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サウンド・オブ・ミュージック 土居裕子=マリアじゃなかった! 劇団四季 四季劇場秋 [ミュージカル]

確かに前日の公演までは、土居裕子がマリア役だったはずなのに、劇場へ到着してキャスト表を確認すると、なんとマリア役はオリジナルキャストの井上智恵が出演!何のために浜松町まで、それほど観たくもないミュージカルに来てしまったのか・・・。キャストは当日発表が大原則の劇団四季とはいえ、土居裕子が念願?の役であるマリアを演じるというので、楽しみにしていたのに。仕方がないとはいえ、恐ろしく期待値は下がってしまい、観ないで帰ろうと思ったくらい。しかも900人収容の劇場に300人台の超ガラガラの入りで、2階席はほとんどが空席で驚く。何故、記録的な不入りに陥ったのか考えながら舞台を眺めることにした。【彼女は16日までの出演予定だったのに風邪?で降板とか】

カラオケでミュージカルを上演が常識?の劇団四季には珍しく生演奏つきという贅沢さ?さすがに子役にはランプの点滅で歌を歌ったりは難しかったのかもしれないし、台詞から歌への切り替えのタイミングが原因だったかもしれない。もっとも東京以外で上演される場合はカラオケになるんだろうけれど。

東宝ではサウンド・オブ・ミュージックやマイ・フェア・レディの主演者といえば大地真央という時代が続いた。劇団四季の方針?は、作品第一主義なのでスターはいらないとはいえ、主役のマリア役井上智恵、トラップ大佐役の村 俊英ともに華が乏しいので、普通のオバサンとオジサンが歌ってお芝居しているようにしかみえない。
ロンドンのように、ミュージカルの主役をテレビ番組で公開オーディションするようなわけにはいかないのだろうが、あまりに主役に魅力が乏しいのは致命的である。

さらに二人とも歌唱スタイルに癖がありすぎて、素直に音楽が響いてこないのである。たとえばマリア役は、劇団四季の野村玲子「型」とでもいいたいような、妙に子供じみた歌い方というか発声があって、違和感がありすぎる。子供向けのミュージカルの癖、あるいは浅利慶太夫人の演技崇拝?の結果なのだろうか。村俊英は、オペラ座の怪人のファントム役で売ってきた人のなのだが、なんとも歌唱方法が固くて、もっと柔らかく歌って欲しい瞬間が何度もあった。

浅利慶太は、日本の音楽大学の教育システムを評価していないようだが、日本語で歌い演技するということに関して、決して成功していないのは同じなのではないかと思う。大問題は「四季節」と呼ばれ、劇団内では「開口」と呼ばれる発声方法である。母音と子音となる台詞を分解して母音を強調して発声するというもの。

確かに日本語の意味は理解できるのかもしれないが、例の「戦場カメラマン」の物言いのように、当たり前の生活を送っている日本人の日本語とかけ離れているので、なんとも居心地の悪いことになる。思想や哲学を伝えるには便利な方法論なのかもしれないが、「愛を語る」には全く向いていないのを今回も露呈。リーズルとロルフの逢びきの部分など、まったく心が通じ合っている風に感じられなくて、なんとも酷い出来。同じくマリアとトラップ大佐の愛情表現も下手すぎて観ていられない。

同じ役に何人も配役されている子役たち。規律を重んじ、言われたことを言われたとおりに演じているのは、笛で機械的に動いているトラップ一家の子供たちと同様である。もっと子供らしい伸びやかさがあってもいいと思うのだが、型にはめられているからかなのか窮屈である。子供たちの個性が立ってこないので、思い入れができないので、子供たちがまったく可愛く思えないのが困る。あまりに良い子たちで、いたずらでマリア役を困らせるような屈折した部分がまるでないので、サウンド・オブ・ミュージックの歌を通じて和解するという名場面も引き立たなかった。

