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キャッツ 劇団四季・横浜公演 キヤノン・キャッツ・シアター [ミュージカル]


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横浜で劇団四季のミュージカル「キャッツ」を上演しているというので、ル テアトル銀座の市川海老蔵の公演が中止になったのをきっかけに足をのばしてみた。劇団四季には、いくつかの専用劇場があるが、四季劇場「海」のように本格建築のビルに組み込まれた劇場もあるが、その多くは、都市の遊休地を借り受けて建設する安普請?の大きなプレハブ小屋のような劇場である。

豪華な装飾を極力排除しているのが共通の特徴で、上演される芝居に力を集中といえば聞こえはいいが、コストを押さえるのが目的なのだろうと思う。しかも、借用期限が切れたという名目で撤退となれば、簡単に取り壊せるし、そうした建てては壊しを繰り返してきたのが劇団四季である。エコ的に考えれば、言語道断の経営姿勢なのだが、そうした面には一切目をつぶぶるというのが基本のようである。

さて、この1月には札幌に劇団四季の専用劇場が、いつでも取り壊せる形式の劇場で建設され、杮落とし公演が始まる。かつてあったJRシアターは不況の波をもろにかぶり、客足が伸びずに撤退したという経緯がある。それなのに、あえて再進出するのは、ロングランを前提にした「ライオンキング」を上演する必要に迫られたからだと思う。未だに「ライオンキング」を上演していない北海道での公演は悲願というかなんというか。何しろ「ライオンキング」の舞台装置や衣裳は二組あるので、保管料や上演契約などの条件から、無理しても上演する必要に迫られたのだと想像する。

「文化の一極集中をふせぐ」という美名のもとに福岡にあった劇団四季専用劇場の「福岡シティ劇場」が客足の現象で撤退した失敗をどう思っているのだろう。こちらはビル内の劇場で、簡単に撤退できないはずだったのに、撤退のドタバタ劇は記憶に新しい。4億かけて改装されたキャナルシティ劇場は、音楽や演劇にも門戸を開いた「マルチ劇場」に生まれ変わったという。朝日新聞の記事はこちら

そうした訳で、いままでのビジネスモデルが通用するほど甘くはないと思うのだが、札幌の劇場がいつまで持つのか疑問である。たぶん、ライオンキングのロングランは1年程度で、次は動員力からいって「キャッツ」あたりが行くのではないかと想像するが、手持ちのロングラン作品を全て上演できるかどうか注目していきたい。

そうした中での横浜「キャッツ」である。五反田でのロングラン公演に続いての上演で、観光地でもある横浜での団体客の動員が期待できるということなのだろうが苦戦しているようである。今行かないとなくなってしまうかも、しかも「キャッツ」専用劇場なので、横浜での劇場公演自体がなくなることを意味するので、遠征してみたのである。

横浜のキヤノン・キャッツシアターは、横浜駅の直ぐそばにある国道1号線沿いの空き地に建設されていた。きっと将来は、ビルが建設されるに違いないのだが、景気低迷のため?再開発が遅れているのかもしれない。昼過ぎには、箱根駅伝の一行が走り抜けたようである。

天使のキャッツとの出会いは、日本初演の年の西新宿でのキャッツシアターでテント劇場だった。12月1日で、コンピューターによるチケットの発券が試みられた頃で、公衆電話にかじりついて入手した記憶がある。そのおかげで、回転席の最前列ど真ん中という良い席を手にいれることができた。今はPCでの予約にQRコードで入場という形式に進化しているのは、本当に隔世の感がある。

その後、南新宿、品川とキャッツシアターが建設されるたびにでかけ、ロングラン終盤のニューヨークの劇場にもでかけている。五反田では2階席のあるシアターに生まれ変わったが、横浜のようにワンスロープの劇場の方が観やすいし親近感があるようだ。

今さら「キャッツ」でもないと思ったのだが、横浜で娼婦猫のグリザベラの「メモリー」を聴くのも悪くないかなと思ったからである。横浜には、かつて「横浜メリー」という老婆の街娼がいたらしい。ドキュメンタリー映画にもなったし、ある年代の横浜人は、知らない人はいないというくらい有名だったようである。歌舞伎役者のような厚い白塗りのメイクをしていながらも、その立ち居振る舞いは高貴な人のようだったという。外国人を相手に商売したパンパンだったらしいが、そんな伝説のある横浜の街に登場する娼婦猫・グリザベラに興味があったからである。
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もちろん、そんな想いなど関係なく、舞台は清潔感に満ちていて、娼婦猫という存在感も希薄だったのが不満といえば不満である。かつては泣かされた名曲「メモリー」にも、あまり心が動かされなかったし、ミストフェリーズの見せ場にも不安定な部分があって、驚きに満ちた舞台とはならなかった。それは天使が新しく愛を捧げるべき人を見つけて、幸福な状態にいることも無関係ではないのだが…。

日本初演時に比べ、ダンサーのテクニック、プロポーションは各段に進歩してりるし、演出にも新しい試みが取り入れられているのが目に付いた。その一方で、観客との間には慣れといったものが垣間見えて嫌らしい。拍手のタイミング、手拍子のタイミング、もっともっと素朴に楽しめる観客の方がいいと思うのだが、妙に訳知りの観客ばかりだったのは興をそがれた。

それにしても横浜駅前とはいえ、平日の夜公演の観客動員など苦労するだろうなと想像した。それに狭い敷地だからか、休憩時間の男女ともにトイレの大行列はなんとかならないものだろうか。今までで一番酷い混雑だったかもしれない。

2011年1月3日(月) 14時開演
曲=アンドリュー・ロイド=ウェバー
詞=T.S.エリオット「Old Possum's Book of Practical Cats」より
日本語台本=浅利慶太

スタッフ
製作・演出 浅利慶太
振付 加藤敬二
山田 卓
照明 沢田祐二
美術 土屋茂昭
劇団四季美術部
音楽進行 鎮守めぐみ

オリジナルクリエイティブ・チーム
演出 トレバー・ナン
振付 ジリアン・リン
美術デザイン ジョン・ネイピア
照明デザイン デビッド・ハーシー


グリザベラ 早水小夜子
ジェリーロラム=グリドルボーン 金平真弥
ジェニエニドッツ 礒津ひろみ
ランペルティーザ 石栗絵理
ディミータ 原田真由子
ボンバルリーナ 西村麗子
シラバブ 江部麻由子
タントミール 八鳥仁美
ジェミマ 撫佐仁美
ヴィクトリア 廣本則子
カッサンドラ 蒼井 蘭
オールドデュトロノミー 米田 優
アスパラガス=グロールタイガー/
バストファージョーンズ 橋元聖地
マンカストラップ 武藤 寛
ラム・タム・タガー 荒川 務
ミストフェリーズ 岩崎晋也
マンゴジェリー 龍澤虎太郎
スキンブルシャンクス 劉 昌明
コリコパット 入江航平
ランパスキャット 高城将一
カーバケッティ 齊藤太一
ギルバート 鈴木伶央
マキャヴィティ 桧山 憲
タンブルブルータス 川野 翔


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