、科学的情報を持っての説得はもちろん、このような最後の段階になってのキャンセルは、周りにも大変迷惑をかけるということも諭したようですが、彼女の意思は固いものでした。

 翌26日(木)以降、Met側は説得を続けながらも、平行して代役探しを行いました。代役探しも大変難航しました。「ラ・ボエーム」のミミ役を、Met日本公演にふさわしいクオリティで務められるソプラノは、世界でもそれほど沢山はいません。そのような候補者10名以上にあたりましたが、スケジュールの問題及び、一部の歌手は原発への懸念を表明し、どの候補も参加不可能でした。
 そこで窮余の策として、フリットリを「ラ・ボエーム」ミミ役に配役変更し、ポプラフスカヤを新たに「ドン・カルロ」のエリザベッタ役として配する案がMetから提案されました。弊社は、この案は、お客様にとってはベストな解決策ではないと判断し、一旦は反対しましたが、その後引き続きミミ役を探していく経過の中で、「ラ・ボエーム」「ドン・カルロ」両演目共に、Met日本公演の名前に相応しい高いレベルを保った上演を行うためには、やはりMetの提案策しか解決方法がないという、苦渋の結論に至りました。
 
 Metは、5月27日(金)に来日したバルバラ・フリットリに、空港からホテルに向かう車中で、Met総裁より上記解決策への協力を要請。フリットリも困惑を隠せない様子でしたが、28日(土)にツアー全体を救うために自分が協力できることならと了承してくれました。日本にいる自分のファンをがっかりさせることになったら大変申し訳ないと心配しながら、きっと分かってもらえることを信じての勇敢な決断でした。
 フリットリに関して、前もってこのような配役換えがあったということはまったくありません。彼女はミミ役を歌うことを了承してくれてか、Metが輸送した「ラ・ボエーム」の楽譜を借り出し、最近歌ったばかりだったのでよかったと言いながら稽古に励んでくれました。
 一方で、引き続き説得を試みたネトレプコの翻意が絶対にあり得ないと確認され、5月28日(土)にフリットリの代役確定の結論にいたったため、弊社は同日にメディアに通達し、5月31日(火)に緊急記者会見を行いました。 

 またオペラの引越し公演の場合、弊社はポリシーとして、すべてを劇場と契約し、アーティストの個別の契約は行いません。そうすることで、劇場が主導権を持って芸術的レベルと予算を適切に保つことができるからです。そのため、アーティストにやむを得ぬ事態が起きた場合には、まず劇場が個々のアーティストと連絡を取り合って対処をします。また、代役の決定についても劇場の決定が優先されます。
 弊社が主催する「日本公演」ではありますが、オペラハウスとして芸術の質に責任を持つのは劇場だからです。ただし、日本公演の場合、前もって予定され、発表されたソリストの参加は最重要事項の一つであることを契約内でもお互いに確認しあっており、代役選定が必要になった場合には、劇場と弊社が必ず話し合いを行うことと定められております。
 また、カバー歌手ではなくなぜバルバラ・フリットリを「ドン・カルロ」から「ラ・ボエーム」に振り替えたのかという質問もいただきました。カバー歌手は、あくまでも、公演の最中にアクシデントが起きたというような緊急時のために控えているという位置づけです。ソリストがやむを得ぬ事情により公演をキャンセルせざるを得ない場合、劇場は時間が許す限り、同等レヴェルのソリストを探すのが通常です。それは公演全体の質を保つという、オペラには非常に大切な観点からの事です。


ジョセフ・カレーヤ: 5月31日(火) ピーター・ゲルブ総裁 緊急記者会見で発表
 5月28日(土)、Metより弊社宛てに、カレーヤが飛行機に乗る前日になって、放射能への懸念から日本へ向けて出発することが、どうしてもできないと連絡がありました。彼の渡航手配は、5月29日(日)マルタ発-ミュンヘン経由-名古屋着のフィンエア便ということまで決定し、チケットも手配済みでした。
Metは、彼に再度連絡を取り翻意させようとしましたが、かなわず急遽代役を探し、31日の記者会見で発表しました。

メトロポリタン管弦楽団特別コンサート
 メトロポリタン・オペラの日本公演の一環としてメトロポリタン管弦楽団による特別コンサートが行われます。
今回は 6月14日(火)にサントリーホールで開催されますが、当初はジェイムズ・レヴァインの指揮で、下記の演目を予定しておりました。

ドビュッシー:管弦楽のための映像
ヴェルディ:「椿姫」より第3幕への前奏曲
ヴェルディ:「椿姫」より“ああ、そはかの人か?花から花へ”(ネトレプコ)
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
チャイコフスキー:「エフゲニー・オネーギン」第3幕より“ポロネーズ” 
チャイコフスキー:「エフゲニー・オネーギン」第3幕第2場(ネトレプコ、クヴィエチェン)

レヴァインが日本公演を降板したことにより、指揮はファビオ・ルイジへ変更となり、それに伴い演目が一部変更され、5月15日に発表いたしました。
ドビュッシーの管弦楽ための映像がR.シュトラウス:交響詩「ドン・ファン」に、そしてドビュッシーの牧神の午後への前奏曲がR.シュトラウスの「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」と変更になりました。そして他の演目・出演者の変更はありませんでした。

また、ネトレプコ降板を受けまして、出演者はマリウシュ・クヴィエチェンに加え、ディアナ・ダムラウ、バルバラ・フリットリ、ピョートル・ベチャワの出演が決定し、曲目は未定のまま5月31日のゲルブ総裁緊急記者会見で発表しました。
その後、6月3日(金)に下記の予定曲目が発表されました。

ベッリーニ:オペラ『ノルマ』序曲
ベッリーニ:オペラ『清教徒』から「おお、永遠に君を失った」(マリウシュ・クヴィエチェン)
ベッリーニ:オペラ『清教徒』から「優しい声が私を呼んでいる・・・さあいらっしゃい愛しい人よ」(ディアナ・ダムラウ)
R.シュトラウス:交響詩『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら』 op. 2
ーーーーーーーー休憩ーーーーーーー
ヴェルディ:オペラ『運命の力』序曲
ヴェルディ:オペラ『イル・トロヴァトーレ』から「穏やかな夜」(バルバラ・フリットリ、エディタ・クルチャク)
ヴェルディ:オペラ『仮面舞踏会』から「永遠に君を失えば」(ピョートル・ベチャワ)
R.シュトラウス:交響詩『ドン・ファン』 op.20


以上、ソリストの変更に伴う経過・経緯です。
どうぞ皆さまのご理解を賜りますよう、謹んでお願い申し上げます。

敬白

(2011年6月11日)
株式会社ジャパン・アーツ
代表取締役社長 大内栄和


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