21時以降は子役が劇場を出なければいけないのでと後半のカーテンコールに子役を出演させないのも、ワザとらしく不自然。それなら、子役も登場するカーテンコールで止めればいいわけで、カーテンコールが一番の売り物の劇団四季らしいやり方。客電が点いたら、早く帰るべきだと思うのだが、劇団四季のお客は何故か帰らない。カーテンコール後の送り出しに演奏する曲なんて、聴きながら帰る方が楽しいのに、最後まで座っている人の神経がわからない。あんなにガラガラの客席で・・・。

ロングラン公演、ロングラン公演と喧伝する劇団四季。でも、劇場経営と劇団経営が同じ団体というのは、実は問題ではないのかとも思い始めている。彼の地では、新聞の劇評が芳しくなければ、即日打ち切りという厳しい世界だそうである。それを潜り抜け、多くの観客に支持されて何年ものロングラン公演になるはずである。

ところが、劇場経営もしている劇団四季の場合は、最初からロングラン公演ありきなのである。観客に支持されるどころか、空席の目立つ劇場であっても上演を無理矢理続けるというのは、不自然だし、作品にとっても、役者も、観客にも不幸な状態だと思う。ためしに、劇団四季で公開しているチケットの販売状況をチェックしてみるといい。一部の人気作品を除いて、大量のチケットが売れないまま放置されている。

ロンドンやニューヨークでは、売れ残ったチケットを当日半額で観客に提供するシステムがあるのに、頑なに定額販売にこだわっているようである。今では航空機やホテルなど、需要と供給のバランスで売値が決まるなんていうのは普通のことなのに、いつまで売れないままの空席をむなしく放置するのだろうか。

入場システムもQRコードを使用したチケットレス化を導入しているわけだし、航空会社なみに各種割引制度を検討してもいいのではないだろうか。

修道女が大挙登場する場面では、後ろは全員男優が演じているのが丸わかりで、笑いをこらえるのが大変。なんとかならないものだろうか。

スタッフ
企画・制作浅利慶太
日本語版演出浅利慶太
日本語版台本・訳詞藤川和彦 宇垣あかね 劇団四季文芸部.
日本語台本協力湯川裕光.
訳詞ペギー葉山(「ドレミの歌」)
照明監修沢田祐二
照明劇団四季照明部.
音楽スーパーバイザー鎮守めぐみ
演出助手藤川和彦 宇垣あかね
子役担当太田浩人 大徳朋子 遠藤剛

2011年1月14日(金) 18時30分開演

キャスト
マリア : 井上智恵
トラップ大佐 : 村 俊英
修道院長 : 秋山知子
エルザ : 西田有希(劇団俳優座)
マックス : 勅使瓦武志
シュミット : 大橋伸予
フランツ : 青山裕次
シスター・ベルテ : 佐和由梨
シスター・マルガレッタ : 矢野侑子
シスター・ソフィア : あべゆき
ロルフ : 亀山翔大
【フォン・トラップ家の子どもたち】
リーズル : 池松日佳瑠
フリードリッヒ : 竹林和輝
ルイーザ : 木村奏絵
クルト : ラヴェルヌ拓海
ブリギッタ : 石井日菜
マルタ : 鳴戸瑶姫
グレーテル : 片山佳音


【男性アンサンブル】
高橋基史
前田貞一郎
柳 隆幸
長手慎介
蛭沼建徳
北山雄一郎
奥田直樹
見付祐一

【女性アンサンブル】
黒崎 綾
松尾千歳
浅井美波
小島由実子
小林貴美子
原 彩子
趙ミンジョン
深見雅子


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コメント 3

りん

見る目ないなぁ 智恵さんは日本一のマリアです。
by りん (2012-03-01 23:17) 

さら

井上さん、土居さん、笠松さん観ましたけど
とりわけ土居さんが素晴らしいというのは感じませんでしたよ。 
井上さん酷評する意味がわかんないです。
個人的には
笠松、井上、土居の順番かなぁ。


by さら (2012-03-02 16:17) 

NO NAME

ヒント: 在日
by NO NAME (2013-09-22 09:57) 

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